「Take Back Future」は、「教育を通じて、紛争や貧困により移動を強いられる子どもたちに対する暴力を撤廃し、暴力が繰り返されない未来を築く」ことを目指し、ワールド・ビジョン・ジャパンが2018年から4年間の計画で展開するキャンペーンです。
現在、世界の難民・移民の子どもの数は5,000万人で、そのうち、紛争のために避難を強いられている子どもは2,800万人にのぼります。子どもたちは移動する過程や移動先で、人身取引や性的搾取、児童労働、子ども兵士としての徴用など、多くの暴力の危険にさらされています。また、移動を強いられる子どもたちの多くが教育を受けられていません。十分な教育を受けられずに育った子どもは、人身取引などの暴力に遭うリスクが高いという調査結果も報告されています(UNICEF2017)。
この現状に対し、ワールド・ビジョン・ジャパンは、教育の力を通じて、紛争や貧困により移動を強いられる子どもが、
1)暴力から守られること
2)健やかに成長し、暴力が繰り返されない未来を築いていけるようになること
を目指し、以下に取り組みます。
【日本社会での関心喚起】
難民・移民の子どもに対する暴力について、日本社会での関心が高まるよう働きかけます。6月20日の世界難民の日前後に、難民問題に関わる多様な関係者にご登壇いただくシンポジウムの開催や、難民の子どもたちの存在を身近なものにするアイデア・コンペティション「未来ドラフト」の実施等、特に若い世代が同時代を生きる難民・避難民の子どもたちに関心を持てるよう働きかけます。また、関心を持ってくださった方が、日本から参加できる支援として、難民支援募金へのご協力をお願いさせていただき、ヨルダン、イラク、南スーダン、エチオピア、ウガンダで実施する教育支援の現場を支えます。
【支援】
移動により暴力にさらされるリスクから子どもを守り、暴力が繰り返されない未来を築くために、教育支援を拡充します。紛争の影響下にある国々(ヨルダン、イラク、南スーダン、エチオピア、ウガンダ)で、子どもが安心して学べる環境を整えます。人身取引や性的搾取、児童労働、子ども兵士としての徴用などの暴力から守り、自信と将来への希望を回復できるように(エンパワメント)教育支援を実施し、暴力撤廃を目指します。
【アドボカシー/政策】
子どもに対する暴力撤廃と、難民・避難民の子どもへの教育支援強化を目指し、日本政府に対し次の2つの政策変容を求めます。
① 子どもに対する暴力撤廃のためのグローバルパートナーシップ(GPeVAC)*に、日本がパスファインディング国**として加盟することを求めます。
② 日本のODAの中で、紛争下の教育(Education in Emergency)の優先順位が高められ、教育分野のODAの中でもより多くの予算がこの分野に配分され、難民・避難民の子どもへの教育支援が強化されるよう求めます。
このため、様々なパートナーと協働し、政策対話や国内外でのセミナー・イベントの開催を通じて、これらの課題に対する政策決定者の関心が喚起され、理解が促進するよう、働きかけます。
Take Back Futureキャンペーンについて、さらに詳しくはこちら
Take Back Futureキャンペーン賛同人の皆さま
世界では、約2億5,000 万人の子どもたち(子ども9人に1人)が武力紛争によって被災した国や地域で生活をしています。多くの人々が命の危険を感じ、出身国や地域からの避難を余儀なくされており、現在、第二次世界大戦以降最多の約6,560万人(2016年末時点)*の難民・避難民が移動を余儀なくされています。そのうち約2,800万人は子どもで、長引く危機の中で希望の見えない未来に直面しています。
また、難民・避難民の84%が低・中所得国に集中しており、難民問題が世界の最貧国の多くにとって負担になっていることが懸念されています。
(データ出典:Global Trends 2016, UNHCR)
難民の主な出身国
1. シリア:552万人
2. アフガニスタン:250万人
3. 南スーダン:143万人
難民の主な受入れ国
1. トルコ:280万人
2. パキスタン:160万人
3. レバノン:100万人
4位以降はこちらから
