アフリカへの寄付は無駄?アフリカの子ども支援に有効な寄付を考えよう


アフリカは未開で貧しく、援助してもなかなか変わらない。苦しんでいる子どもが減った様子も見られないし、寄付は無駄ではないだろうか。そのように考えて、寄付をためらう方も多いのではないでしょうか。

アフリカへの寄付は無駄ではありません。アフリカの経済は発展しつつあり、初等教育の就学率も上がってきているものの、特にサハラ砂漠よりも南の国々(サブサハラ・アフリカ)では、未だに深刻な貧困状態が続いているのが現状です。こうした過酷な現実を変えるためには、長期的視野に立ったきめ細やかな支援事業が必要で、その多くは寄付によって支えられているのです。

貧困の犠牲になるのは、立場の弱い子どもです。アフリカの子どもを支援するために、効果的な寄付とはどのようなものか、考えてみましょう。

アフリカへの寄付はいつまで必要?


マラウイの親子


アフリカへの寄付は、いつまで必要なのでしょうか。2008年から2017年のデータ(注1 P6)では、サブサハラ・アフリカの経済成長率は平均で3.74%でした。同じ期間に高所得国の経済成長率が1.18%だった事に比べると、サブサハラ・アフリカの経済成長は目覚ましいものがあります。このまま順調に伸びていくと思われましたが、資源の高騰やエボラ出血熱などの影響で成長率が下降してしまいました。サブサハラ・アフリカの脆弱さが浮き彫りになったのです。

2019年に発生した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により、計り知れない悪影響がアフリカで起こっています。世界的なパンデミックが起こると、医療をはじめとしたインフラが整っていないアフリカ諸国は対処できず、自国民を守ることができません。情報も資源も持っていない多くの人々は、すぐに命の危機に直面してしまうのです。特に子どもは立場の弱い存在であり、援助機関などの支援や寄付がなければ、真っ先に犠牲になってしまうでしょう。感染症が収束した後も、アフリカの国々が立ち直るためには手厚い支援が必要になると思われます。

このように、アフリカへの支援や寄付はまだまだ必要という現実があるのです。

アフリカの子どもを支援する寄付の現状

2020年5月現在、国連機関や国際NGOなどは新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に対する寄付を呼び掛けています。アフリカは手を洗う衛生的な水や石鹸を得ることが難しく、人が密集する生活習慣もあり、感染症対策がまったく取れない状態なのです。マスクをする習慣も無く、手に入れることもできません。一刻も早い支援が必要です。

アフリカの子どもを支援するための寄付は、感染症に対する緊急支援だけではなく、食糧支援、教育支援、医療や人権、安全保障に対する支援など、多岐にわたっています。子どもが健やかに育ち、未来へ希望を持てるような環境づくりが必要なのです。

子どもに特化した事業への寄付を募っている団体は数多くあります。世界中の子どもたちの命と健康を守る国連機関ユニセフをご存知の方も多いでしょう。国際NGOワールド・ビジョンもそのひとつで、アフリカをはじめ困難な状況にある世界の子どもたちのために活動しています。募金や寄付によるアフリカの子ども支援にも力を入れており、子どもたちの人生に良いインパクト(影響)を与えています。

アフリカから日本へ送られる寄付もある

アフリカは支援を受けるだけではありません。世界各国は助け合っており、アフリカも例外ではないのです。日本も、アフリカから支援を受けたことをご存知でしょうか。

2011年3月に発生した東日本大震災に対して、163の国と地域から寄付や物資などの支援が届きました。その中には、自国の財政がひっ迫しているアフリカ諸国から送られた義援金もあったのです。寄付だけではなく、医療チームの派遣や物資の支援、お見舞いのメッセージなどもアフリカから寄せられました(注2)。アフリカからの支援に触れた被災者の方も多かったのではないでしょうか。

アフリカ諸国の政府だけではなく、一般の人々もまた、日本の被災者に心を寄せました。各地で様々な催しや祈りの場が設けられ、日本の復興を願ってくれたのです。寄付も集められ、各国の日本大使館や日本の団体に届けられました(注3)。遠く離れた日本のことを思いやるアフリカの人々が大勢いたのです。

