アフガニスタンのヘラートは冬の寒さが厳しいところで、気温はマイナス10℃にまで下がることもあります。 しかし、多くの家庭では、厳しい経済状況から、暖かい服や小物を子どもたちに買い与えることができません。
2011年の調査(DoLSA)では、ヘラート市街で働くストリート・チルドレンの数は約5,000~7,000人とみられ、そのうち65%が8-13歳の子どもたちでした。 2016年でその数は、約8,000~10,000人にまで増加しています。
貧困に起因する多くの困難に直面する子どもたちにとって、厳しい冬はさらに過酷な状況を招きます。 多くの子どもたちが暖かい衣類や家がないために、厳しい寒さが原因で病気にかかり、不幸にも命を落としてしまうこともあります。
この厳しい状況にかんがみ、2017年度の「世界の子どもへ手編み作品を贈ろう」プロジェクトは、アフガニスタンの子どもたちを支援先として実施いたしました。
日本の皆さまにお寄せいただいた、1,359枚の手編みのセーター、28枚のベスト、1,911枚の帽子、1,968枚のマフラー、2組の手袋、4足の靴下計5,272点の編み物作品を、2017年12月下旬にアフガニスタンのヘラート市で、ワールド・ビジョン・アフガニスタンが運営するストリート・チルドレン・センターに届けました。
このセンターへは2016年度に手編み作品を贈りましたが、まだ多くの子どもたちがあたたかい衣料を手にしていないという声が聞かれたため、継続して支援を行いました。この日本の人々からの贈り物は、子どもたちを厳しい寒さから守り、そして彼らの命を守っています。 2017年12月17日~21日に贈呈式を行い、1,968人の子どもたちに編み物作品を手渡しました。
現地から届けられた、子どもたちの様子をご報告いたします。
贈呈式での記念撮影
編み手の方の名前が書かれたネームプレートを見せてくれる女の子たち
贈られた帽子とマフラーを身に着けてうれしそうな男の子たち
ストリート・チルドレン・センターに通うリハーナちゃん(11歳)はセーター、マフラー、そして帽子を受け取り、とてもうれしそうです。 2016年にワールド・ビジョンから編み物衣料の寄付を受けましたが、背が伸びてきたので、小さくなった衣料は妹に譲りました。
リハーナちゃんは4人きょうだいの一番上で、小学校3年生です。 お父さんは日雇い労働者で、リヤカーに野菜を積んで、売り歩いています。 お母さんは家でピスタチオの殻を割って、街で売る仕事をしています。稼ぎは一日あたり約120円です。 リハーナちゃんはお母さんのお手伝いをしています。
リハーナちゃんは言います。 「うちには燃料を買うお金がないから、売ったピスタチオのあとに残った殻を燃料にして、家のなかを暖めているの」。 そう言いながら、お母さんが殻をかまどに投げ込むのを眺めています。 家族がお風呂に入ったり、洗い物をしたりするお湯も、同じ火で沸かしています。 殻が足りない時は、火を起こせないため、お風呂にはたまにしか入ることしかできません。 食器も冷たい水で洗っています。
リハーナちゃんは新しく贈られた衣料に大興奮です。
「学校に行くとき、この新しい服を着てくのよ。 カラフルで柔らかい!長く着続けたいから、大切にするわ」
リハーナちゃん
ストリート・チルドレン・センターのスタッフから手渡されたセーターに袖を通す男の子
カテマちゃんは10歳ですが、まだ小学校一年生の学級にいます。
「うちに学校用品を買う余裕がなかったから、入学するのが遅れたの」。
学校に行く代わりに、街でゴミ拾いをする生活をせざるを得なかったのです。 ゴミ拾いをしながら、制服を着て学校に通う子たちをうらやましく思っていました。 「学校に通いたいって、毎日毎日お父さんとお母さんに頼んでいたら、行かせてもらえるようになったの」。 ゴミ拾いしたものを売ったお金から、学校で使うペンやノートを買いました。 お姉さんが使っていた制服を着て通学しています。
お父さんは重い病気に罹っていて、仕事ができません。 お母さんは羊毛を洗う仕事をして、日々の生活費を稼いでいます。 家を暖めるヒーターや燃料を買う余裕はありません。 「私はガラス、プラスチックそして古紙を(ゴミの中から)集めるの。 ガラスを売ったお金はお母さんに渡して、プラスチックと紙は家を暖めるための火の燃料にするのよ」。
でも、これらを燃やす臭いが近所から嫌がられています。
「苦情を言われるの。燃やした臭いや煤がカーテンや服に付くみたい。 お母さんは、目立たないように、夜だけ燃やしているわ」
今日、カテマちゃんはセーター、マフラー、そして帽子を受け取りました。
新しい衣類を何度も眺めては、撫でています。 「私のサイズにぴったり。着心地はとてもいいわ。私もこういう衣類を編めるようになりたいな」
カテマちゃん
12歳のアマナちゃんが目をキラキラさせながら話してくれます。 「あったかくて、きれいな色の服がとてもうれしいです。 去年は服がなかったから、病気になっちゃったの。 でも今年は元気に過ごせそうです。ありがとうございます。」
14歳のメリナちゃんからは「あったかい服があるから今年はすごくうれしい!去年は寒い思いをしたの。 今は素敵で色とりどりの服があるから大丈夫よ」と喜びの声をあげています。
13歳のネジナちゃんは「衣類を贈ってくださった日本の皆さん、本当にありがとう。 あったかい服があるから、私たちとても幸せです。 ありがとうございます」と弾んだ声で話してくれました。
16歳のオミッド君はちょっとかしこまって、カメラに向かって話しかけます。 「日本の皆さん、本当にどうもありがとうございます。あったかい服が、僕たちを寒い冬の気候と病気から守ってくれます」
編み手の方のネームプレートを掲げる女の子たち
新しいセーター等を身に着けて、はにかむ笑顔の子どもたち
皆さまの贈り物で、子どもたちはこの厳しい冬を、暖かく過ごすことができます。 本当にありがとうございます。
編み物を贈ろう募金の概要はこちら