(2016.03.10)
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョン(以下、WV)は、2011年から続くシリア紛争により、シリアや周辺諸国(レバノン、ヨルダン、トルコ)そして子どもたちが受けた経済的・機会的損失が、2,750億ドルに上ることを発表します。
これは、WVが欧州最大の経済コンサルティング会社であるフロンティア・エコノミクス社と共同で作成したレポート「COST OF CONFLICT FOR CHILDREN -Five Years of the Syria Crisis- (子どもが払う戦禍の代償 -シリア紛争5年)」の中で明らかにされた試算です。「この莫大なお金は戻ってきません。子どもたちの教育、保健医療、安全な環境の整備、生計向上等に1ドルも使われることなく、消えたのです。」WVの中東支援を統括するコニー・リンネンバーグは語ります。
また、同レポートでは、このまま紛争が2020年まで続けば、損失は1.3兆ドルに達するとも報告されています。WVシリアの危機対応責任者のウィン・フラッテンは、「これらの数字は、シリアや周辺諸国の苦悩を端的に表したに過ぎません。1ドル1ドルの金額の裏に、一つひとつの数字の背後に、一人の子どもがいることを忘れてはなりません。学校に行けない子ども、お腹をすかせて床に就くしかない子ども、病気なのに診てもらえない子ども、屋根のない家に住まなくてはならない子どもがいるのです」
・約230万人の子どもたち(約470万人のシリア難民の半数)が、難民としてシリア国外で暮らしています。
・シリア国内で人道支援を必要としている1,350万人のうち、約600万人が子どもです。
・シリア国内にいる210万人以上の子どもたちが学校に行けず、約200万人の子どもたちは(支援が届きにくい)僻地で暮らしており、20万人以上の子どもは包囲された地域に住んでいます。また国連は、1,600件以上もの深刻な子どもの権利侵害を記録しています。
・子どもたちは家族、友人、住む場所を失い、様々な暴力を見たり経験したりしています。
WVは2011年の紛争発生時からこれまでに、シリア国内および周辺諸国で、食料や保健衛生、教育、子どもの保護等の分野で活動し、200万人以上の難民や国内避難民に対して支援を届けました。しかし、紛争が続く限り支援のニーズは尽きることはありません。
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■ワールド・ビジョン・ジャパンとは
キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等のために困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。詳しくは www.worldvision.jp へ。
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