一人ひとりが問題について知り、その原因について声をあげ、 解決のためにできることを訴えていくことをアドボカシーといいます。 この働きにより、政策を変え、不公正な社会を変えていきます。
アドボカシーの方法や現場は多種多様です。ワールド・ビジョンのアドボカシーは、子どもにとって世界が安全で平和な場所になることを目指して、政府・国際機関と市民社会の両方に働きかけ、また支援地域での啓発活動から国際レベルでの政策提言など、さまざまな方法で行います。
貧困や紛争をなくし、子どもたちが健やかに成長できる世界を実現するためには、多くの人による合意が必要です。より多くの人にある特定の問題を知ってもらい、アクションを起こしてもらうために、アドボカシー・キャンペーンを行っています。
また、世界にはさまざまな問題がありますが、ワールド・ビジョン・ジャパンは中でも、「持続可能な開発目標(SDGs)、「子どもの権利」、「子どもに対する暴力」、「教育」、「紛争・難民」、「保健・栄養」、「人身取引」、の分野に力を入れてアドボカシーを行っています。
各国政府や国際機関の政策が世界中の弱い立場におかれている子どもたちを優先するために、 世界のワールド・ビジョンは連携し、アドボカシーを行っています。世界の貧困問題の解決を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」などの国際目標の達成を通じて子どもたちが豊かに生きられる世界の実現を目指し、 国連総会やG7, G20サミットなどの国際会議の機会に、各国政府や国際機関に働きかけています。
「子どもに対する暴力撤廃のためのグローバル・パートナーシップ(GPeVAC)」とともに
持続可能な開発目標SDGsの中で、ワールド・ビジョンがもっとも力を入れ取り組んでいる目標(ターゲット)の一つは、SDGs 16.2「子どもに対する虐待、搾取、取引及びあらゆる形態の暴力及び拷問を撲滅する」というターゲットです。 この推進にあたっては、国際機関、各国政府、市民社会組織、企業等から成る「子どもに対する暴力撤廃のためのグローバル・パートナーシップ(GPeVAC)」が大きな役割を果たしており、ワールド・ビジョンはこのパートナーシップの一員として活動するとともに、日本政府がこのパートナーシップに積極的に関与するよう他団体との協働による働きかけを行い、成果をあげています。
日本の政府開発援助(ODA)政策を、子どもたちを優先させるものにするためには、多くの日本の方々が途上国の子どもたちの現状に関心を持ち、状況を良くするために行動してくださることが、大きな力となります。ワールド・ビジョン・ジャパンは、イベントや活動を通じて多くの方々に問題を知っていただき、行動を起こしていただける機会を提供しています。
過去に実施したアドボカシー・キャンペーン
5歳まで生きられず命を落としている子どもたちを救うため、先進国・途上国の政策に影響を与えることを目的として、2012年から「Child Health Now!-アクション!救えるはずの命のために」というキャンペーンを世界のワールド・ビジョンと連携して実施しました。日本では、2015年までに、世界の子どもたちを救いたい、という皆さまの想いによるアクションが160万件を超え、キャンペーンの一環として実施した「命の木プロジェクト」には、合計10万件以上のアクションをお寄せいただきました。
支援地域でも、子どもを含めた支援地域の人々自身が自分たちの問題について声をあげ、影響のある政策などについて意見を表明できるように、 支援を行っています。子どもたちや住民の集まり、地方自治体との会合、政府や政治家との対話、国際会議など、さまざまな場がアドボカシーの機会となります。
【CVA(Citizen Voice in Action:市民の声と行動)】
ワールド・ビジョンは、地域コミュニティと政府(公共サービスの提供側)の対話を通じて、コミュニティの人々の生活に影響する保健や教育などのサービス改善を目指す、CVA(Community Voice in Action:市民の声と行動)という社会的アカウンタビリティ・アプローチに力を入れ、成果をあげています。
コミュニティの人々が、自分たちの権利として享受できるはずの公共サービスを理解し、その実現のために政府と対話し、約束された政策の執行状況をモニタリングする力をつけることが、地域の公共サービス改善につながるのです。
たとえば、ケニアのツルカナ地域では、コミュニティの人々の働きかけにより、地域の保健サービスのための予算や人材確保の状況が改善し、またこのプロセスへの参加を通じてコミュニティの保健に対する意識が高まったことにより、より多くの人々が保健施設を利用するようになり、より多くの子どもが予防接種や栄養不良の場合の対策を受けられるようになったと報告されています。