2013年12月の紛争再発以降、南スーダンでは、紛争の影響、経済破綻、気候変動の影響、また避難を強いられた人々が農業に従事できない状況の継続などが原因で、食糧・栄養危機がかつてない危機的レベルに陥っており、深刻さを増しています。
2017年2月20日には、旧ユニティ州の一部地域で飢饉が宣言されました。約10万人が飢餓およびそれに伴う死に直面しています。さらに、総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification、略称IPC)の報告によると、南スーダンの人口の約40%にあたる490万人が深刻な食糧危機にあり、早急に対策が取られなければ、農作物の収穫が途絶える2017年7月までに、その数は550万人に達することが予測されています。加えて、ユニセフ(国連児童基金)は、南スーダン全土で推定100万人以上の子どもたちが急性栄養不良に陥っていると警告しています。
支援を開始した旧ワラップ州トゥイッチ郡も例外ではありません。紛争、経済危機、そして飢饉が宣言された旧ユニティ州などから逃れてきた人々と隣国スーダンからの帰還民による急激な人口増加が影響し、食糧危機が深刻化しています。旧ワラップ州では飢饉は宣言されていないものの、食糧危機のレベルを表すIPCのフェーズ3(危機的レベル)が州の大半を占めています。
2016年に実施された栄養状況に関する調査では、旧ワラップ州の全急性栄養不良(GAM)率平均は、旧10州制度*の中でも2番目に悪い22.9%であると報告されています。今、栄養治療のための対応策が実施されない限り、支援地の子どもたちの栄養状態は悪化の一途をたどることになり、子どもたちの命は重大なリスクにさらされています。
* 南スーダンでは2015年より行政区分の変更を進めていますが、本稿では旧10州体制に基づいて記述しています。