(2017.3.15)
2016 年12 月、アレッポをめぐる攻防が発生。政府軍による市民の殺害、拘束、強制徴兵などの暴力と恐怖が、子どもたちとその家族を襲い、発生後わずか1週間のうちに、3 万人以上の人々が避難民となりました。
シリア北部緊急支援マネージャー、クリス・ラティフは、戦闘が激化していた12月、次のように話しています。
「両親を目の前で殺された子どもたちの話は、信じ難いほど残酷です」
アレッポでの暴力と破壊から逃れた人々を待っていたのは、過酷な日々でした。子どもたちは数少ない防寒着を兄妹で分け合い、真冬の寒さに耐えています。少しでも寒さを和らげるため、かろうじて持っていた荷物を燃やした人も少なくありません。
ラティフは次のように話します。
「アレッポから避難さえできれば、解決。そう思った人には、避難している子どもたちが今置かれている状況を見て欲しい。彼らは、胸が張り裂けるほど悲惨な場所にいます」
・きれいな水・衛生サービス(ごみ処理施設、トイレ整備、衛生に関する啓発活動)
・移動診療所および第一次医療サービス*
・女性と女子児童のためのヘルスケアサービス
・病院の施設用機器
・毛布やマットレス
* 第一次医療:風邪や腹痛など日常的な疾病を対象とする医療
現在、200万人以上もの子どもたちが、教育の機会を奪われており、多くの子どもたちが苦しい家計を支えるために働くことを余儀なくされています。また、学校に通えたとしても、継続して学習するための十分なサポートを受けられないことから、中退する子どもも少なくありません。
ワールド・ビジョン・ジャパンは、2014年から、約65 万人のシリア難民を受け入れているヨルダンで、教育支援事業を実施しています。長期間、学校に通えなかった子どもたちが、ヨルダンの学校の授業に追いつけるよう補習授業を実施するとともに、レクリエーション活動を通して、紛争のトラウマや避難生活によるストレスを和らげる活動も行っています。
また、保護者が、経済的困窮を理由に、子どもに労働や早婚を強いることがないよう、教育の重要性を呼びかけています。
教育の機会を奪われた、「失われた世代」を生じさせないために、これからも支援を続けていきます。
「怯えていた子どもたちが、補習授業とレクリエーション活動のおかげで自信を取り戻していく過程を見て、私たちも希望が持てるようになりました」
保護者のこのような声を聞き、子どもたちが教育を受け、健やかに成長することが、シリア難民の人々の希望をつないでいると感じています。これからも人々の希望を支える支援を続けていきます"