(2016.06.20)
2013年12月に南スーダンが内戦状態となってから、エチオピアを含む周辺国に72万人の難民が避難しており、このうち8割以上が子どもといわれています。南スーダンでは和平合意がされ、2016年4月30日、ついに暫定政府が設立されたものの復興には程遠く、難民の帰還はまだ見込まれていません。
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成金と皆さまからの募金により、2014年8月から、エチオピアの南スーダン難民キャンプで教育支援を実施しています。これまでに、小学校2校(5-8年生)を設立し、約4,800人の子どもたちが安全な場所で学べる環境を整えています。
今年度は、エチオピアの教員資格を持ち、エチオピアのカリキュラムに精通したエチオピア国籍の教員を追加で採用・研修し、子どもたちがより本格的な授業を受けられる環境を整えています。また、教室にドアや窓を設置する、壁を強化する等、教室を風雨による劣化から防ぎ、防犯上のリスクを下げる取組みを進めています。
本事業を通して小学校を卒業し、中等学校に通っている生徒に聞き取り調査を実施しました。一人の男子生徒は生徒会長に、もう一人の女子生徒は女子クラブの代表として活動しており、子どもたちからは、教育を受け続けられる喜びと自信を感じ取ることができました。
「教育は僕たちの未来を輝かせてくれました。僕は、南スーダンで教師になって、読み書きができない子どもをなくしたいです」
「私は、南スーダンの故郷を導ける存在になりたいです」
と、将来について語ってくれました。母国に戻る見通しが立たない中、厳しい難民キャンプでの生活が続いていますが、子どもたちは、教育を通して将来への希望をつないでいます。
他方、南スーダン難民のうち、このように中等教育に通える子どもは、対象年齢のうち約7%に過ぎません。難民キャンプの中には中等学校がないところもあり、初等教育を終えても教育を続けられない子どもたちもいます。このような子どもたちは将来への希望を持てず、自暴自棄になり暴力や犯罪に巻き込まれるリスクにさらされています。
このため、WVJは、エチオピアの南スーダン難民キャンプにおける中等教育支援に取り組むことを予定しています。また、これまで活動してきた難民キャンプの衛生環境が悪化していることから、衛生環境改善支援も実施する計画です。
難民の子どもたちが希望を持ち続けられるよう
募金へのご協力をお願いしています。