紛争などを理由に移動を余儀なくされた子どもたちは、人身取引や性的搾取、児童労働、児童婚、子ども兵士としての徴用などさまざまな暴力のリスクにさらされています。また、移動を余儀なくされる子どもたちの多くが教育を受けられていません。安心して学べる場がないために、暴力被害の危険性が高まり 、将来への希望を抱き続けることが難しくなっています。
・殺害:2011~2013年の間に1万人以上の子どもが殺害(シリア)
・子ども兵士:2013~2014年に約1万5000人が子ども兵士に徴用(南スーダン)
・児童労働:家計を支えるために200万人以上の子どもが労働(シリア)
・児童婚:難民キャンプの婚姻の1/3 は18歳以下の少女。12-13歳で出産する少女もいる(シリア)
難民とは、宗教、人種、国籍、政治的意見もしくは特定の社会的集団に属しているなどの理由で、迫害を受けるなど生命の安全を脅かされ、他国に逃れなければならなかった人々のことを指します。
紛争や暴力によって恐怖を十分に有するために他国に逃れる人も、難民として保護と援助の対象となっています。
紛争から避難している人が必要とするのは、安全な水、食糧、住居、衛生用品、寝具などの基本的な生活用品です。また、心臓病や糖尿病などの持病や、貧困によって引き起こされる栄養不良、コレラ、下痢などに対応するための薬や医療設備も欠かせません。
また、難民の子どもたちの多くが教育の機会を奪われているだけでなく、苦しい家計を支えるために働くことを余儀なくされています。学校に通えたとしても、継続して学習するための十分なサポートを受けられないことから、中退する子どもも少なくありません。
国内避難民(Internally Displaced Persons: IDPs)とは、内戦や暴力行為、深刻な人権侵害や、自然もしくは人為的災害などによって家を追われ、自国内での避難生活を余儀なくされている人々を指します。国境を越えていないことから、国際条約で難民として保護されません。しかし、難民と国内避難民が置かれる状況はほぼ同じであることから、支援内容も似ることが多いのが現状です。
2016年末時点で、世界の国内避難民数は4,030万人にのぼります。
(データ:Global Trends 2016, UNHCR)
教育は、現存する暴力への対応、そして長期的な解決策の一つです。教育には2つの働きがあります。1つ目は、人身取引や子ども兵士の徴用などの暴力から子どもたちを守る「保護」のための教育です。学校やインフォーマル教育などの学ぶ環境を確保することにより、子どもが子どもらしく安心して過ごし、日常感覚を回復し、必要に応じて専門的な心理的・社会的サポートにつなげることも可能となります。
2つ目は、「未来をつくる」ための教育です。紛争や貧困などで移動を余儀なくされても、避難先で子どもが学び続けられる環境を整えることで、子どもたちの自信の回復、未来への希望につながります。また、学科教育、平和教育、ライフスキルの習得により「失われた世代」*を生じさせないことで、紛争を繰り返さない、貧困の連鎖を断ち切る未来へとつながります。
*「失われた世代 (Lost Generation)」とは:避難の平均年数は17年と言われており、その間、教育の機会を奪われることで必要なスキルが養われない子どもたちのこと。
難民問題について知る、それは、難民となった子どもについて知ること。
#このめだれのめ は、「難民」となって厳しい環境の中を生きている子どもがいることを、一人でも多くの方に気づいてほしい、知ってほしい、との願いをこめて実施をスタートした新しい試みです(2018年4月末から1年間、継続して実施予定です)。
詳しくはこちら
難民の子どもの明日を取り戻すために、まずは知ることから変えていこう。
■未来ドラフト2020 わたしと難民がつながるアイデア・コンペティション
エントリー受付期間:2020年2月3日~2020年3月15日
決勝大会日時:2020年4月26日(日)12:30-17:00
会場:esports 銀座 studio
未来ドラフト2020 公式サイト
■未来ドラフト2020 「アイデア発想イベント」
日時:2020年3月8日(日)12:30-17:00
会場:esports 銀座 studio
開催報告:池上彰氏等が若者に向けて難民問題・難民アスリートを解説!