アフリカの子ども支援のためにワールド・ビジョンが行っていること


ザンビアでのワールド・ビジョンの支援活動の様子


ワールド・ビジョンは、キリスト教精神に基づいて開発援助、緊急人道支援、アドボカシー (市民社会や政府への働きかけ)を行う国際NGOです。子どもたちとその家族、そして彼らが暮らす地域社会とともに、貧困と不公正を克服する活動を行っています。宗教、人種、民族、性別にかかわらず、すべての人々のために働いています。

2019年度、ワールド・ビジョン・ジャパンは世界32カ国で159事業を実施しました。そのうち、アフリカでは12カ国で68事業を行いました。これらの事業は全て、寄付や募金、補助金などによるものです。

ワールド・ビジョンのアフリカ支援の方針と活動内容を見てみましょう。

アフリカ支援の方針

ワールド・ビジョンは、アフリカの子どもを支援するために7つの重点分野を掲げ、地域全体に継続的な支援をしています。


1 保健・栄養の改善
2 安全な水の確保
3 教育の質改善
4 生計向上の実現を通した、家庭・地域社会のレジリエンスの強化
5 紛争によって発生した難民など、極めて大きな困難を抱える人々の支援
6 地域の人々が自ら政府に声を届け、社会変革をもたらすための啓発活動
7 ジェンダーに配慮した開発 


アフリカの子どもは過酷な問題に直面しています。これら7つの重点分野にある課題を克服していくことで、子どもをとりまく環境が改善され、子どもが健やかに育つことができるのです。



アフリカ支援活動の内容

ワールド・ビジョンは「開発援助」「緊急人道支援」「アドボカシー」を活動の3つの柱としており、アフリカ支援活動にも活かされています。


開発援助

ワールド・ビジョンは、チャイルド・スポンサーシップを通した開発援助活動を実施し、困難な状況に置かれているアフリカの子どもたちが健やかに成長できるよう、持続可能な環境を整えるための支援を行っています。子どもが教育を受ける権利や、安全に暮らす権利が守られるように、支援地域の人々とともに水衛生、保健、栄養、教育、生計向上などに取り組んでいます。

前述の通り、ワールド・ビジョンは2019年度、アフリカの12カ国で68の事業を行いました。その中のひとつ、野生動物で有名なタンザニア連合共和国で実施しているムキンガ地域開発プログラムについてご紹介しましょう。

2009年から継続している支援の効果で、子どもたちの健康状態が改善し、生計向上プログラムにより世帯収入も向上。子どもたちの学校への登録数や出席率も上がりました。その一方で、子どもたちの読解力が低いという問題が明らかとなりました。

そこでワールド・ビジョンは、教師やコミュニティのリーダーに働きかけて読書の大切さを啓発し、政府の教育担当者の協力も得て「読書キャンプ」と呼ばれる読書会を毎週土曜日に開催することになりました。また、教師に対しても読み方の教授法の研修を行いました。子どもたちは読書の習慣がありませんでしたが、読書キャンプによって本を読む楽しさを知り、読解力の向上につながったのです。

また、生計向上プログラムの一環で牛を飼うことになった家では、毎日牛乳を飲むことができて栄養状態が改善しました。牛乳を売って現金収入を得ることができ、子どもは学用品を買ってもらえるようになりました。

子どもの権利について学ぶ機会もでき、子どもたちが早婚や暴力に反対の声を上げることができるようになったのも大きな前進です。

ワールド・ビジョンが行う開発援助活動は、地域の課題を解決し、子どもたちが育つ環境を整えているのです。

こうした地域開発プログラムを経て、当初の計画を達成した地域は支援から卒業していきます。アフリカからは、ウガンダのナラウェヨ・キシータ地域プログラムが、2019年に支援が終了し卒業を迎えました。15年間の支援により、部族間の争いが消えて安全になりました。立派な校舎ができて教育環境が整い、初等教育修了試験の合格率が34.7%から71.1%に向上しました。井戸の数は2倍に増え、いつでも水を手に入れることができるようになりました。地域全体が改善したことで、子どもたちをとりまく環境が、安全で衛生的なものになったのです。



緊急人道支援

ワールド・ビジョンは国内外問わず、天災や紛争、感染症などで生活が一変し、困難に直面している人々の元にいち早くかけつけて支援をしています。

最も弱い立場にいるのは子どもたちです。ワールド・ビジョンの緊急人道支援は、困難に直面している人々の生命や安全を維持するだけではなく、子どもたちが貧困の連鎖に入ることなく、明るい未来を描くことができるよう、短期的・長期的なプログラムを行っているのです。

