「子どもの権利条約」25周年 記念連載② ~育つ権利~

2014.11.19

「私たちの村に学校ができて本当に嬉しい」

ワールド・ビジョンの支援で建てられた学校で勉強するジェネバちゃん
ワールド・ビジョンの支援で建てられた学校で勉強するジェネバちゃん

マリの女の子、ジェネバちゃん(11歳)。チャイルド・スポンサーシップの支援で建てられた学校に通っています。 「私たちの村に学校ができて本当に嬉しいです」とお父さんのママドゥさん。

校長のヨクバ先生は語ります。
この学校ができる前、子どもたちは長い距離を歩いて学校に通っていました。

子どもたちは、学校に着くころにはすっかり疲れてしまって授業に集中できないし、
授業の始まりの時間に遅れてしまうことがしばしばで、教えるのも大変でした。

しかも古い学校では、一人の先生が2学年同時に、同じ教室で教えなければならなかったのです。
今では、3つの村から集まる202人の子どもたちが良い環境で勉強しています」

育つためには、教育が必要です

ノーベル平和賞を受賞したマララさんの出身国、パキスタンの女の子たち
ノーベル平和賞を受賞したマララさんの出身国、パキスタンの女の子たち

子どもの権利条約」は「生きる」「育つ」「守られる」「参加する」という4つの権利が柱となっています。

子どもが「育つ」ためには、第28条・29条で保障されている教育を受ける権利が守られることが不可欠です。子どもは教育を受けることによって、自分の権利や健康を守り、より良い未来に歩んでいくことができるようになるからです。

世界では、この権利の実現に向け、様々な取り組みがなされてきました。

特に、2000年の「世界教育フォーラム」において日本を含む164の国が合意した「万人のための教育(EFA:Education for All)」では、2015年までに世界中のすべての子どもたちが小学校を修了できるようにすることや、成人識字率の50%改善など、6つの目標を掲げました。

また、同じく2000年に合意された「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」では、目標2の中で、2015年までに初等教育の完全普及の達成などを掲げています。

馬で通学するインドネシアの兄弟
馬で通学するインドネシアの兄弟

世界のリーダーたちが合意したこれらの目標を受けて、教育分野ではいくつかの進展がみられました。

例えば、2000 年から 2011 年にかけて、学校に通っていない子どもの数は 1 億 200 万人から 5,700 万人へとほぼ半減しています。

しかし、学校に通えない子どもの数が減るスピードは大幅に落ちており、2015 年までに世界全体で初等教育を完全に普及するという目標の達成は、大変厳しい状況にあります。

このままのペースでは、2015年になっても2,300万人の子どもたちが学校に通えないと予想されています。

教育を受けられない理由

学校へ行くかわりに、レンガの準備に忙しい少年
学校へ行くかわりに、レンガの準備に忙しい少年

子どもが教育を受けられない理由にはいろいろあります。

  • 周囲の大人が子どもが教育を受けるよりも、働き手として仕事の手伝いをすることを優先させるから。
  • 学校へ通うために必要な費用を保護者が負担できないから。
  • 女の子だから。
  • 紛争のため。
  • 栄養状態が悪く、体調が整わないから。
  • 近くに学校がないから。

すべての子どもたちが教育を受けるために

ザンビアの子どもたち
ザンビアの子どもたち

ワールド・ビジョンは、すべての子どもが人種、性別、障がいの有無に関わらず、生まれながらに持っている可能性を十分に開花し、豊かないのちを生きられることを願っています。

そのため、貧困や紛争、災害のために子どもたちが教育を受ける機会が奪われないように活動しています。

チャイルド・スポンサーシップによる支援に加え、紛争災害の現場でも子どもたちの教育の機会が奪われないように、チャイルド・フレンドリー・スペースなど、学校教育を補完するような支援を行っています。

さらに、2015年以降も、学校へ行けない子どもたちを減らすための世界的な取り組みが継続されるように、教育協力NGOネットワーク(JNNE)のメンバーとして、教育支援に関わるアドボカシーを行っています。


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