【終戦の日】平和を求める声を聞いてください

(2016.08.15)

紛争地域からの平和の祈り

「家に戻りたい。でも、そのためには平和な世界が来なくては。平和が欲しい。平和が欲しいんです、この子のためにも」

シリア人のエナムさんは、紛争を避けて隣国のイラクに逃れました。幼いジャクリーンちゃんを連れて長距離を歩くのは、想像を絶する困難でした。「目の前で人が殺されるのを見ました。男も女も、子どもさえも殺されました」
身を寄せているのは、建設途中のビル。不法に立ち入っているため所有者から追い出されるのではないかと、エナムさんは不安で仕方ありません。

2011年に始まったシリア紛争は、これまでに480万人以上の難民を生んでいます。そしてその数は、刻々と増え続けています。

娘のジャクリーンちゃんを見つめるエナムさん
娘のジャクリーンちゃんを見つめるエナムさん

「神様、私をお守りください。私たち家族に、愛を授けてください。お父さんが生きていて、また会える日が来ますように。南スーダンに、壊れることのない平和が訪れますように」

紛争で故郷を追われ、南スーダン国内の避難民キャンプで暮らすニャメールちゃん(13歳)は、神様に祈ります。彼女は、周囲の人にも同じように祈って欲しいと訴えます。家に戻れるようになるには、自分の祈りだけでは足りないと感じているかのようです。

2011年に独立した世界で一番新しい国、南スーダン。独立後も政情は不安定で、2013年には内戦状態に陥り、70万人以上の難民と、ニャメールちゃんのような国内避難民を160万人以上生んでいます。

十字架が刻まれた木に寄りかかるニャメールちゃん
十字架が刻まれた木に寄りかかるニャメールちゃん

平和を目指す教育支援

シリアや南スーダンをはじめ、世界各地で起こる紛争は、その土地に暮らす人々の日常を突然奪います。故郷を追われた人々は、国外へ逃れて難民となったり、国内の別の地域へ逃れて国内避難民となり、先の見えない不安定な暮らしを強いられています。2015年の統計では、様々な理由により故郷を追われた人は6,530万人にものぼり、それぞれの地で、祖国の平和を願いながら懸命に生きています。

このような状況を受け、ワールド・ビジョン・ジャパンは、シリア難民南スーダン難民の子どもたちを対象に、教育支援事業を実施しています。

紛争が終わり祖国に戻ったとき、荒廃した祖国を再建していくのは、今の子どもたちです。勉強で得られる基礎知識はもちろんのこと、友達と触れ合う中で、異なる意見に対して暴力ではなく話し合いで解決することを学ぶこともできます。それが平和な祖国を再建することつながると、ワールド・ビジョン・ジャパンは信じ、活動を続けています。

皆さまからお寄せいただいた募金等により実施している、シリア難民とヨルダン人の子どもたちへの教育支援の現場から、動画レポートが届きました。子どもたちの明るい表情を、ぜひご覧ください。

カメラを向けるといつもピースサインをするシリア難民の男の子(ヨルダン)
カメラを向けるといつもピースサインをするシリア難民の男の子(ヨルダン)