2022年2月のウクライナ危機発生後、国境を超え避難した難民は790万人、国内で避難を強いられている国内避難民は590万人に上ります(2022年11月末時点)。また、ウクライナの子どもの総人口750万人のうち、約2/3が避難を強いられていると報告されています。これは、第2次世界大戦後、最も深刻な速さと規模で子どもたちが故郷を追われた状況を表しています。
ワールド・ビジョンは、ウクライナ危機発生直後に350人の緊急支援チームを編成し、隣国ルーマニアで即座に活動を開始しました。
【ウクライナ危機】子どもたちに寄り添う支援の現場から(2022年3月)
国境を越えてウクライナから避難してきた人々の多くは女性と子どもたちです。極寒の時期に、長時間かけて爆撃から逃れてきた人々を支えるため、ワールド・ビジョンは、ルーマニア国境周辺地域で、水・食料、衛生用品を提供しました。また、暖房を備えた仮設の休憩用テントや、おもちゃなどがある子どもの遊び場を運営し、心身共に疲れ切った人々が安心して休息できるよう支援しました。
「ハルキウから来ました。紛争が始まってから3日間、地下室で過ごしましたが、爆撃が家の近くまで来たので、急いで逃げました。爆撃を間近に経験し、避難する子どもたちの恐怖と緊張は極限に達していましたが、ワールド・ビジョンの運営するチャイルド・フレンドリー・スペースでお絵かきしながら過ごすことができて、ようやく娘たちに笑顔が戻りました」
長期化するウクライナ危機により、人々の避難生活に終わりが見えない状況が続いており、子どもたちの健やかな成長への深刻な影響が懸念されています。ワールド・ビジョンは、避難先でも子どもたちが平穏を取り戻し、紛争や避難生活のストレスから回復できるよう支えるため、ウクライナ国内および周辺国で教育支援を実施しています。
ウクライナ国内では、2022年11月までに、9000人以上の子どもたちがサマーキャンプに、1万6000人以上の子どもたちがオンライン学習に参加できるよう支援しました。運営を手伝うためにサマーキャンプに参加したアンジェラさん(17歳)は、「子どもたちが一緒に遊び、交流する機会がとても大事だと感じました。サマーキャンプでは、ボードゲームや縄跳びなど、いろんなゲームをしたり、一緒に話したり、笑ったりすることができました」と話します。
また、子どもたちを支える教員や学校関係者への研修も行いました。研修では、緊急時の教育支援の最低基準(INEEミニマム・スタンダード)やPFA(Psychological First Aid for Children:子どものための心理的応急処置)などに加えて、教員の心身の健康やストレス・マネージメントについても学ぶ機会を提供しました。「研修はとても有益でした。子どもたちはもちろんのこと、教員を守るための取り組みについて学ぶことができました」と、研修に参加したオレナさんは言います。
ワールド・ビジョンは、危機発生直後から支援活動を開始し、2022年11月までに子ども20万人を含む55万人のウクライナの人々に、食料、衛生・避難場所、教育、子どもの保護などの包括的な支援を届けました。
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