2011年3月以降、13年にわたり紛争が続くシリア。「世界最大の人道危機」といわれるこの事態により、美しかった街は荒廃し、人々は豊かな暮らしを失いました。
今回マイルストーン・プロジェクトを実施する北央部には、シリア国内でも「支援の空白地帯」となっています。国際社会からの支援はなく、ワールド・ビジョン以外に、この地域で活動する人道支援団体はほとんどありません。
多くの子どもたちが、机や椅子も満足にない、倒壊寸前の危険な校舎で学んでいます。彼らから聞こえてくるのは、「自分たちで美しかった街を取り戻したい。だから勉強がしたい」という願いです。
紛争によって破壊された学校校舎の修復を行います。劣悪な環境で学んでいる子どもたちの学習環境を大幅に改善するだけでなく、学校に通えていない子どもたちの就学、他校の混雑状況の緩和、遠距離の学校に子どもを通わせる家庭の経済的負担の軽減になることが期待されます。
支援地域があるシリア北央部は、これまで多くの衝突や空爆が繰り返されてきた地域ですが、ワールド・ビジョン・ジャパンは2020年3月の停戦合意以降、他の人道支援団体と連携・調整し、シリアでの事業実施をサポートし、支援を届けています。
なお事業実施にあたっては、中立・公平な立場を貫き、地域情勢を注意深く監視しながら、スタッフ、および子どもたちの安全を最優先にしています。
昨年、一昨年とシリア北西部でマイルストーン・プロジェクトを実施いたしました。のべ77名の方々からのご寄付により、9校の学校校舎の修復・増設、学校の越冬支援等を実施し、子どもたちの学習環境が大きく改善されました。「学校が再建されていく様子に、将来への希望を抱くことができた」と、子どもたちや保護者、教育当局の方々から、感謝の言葉をいただいております。
シリア危機発生から3月で13年となりますが、なかでもシリア北央部は、人口が少ないがゆえに国際社会の注目が集まらず、支援が行き届いていない状況です。しかし、子どもたちは住んでいる国や地域にかかわらず、等しく年齢を重ねます。今年はシリア北央部で、机や椅子も満足にそろっていない倒壊寸前の危険な校舎で勉強している子どもたちに、支援を届けてまいります。