本プロジェクトは、「無電化地域で暮らす一人ひとりが自立したサスティナブルな社会づくり」への貢献を目的としてパナソニック株式会社(以下、パナソニック)が創業100周年を機に推進している活動で、電気の知識などの啓発・教育の実践と商品寄贈を組み合わせたものです。ワールド・ビジョンは、ケニアでの協働パートナーとして実施しています。
ケニアでは近年電化が進んでいますが、人口の約36%しか電気にアクセスできておらず、農村部では12%にとどまっています(世界銀行、2014年)。電力アクセスのない人々は灯油や伝統的バイオマス燃料(薪、木炭、葉など)を室内の明かりや調理に使用し、バイオマス燃料の不完全燃焼による空気汚染によって引き起こされる病気(肺疾患や脳卒中など)が問題となっています。
本プロジェクトの対象地であるエンクトト地区は、住民の大半がマサイ族で主に牧畜と農業で生計を立てていますが、ほとんどの家庭が貧困ライン以下の生活を送っています。一部の公共施設はソーラーパネルにより必要最低限の電気を使用していますが、住民の暮らす村には電気が通っていません。
エンクトト地区の小学校、診療所、各家庭にパナソニックの太陽光発電・蓄電システム商材を提供し、地域住民を対象にそれらを活用した収入創出活動、女性や子どもたちを対象にした夜間識字教育などを実施することで、人々の生活改善・コミュニティの自立に貢献します。
●太陽光発電・蓄電システムの寄贈
地区内の小学校(1校)と診療所(1カ所)に太陽光発電・蓄電システムを整備し、活用してさまざまな活動を行います。学校に通う子どもの家庭150世帯にソーラーランタンを支援し、薪や灯油の代わりに使用することで、健康改善、家計負担の軽減、夜も自宅で勉強ができるようになり子どもの学力向上が期待されます。
●収入創出活動
小学校に整備した太陽光発電で稼動する水ポンプシステムを活用し、野菜・果物を栽培、販売します。診療所でも養鶏を行い、鶏卵・鶏を販売します。収益は太陽光発電・蓄電システムの維持費や、貧困家庭の子どもの学費支援、学校の教材の購入費、村落保健員の活動費、栄養不良の子どもへの支援にあてられます。
●夜間識字教育
早婚などの慣習により教育を受けていない女性や、学校に通っていない子どもたちを対象に、識字教室を実施します。また、小学校では夜間の補習授業を実施し、子どもたちの学力向上に貢献します。