(2024.01.12)
1月1日に発生した令和6年能登半島地震により被災された皆さまに、謹んでお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復旧をお祈り申し上げます。ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)では子ども支援を行う方向性を1月5日に決定し、初動調査・対応のために第1陣チームを1月7日(日)に石川県に派遣しています。
活動4日目となる1月11日(木)は、七尾市の北部と穴水町を訪問し、避難所で避難をされている子どもたちや保護者の方にお話をうかがいました。
金沢市を出る前、石川県内の1.5次避難所となっている「いしかわ総合スポーツセンター」に設置した子どもの遊び場に立ち寄り、作成した案内チラシの掲示、また、内閣府古賀篤副大臣(防災担当)の視察に対応しました。地域の保育士、幼稚園教諭、学童保育指導員の先生方のお力で、日増しにスペースの環境が整い、子どもたちが笑顔で過ごしていました。
1月11日の朝時点で新生児から中高生まで28人が避難所に入所されており、居場所に遊びに来てくれる子どもたちより年長の中学・高校年齢の子どもたちのニーズを把握し、サポートしていく課題も挙げられました 。
七尾市役所の担当者の方から、子どもたちが多くいるのではとご紹介いただき、中島小学校を訪問しました。子どもがいる世帯専用の部屋が設けられ、4世帯の方が生活しておられました。保護者の方は、交代でお子さんの様子を見ながら、自宅の片付けなどをされていると話してくださいました。訪問時には、2人のお母さまと乳児から小学生5人の子どもたちがいたので、持参したシールブックやボールなどで一緒に遊びました。
七尾市から北上し、穴水町に入りました。通行可能な道路は1本で、災害支援車両などで渋滞。11日は快晴で海岸沿いの道からは美しい海と湾の向こうには白い山嶺が見えましたが、地震による家屋や道路の損壊は激しく、「応急危険度判定」で赤色(「危険」)や黄色(「要注意」)の張り紙がある家屋が目立ちました。電柱の撤去や地滑りの土砂の撤去などが進められていました。
穴水町役場の子育て健康課を訪問、電話は一部回線のみ、メールは使えない状況とうかがいました。「子どもの避難状況の全容は把握できていない」とおっしゃる中で、お子さんがいると思われる避難所を複数ご紹介いただき、ひとつの中学校を訪問しました。
訪問先の中学校で事務所にいらした先生に子どもたちの様子をおたずねしたところ、避難生活も10日間を越え、お友達に会えず、学校も始まらない、思いっきり遊べないという状況の中で、「子どもたちのストレスがたまっているのが行動に表れている」と話してくださいました。
避難所内を歩いて回らせていただき、数人の子どもたちが集まっている教室を覗くと、スクリーンに投影された画面を前にゲームをしていました。持参したノートや色ペンなどをお渡しし、日中どのように過ごしているのかなど話をうかがいました。
「電気が使えるようになってすぐ、こうして(スクリーンに投影されるように)もらったんだよ」
別の教室にお母さまとお子さんと一緒にいらした女性の方は、「実家にいる母をすぐに助けに行きました。母の命は助かったけれど、実家がなくなってしまって寂しい」。何かお入り用のものはありますか?お困りではないですか?とスタッフがお尋ねすると、「子どもに美味しいものを食べさせてあげたいです」とお気持ちを話してくださいました。
国内子ども支援・アドボカシー課課長で、心理的応急措置(PFA)研修の経験も豊富な髙橋布美子スタッフは次のように話します。
「地域や家庭での暮らし、家族や友だちとの大切なつながりが、震災を境に一変し、避難生活が長引く中で、子どもたちや避難者の方も、心身に大きな負担がかかっていることを感じました。心のケアの必要性、重要性を感じています」
訪問先でお話を聞かせてくださった皆さま、ありがとうございました。子どもたちが楽しい時間を取り戻し、保護者の方にも安心してお子さんを託していただけるような場所・機会の提供につなげていきます。