2019年度に実施したアフリカへの緊急人道支援は、南スーダンへの食糧支援などでした。2020年5月現在は新型コロナウィルスに関する緊急募金を呼びかけ、支援対象地域を中心に衛生環境を改善し、感染拡大に備えています。

災害や紛争などで避難した人々へは、一刻も早い支援が求められています。ワールド・ビジョンは世界4カ所に備蓄倉庫を設置しており、災害直後に被災者へ物資を配布できるよう、常に準備をしています。食料についても、非常時に入手できる手段を確保しています。また、緊急人道支援募金を常時設置し、いつ起こるとも知れない突発的な災害や紛争などに備えています。



アドボカシー

アドボカシーとは、貧困や紛争の原因について声を上げ、問題の解決のためにできることを政府や市民社会に知らせ、行動を起こすように働きかけることです。弱い立場にある子どもたちが貧困の連鎖を断ち切り、希望に満ちた未来を描くことができるように、ワールド・ビジョンは政府や国際機関、市民社会に働きかけ、様々な方法でアドボカシー活動を行っています。

ワールド・ビジョンは2019年度に、SDGs達成のために政府に働きかけ、シリア危機のためのブリュッセル会合で政策提言などを行いました。また、G20大阪サミットに先駆けて開催されたC20や栄養サミットに向けた政策対話に出席し、過酷な状況に置かれている子どもについて発表する機会を得ました。公開セミナーや国会議員へのアドボカシーに関する意識調査も実施し、政府に働きかけを行っています。

2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関しては、子どもの権利を守るためのODAの拡充を政府に求めるなど、社会の状況に合わせた働きかけを行っています。

チャイルド・スポンサーシップでアフリカの子どもを支援しよう


ウガンダの子どもたち

2019年年次報告書によると、ワールド・ビジョンに集まる寄付の半分は、チャイルド・スポンサーシップに対するものでした。アフリカの子どもを支援することができるチャイルド・スポンサーシップとは、どのようなプログラムなのでしょうか。

チャイルド・スポンサーシップとは

チャイルド・スポンサーシップは、地域に根差した開発援助を行うことで、子どもたちの健やかな成長を目指すプログラムです。ご支援金により、教育、保健衛生、水資源開発、収入向上など様々な支援活動を長期(10~15年)にわたって行い、子どもの人生に変化をもたらします。

チャイルド・スポンサーシップによる支援は、一人の子どもだけを対象にしたお金や物を提供する支援ではありません。その地域に住む子どもたちが健やかに成長できる持続可能な環境を整えていけるよう、支援地域の人々とともに水衛生、保健・栄養改善、教育、生計向上、子どもの保護等の地域の課題に取り組みます。また、活動の成果を地域の人々自身が将来にわたって維持し、さらに発展できるように、人材や住民組織の育成にも力を入れています。

チャイルドと文通をしたり、訪問することもできます。支援地域がどのように発展し、チャイルドがそこでどのように成長しているか、毎年お送りする「プログラム近況報告」と、チャイルドの「成長報告」を通じて、支援の成果を実感していただけるでしょう。



アフリカの子どもたちに届く支援

2019年度、48,426人のチャイルド・スポンサーが、57,575人のチャイルドを支援しました。チャイルドから約4万通の手紙がチャイルド・スポンサーに送られ、温かい交流が生まれています。

アフリカでは次の8カ国で、チャイルドたちが支援を待っています。

  • ウガンダ
  • エスワティニ(スワジランド)
  • エチオピア
  • ケニア
  • コンゴ民主共和国
  • タンザニア
  • マラウイ
  • ルワンダ



チャイルド・スポンサーシップは、子どもだけではなく、その地域全体を変えることができる、強力なインパクトのある支援方法です。アフリカの子どもを支援するための効果的な寄付のひとつであることは間違いありません。

チャイルド・スポンサーの声をお聞きください。チャイルド・スポンサーシップは、アフリカをはじめとする途上国支援に役立つだけではなく、感動に満ちたプログラムであることもおわかりいただけるでしょう。

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参考資料

注1 外務省:日本とアフリカ外部リンク
注2 外務省:世界各国・地域等からの緊急支援外部リンク
注3 外務省:「がんばれ日本! 世界は日本と共にある」(世界各地でのエピソード集)外部リンク


※このコンテンツは、2020年5月の情報をもとに作成しています。

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