地域の女の子の
希望の光に
ケニアのナンシーさん
「女の子は、学校に行かずに、早く結婚しなさい」そんな地域で育ったけれど、国で一番の大学・ナイロビ大学で修士号を取り、開発援助の仕事で世界中の子どもを救っているナンシーさん。今や、地域の女の子のロールモデルです。
詳しく見る(2020.10.27)
あなたが一番あなたらしくいられる環境って、どこでしょうか?
ワールド・ビジョンの支援を受けていたジョバンニさんにとって、それは音楽を聞く瞬間、そして楽器に触れる瞬間です。
でもクラシック音楽は、ジョバンニさんの育ったコミュニティでは、全くなじみがないもの。その上、家族は生活するのがやっとで、「お金にならないような勉強」を子どもがするなんて、もってのほかでした。
両親からの理解が得られないのはもちろん、罪悪感を感じずに、自分に自分の夢を追い続ける許可を出すことすら、とても難しかったのです。
「僕の育った環境では、すべては『あきらめないとダメ』でした。そんな中、『あきらめなくていいよ。道具を準備するから、自分のやりたいことをやってみて!』って言ってくれる人の存在が、どれほど救いになったか」
ジョバンニさんはワールド・ビジョンの支援のおかげで、今は楽器修繕屋を営む傍ら、地域の子どもたちに音楽を教えて地域の変革に貢献しています。
自分らしくいることも、夢を追い続けることも、生活も、何一つあきらめる必要はない。
ワールド・ビジョンが、どのように一人ひとりの子どもの夢と可能性に寄り添っているのか、ジョバンニさんの物語をぜひご覧ください。
「その瞬間、僕の人生は一変しました。両親が住む世界とは、全く違う世界に心が引かれてしまったんです」
ジョバンニさんは10歳のころ、地域のワールド・ビジョンの音楽学校から、漏れてくる音を耳にします。それが、初めて耳にしたクラシック音楽でした。
その日から、ジョバンニさんはすっかり音楽の虜に。
情熱のあまり、毎日その音楽学校の授業にこっそり潜り込むほどでした。
11歳の時に、勇気をふり絞って、両親に音楽の授業を受けたいと告白します。
でも返事は、「ダメ」の一言。
両親にとって、男の人は働き、女の人は家で子供の面倒を見る。これ以外の生き方が、考えられなかったからです。
それでも夢を諦めきれなかった、ジョバンニさん。
一年間お願いし続けた結果、両親の許可をなんとか得ることに成功し、音楽の授業に参加します。
でも、音楽に対する両親の視線は冷たいまま。
「静かにして!」
ジョバンニさんが家で音楽を奏でると、このように怒鳴らるのがお決まりでした。
それでも、大好きな家族と、大好きな音楽のどちらも手放せない、ジョバンニさん。
一人で寂しく、楽器をひく日々が続きました。
両親がジョバンニさんの夢に反対したのは、ただの意地悪ではありませんでした。「貧困」という現実的な理由があったのです。
日に日に、家族の経済状況は悪くなっていきます。そんな中ジョバンニさんも、ついに働かざるを得なくなりました。
自分のお給料で学費を賄いながら、学生と大工という二足のわらじをはく、苦しい生活が始まりました。
生きるためには、仕事と引き換えに、自分の夢をあきらめないといけない。
その考えが頭をよぎる中、ジョバンニさんはあることに気づきます。
「楽器には寿命があり、長く使うためには修理しないといけない」ということです。
大工で培った技術を駆使して、見よう見まねで楽器を修繕してみることに。
するとなんと、誰に教わるわけでもなかったのに、チェロを一本作りあげてしまったのです。
「楽器の修繕屋だったら、生活も夢もあきらめなくていいかもしれない」
やっと自分の才能を生かせる希望が見えた、ジョバンニさん。
しかし、いざ修理屋を開くための道具や場所、本格的な技術を習う学校への学費を考えると、途方に暮れるばかりでした。
ワールド・ビジョンは、ジョバンニさんの夢をあきらめさせませんでした。
学費を援助し、特別な大工技術が学べる専門学校への進学を応援しました。
ジョバンニさんは2年間しっかり技術を学んだあと、両親を説得し、家の一部を修繕屋として利用させてもらう約束を結びます。
最後の問題は、仕事道具をどうやって手に入れるか。
ワールド・ビジョンは、音楽学校の楽器を修繕してもらうことと引き換えに、ジョバンニさんへ仕事道具を提供すると申し出ました。
夢へはばたく羽を全部手に入れた、ジョバンニさん。
やっとの思いで開いた修繕屋の名前は、「夢があふれる修繕屋」。
「努力し続ける限り、夢は叶えることができる。そのことをワールド・ビジョンは教えてくれました」
大人になったジョバンニさんは、楽器を修繕するだけでなく、地域の子どもたちへリコーダーの弾き方を教えています。
ジョバンニさんは、地域の子どもたちに、音楽だけでなく、自分の夢を追い続ける勇気も与えてくれるでしょう。
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