「プレスリリース:「休校」の今こそ、デジタルテクノロジー教育:池上彰氏等とともに難民問題を考えよう!最新型の配信スタジオから生配信
未来ドラフト2018決勝大会でグランプリを受賞したチーム、 「ビディビディキャラバン」(アイデア実現部隊)のメンバーが、難民の子どもたちを笑顔にするためのアイデア実現に向けクラウドファンディングに挑戦中しました!
※このプロジェクトは、2018年10月15日に募集を開始し、68人の支援により625,000円の資金を集め、2018年12月20日に募集を終了しました
アイデア実現の報告はこちら
アイデア実現部隊のメンバーが、プロジェクトにかける熱い想いを発信:
世界中のすべての子どもたちが、恐怖と夢を抱いています。それが現実のものとなるかどうかは、私たち次第なのです。回答の統計結果、そして子どもたちが、それぞれの夢と希望について語る動画をぜひご覧ください。
多くの南スーダン難民が厳しい環境下で生活する中、彼らに少しでも希望を持ってもらおうと、ワールド・ビジョンとアパーシャル(Apartial)というアーティスト集団が、彼らが歩んできたストーリーや未来への想いをアートを通して表現するというプロジェクトを立ち上げました。ヴィオラちゃんは、どのような絵を描きあげたのでしょうか。 平和を切に求める子どもたちのストーリーとアート作品をぜひご覧ください。
世界では今、紛争・虐待・いじめ・人身取引など様々な暴力により、5分間に1人の子どもが命を落としています。
また、毎年2人に1人の子どもが、虐待、搾取、ネグレクト、人身取引、児童労働、女性器切除、早期結婚、オンラインを含むいじめなど、何らかの形で暴力にさらされています。
2016-2017年の1年間だけでも
・身体的、性的、あるいは精神的暴力に遭った子ども:約10億人
・身体的暴力:4人に1人
・性的暴力:4人に1人(女子)、13人に1人(男子)
※実際の被害は、性的被害の場合は申告件数の30倍、身体的暴力の場合は75倍にものぼる
(データ出典:米国・疾病予防管理センター(CDC)による報告書"Global Prevalence of Past-year Violence Against Children: A Systematic Review and Minimum Estimates"(2016))
2018年2月14-15日の2日間、スウェーデンの首都ストックホルムにて「子どものための2030アジェンダ:ソリューションズ・サミット」(Agenda 2030 for Children: End Violence Solutions Summit)が開催されました。
スウェーデンのシルヴィア王妃のスピーチで開会したサミットには、67カ国から、当事者である子どもたち、各国政府、市民社会、民間企業、国際機関、専門家など、子どもに対する暴力をなくすための様々な取り組みを行うステークホルダー386名が参加し、子どもに対する暴力を取り巻く現状や、予防や撤廃のための方策などについて、議論を行いました。
サミットには、日本の市民社会の代表として、ワールド・ビジョン・ジャパンから柴田スタッフが参加しました。
牛山 大様(ハリウッドビューティグループ 代表取締役社長)
大橋 正明様(聖心女子大学人間関係学科 教授)
國井 修様(世界基金 投資効果戦略室長)
木暮 太一様(作家・経済コメンテーター)
駒崎 弘樹様(認定NPO法人フローレンス代表理事)
寺尾 聖一郎様(電通コンテンツビジネス・デザイン・センターコンテンツビジネス開発室ビジネスプロデュース部専任部長)
橋本 直子様(ロンドン大学難民法イニシアチブ博士アフィリエイト)
船橋 力様(トビタテ!留学JAPAN プロジェクトディレクター)
古田 大輔様(BuzzFeed Japan創刊編集長)
山田 邦雄様(ロート製薬会長)
吉田 徹様(北海道大学教授)
ワールド・ビジョン・ジャパンから、難民問題に関する情報をメールでお送りします。
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