(2016.06.13)
世界で最も若い国、南スーダン。
2011年7月の独立以降も、政府軍と反政府軍の衝突が発生する等、人々の生活は決して安定しているとは言い難い状態が続いています。
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金により、2015年8月末から、南スーダン南西部の西エクアトリア州(現28州制の中では、グブドゥエ州)のタンブラ郡で、教育支援事業を開始しました。
この国では2005年以降、水・衛生支援や教育支援等、様々な事業を実施してきましたが、今回の教育支援事業では、一日も早くこの国が紛争から立ち上がり、一人でも多くの子どもが教育の機会を得て、将来への希望を持って生きられる環境づくりを目指しています。
南スーダンでは、それまで40年に渡る紛争の和平が結ばれた2005年から教育に力を入れて取り組んできたため、2013年時点の入学率は47%まで伸びていました。
しかし、2013年末に勃発した紛争の影響により、現在は35%まで落ち込んでいます。これは世界でも最低レベルの就学率で、そのために識字率も27%に留まっています。また、入学できた子どもたちも、その半分が様々な理由により3年生までに退学しています。専門家は、子どもたちが適切に教育を受けられないことが、紛争再発のリスクを高めているとも警告しています。
2013年以降、日本人スタッフの南スーダン駐在や首都以外への渡航が日本政府により制限されていますが、WVJは「最も脆弱な環境にいる子どもたちに必要な支援を届ける」という思いのもと、2015年8月より、南スーダンでの活動を再開しました。
いまだ日本人スタッフが現場に足を踏み入れることはできませんが、長年にわたり、ともに事業を進めてきた現地スタッフたちと連携し、タンブラ郡の教育局とも協力しながら、3つの学校の校舎整備、教員・PTA研修等を実施しています。
ある学校では、この半年間で、児童数が2.7倍に増えていることから、子どもや保護者が教育に期待を持てるようになっていることが伺えます。
2016年7月からは、現在の活動に加えて、特に支援ニーズの高い女子教育、子どもたちのライフスキル教育、地域住民による教育に関してのアドボカシー、教員の教員免許取得研修等を、3年間にわたり実施予定です。長期でしか取り組めない活動を取り入れ、活動内容の充実を図ります。
支援地域には、「世界から忘れられてしまった」と感じている子どもたちや地域の人々がいます。それらの人々に寄り添い、子どもたちの声を聴きながら、将来の人材を育成することができるよう、難民支援活動を進めていきます。
紛争の犠牲になり、平和を知らない子どもたちが、「教育」によって未来への希望をつなぐため、募金へのご協力をお願いしています。
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