(2017.08.19)
2003年8月19日、イラクで人道支援を行っていた国連事務所が攻撃され、22名の国連関係者が死亡し、さらに100名以上が負傷するという事件が起こりました。武力紛争や自然災害等による人道危機で苦しんでいる人々と、危険と隣り合わせの環境で人道支援活動に携わる人々に思いを寄せる日として、国連総会は2008年に8月19日を「世界人道デー」として定めました。
多くの人道支援関係者の命を奪った忌々しい事件から14年が経過した今もなお、世界の各地では紛争が続いています。世界では約2 億5,000 万人の子どもたちが、武力紛争によって被災した国や地域で生活しています(出典:UNICEF 2016)。そして紛争から逃れている難民の半数以上が、最も弱い立場にある子どもたちであり、彼らは将来への希望を持つことが難しい困難な環境下で生きることを余儀なくされています。
南スーダンの紛争は、政治的な論争が原因となり2013年12月に巻き起こりました。当初、武装衝突は南スーダンの首都ジュバに限られていましたが、徐々に北東部の上ナイル地方へ、そして全土へと広がっていきました。
2015年に和平合意が調印されたものの、2016年7月には、別の政治的衝突が発生し、国全体を巻き込んだ紛争へと発展。この争いは多くの難民を生み出し、現在、約100万人の南スーダン人がウガンダ北部の難民キャンプで避難生活を送っています。さらに100万人の南スーダン人がエチオピアやケニア等の近隣諸国に避難し、200万人が戦闘を逃れ国内避難民となっています。
こういった紛争により一番大きなダメージを受けるのは、最も弱い立場にいる子どもたちです。ウガンダ北部の難民居住区で働く心理学者と児童福祉専門家は、難民としてウガンダに到着したほとんど全員の子どもたちが、心理社会的なセラピーを必要としていると訴えています。
南スーダンでの内戦が激化する中、子どもたちの多くが困窮に苦しみ、目の前で家族を殺されるなどの残虐な場面を目撃しています。ウガンダで避難生活を送る子どもたちには、不眠症や幼児退行、引きこもり、暴力的または自己破壊的な行動パターンが見られ、そのうち60パーセントの子どもたちが、ストレス障害の症状を治すための救急治療を必要としていると報告されています。
幼い頃に受けた心的外傷をそのままにしておくと、その後の人生を荒廃させ、新たな暴力のサイクルを生み出す可能性があることから、南スーダンの将来は、子どもたちの心の健康状態にかかっているとも言われています。
ワールド・ビジョンは、南スーダンの首都ジュバと北部のマラカールで、2017年だけでも約100万人に食糧を提供しました。また、子どもたちがライフスキルを身に付けることができるよう、教育支援も行っています。