(2024.01.10)
1月1日に発生した令和6年能登半島地震により被災された皆さまに、謹んでお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復旧をお祈り申し上げます。ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)では子ども支援を行う方向性を1月5日に決定し、初動調査・対応のために第1陣チームを1月7日(日)に石川県に派遣し、金沢を拠点に活動を続けています。
第1陣として、国内支援・アドボカシー課長で保育士資格も有し、心理的応急処置(PFA: Psychological First Aid)研修の経験も豊富な高橋布美子スタッフ、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨対応にて子ども居場所支援に従事した高山スタッフ、高橋スタッフ同様にPFA研修の指導者育成研修を修了し、海外での緊急援助活動の知見を有する神田スタッフ、そして、コミュニケーション課長で広報・ファンドレイジングのセーフガーディングを日頃より担当している德永スタッフを派遣しています。
プッシュ型支援で水・食料・衛生用品などの緊急援助物資は行政を中心に石川県まで送られている状況をふまえ、避難生活を強いられている子どもたちが安心・安全に過ごせる居場所の開設、学校再開支援などの子ども支援を想定し、WVJの強みを活かした対応を検討・計画するための布陣です。
雪が降った1月8日ならびに9日七尾市を訪問し、子どもを取り巻く状況やニーズを調査しました。9日には金沢市在住のチャイルド・スポンサー若松典子さまのご紹介で七尾市長の茶谷義隆さまに面会し、子どもたちを取り巻く状況をおうかがいし、WVJが国内災害支援でのこれまでの経験をご紹介しました。
茶谷市長は頷きながら聞いてくださり、「余震も続き、子どものストレス・精神状態を心配しています。子どもの心のケアはとても重要です」「七尾は大変な状況ですが、皆さまに助けていただいています。奥能登に支援を届けるための拠点になるためにもしっかりしたいと思います」とうかがいました。
続けて、同じく若松様にご紹介いただいた七尾市市議会議員の木下美也子さまのご案内で、避難所となっている七尾市立山王小学校を訪問しました。木下さまは山王小学校の校長先生や先生方に協力し、避難所運営の陣頭指揮をとられていました。
木下さま、山王小学校校長の長谷部学先生、またその後訪問した市役所職員のお話からは、子どもたちの避難先が避難所、自宅、県内のご親戚・知人宅など多様で日々刻々と状況が変わっている状況、断水が続き学校が避難所となっている中で、学校再開の目途が立たず、また、調理施設の被害状況も不明であり給食再開への懸念もあることなどをうかがいました。
引きつづき調査を続け、子どもたちが日常と笑顔を取り戻すために、今すぐ、また、今後必要とされる支援は何かを見極めていきます。
金沢市内「いしかわ総合スポーツセンター」が県内広域避難の方の受け入れを開始するという情報をえて8日夕方に訪問、他団体と連携して急遽、避難所内の子どもの居場所の立ち上げをサポートしました。
9日夕方にも立ち寄ると前日と状況は一変し、多くの避難者の方が入所され、子どもたちの人数も増えていました。地域の保育・養育関係の皆さまが奔走する現場のサポートに急遽加わり、また、乳児のいるご家庭から要望の声のあった沐浴やおむつ処理のための備品を急遽調達しました。
そのような中、余震が発生し、体育館が大きく音をたてて揺れました。楽しく鬼ごっこやおもちゃ遊びをしていた子どもたちの表情が、その時、一変しました。「集まれ―」スタッフの声掛けで円陣を組んで座った子どもたち。手を添えた小さな背中は震え、あるいは身を固くしていました。
「何の音なの?地震、地震なの?大丈夫?」「(鬼ごっこをしていて)近くのテントにいてよかった。だって先生(WVJスタッフ)のところにすぐ来られたから」。しばらくうずくまったまま動かないお友達もいました。
子どもたちの様子を目の当たりにし、そして、夕刻をすぎても続々と避難者の方が入所される状況に鑑み、翌日に予定していた七尾市北部の調査を1日延期し、1月10日はWVJスタッフ全員がこの現場に入るという決断をしました。避難所での子どもの居場所運営の経験と持ち、心理的応急処置(PFA)の知見を有するWVJだからこそできるサポートがあるからです。
1月10日は体制強化、PFAの基礎を現場サポートに入られる皆さんにお伝えしつつ、子どもたちとともに時間を過ごす予定です。
石川県内の広域避難所、「いしかわ総合スポーツセンター」で1月10日に撮影した動画をご覧ください。(2024.01.11加筆)