帰る場所を失った子どもたち:
難民・避難民の子どもたちの命を守り、回復を支え、未来を築く

(2024.05.23)

支援でお届けした下駄箱2つ



シリア、アフガニスタン、ウクライナ、南スーダン、ミャンマーなど、世界各地で長期化する紛争が増え、難民・国内避難民の数は増加しています。2022年末には初めて1億人を超え、その後も増え続けています。紛争や迫害で家を追われた難民・国内避難民は、1億1400万人を超えました。そのうち約41%が18歳未満の子どもたちで、帰る場所を失っています。

故郷を追われた人々の数は過去10年間で倍増しました(2013年ー2023 年)
故郷を追われた人々の数は過去10年間で倍増しました(2013-2023年)

難民と国内避難民の子どもたちが直面するリスク

ワールド・ビジョンが毎年実施している難民と国内避難民の家庭を対象とした調査(2023年)では、子どもたちは、より一層厳しい状況にあることが分かりました。ほぼ3分の1の家庭が子どもを学校に通わせることができていません。教育費を完全に賄うことができる家庭はわずか11%であり、2022年の31%から減少しています。さらに、避難民キャンプの子どもたちは、ほかの場所に暮らす子どもたちと比べて、強制労働を強いられるリスクが2倍となることが分かりました。多くの家庭では収入も食料も得ることができません。過酷な状況下で生き抜くために、子どもたちは学校をやめさせられて働いたり、結婚を強要させられたりすることを余儀なくされています。

式典の様子
幼稚園の園児

「世界難民の日」とは?

6月20日の「世界難民の日」は、難民の保護と支援に対する関心を高め、世界各地で続けられている難民支援活動への理解を深めるために、2000年12月国連総会で制定されました。ワールド・ビジョン・ジャパンは、「世界難民の日」に合わせて、毎年6月に、公式ホームページやワールド・ビジョン ニュースで、難民・国内避難民の子どもたちについて特集しています。

支援でお届けした下駄箱2つ

紛争の影響を受けている子どもたちからのメッセージ
「パパ、ぼくは、まだ死にたくないよ」

ウクライナ出身のチェルヌイフさんは、先生としてジョージアで子どもたちに勉強を教えています。
「紛争が激しくなり、真夜中にサイレンが鳴りました。6歳の息子に何が起きているか説明すると彼は泣きながらこう言いました。"パパ、ぼくは、まだ死にたくないよ"。私の心は張り裂けそうでした。死ぬには、あまりにも早過ぎます。私にとって、人生で最も大切な存在は、子どもたちです。ウクライナの人々は自分の子どもを育てるのと同じように、ほかの子どもたちも大切に世話をします。ジョージアに逃れたウクライナの子どもたちを学校で教えている時、私はすべての子どもを娘・息子のように大切に思っています。紛争が終わり、私たちの故郷ウクライナに戻る日が一日も早く訪れるよう願っています」

チェルヌイフさんと生徒たち
チェルヌイフさんと生徒たち
チェルヌイフさんと息子のヘオルヒーくん
チェルヌイフさんと息子のヘオルヒーくん

「ぼくが持っているはずの教育を受ける権利を求めます」

「どうしてぼくは学校に行けないのだろう。どうして仕事をしなければならないのだろう」そう話すのは、シリアからレバノンに逃れてきたヤザンくん、12歳です。山を越え、土砂降りの中、レバノンへやって来ました。入学は認められず、重い荷物を運ぶ仕事をして家計を支えています。

「シリアでは友達と遊んだり、勉強をしたりしていました。今は、遊ぶことはできません。仕事はとてもつらいです。ワールド・ビジョンは危険な場所や病気から守る方法、怒りの感情をコントロールすることなどを教えてくれました。ぼくは学校へ行って勉強がしたいです。自分は字を読み書きして、学ぶことができるのだという自信を持ちたいのです。そして、エンジニアになり、シリアと世界のすべてを、最初から作り直したいです。ぼくは、今、まるで自分は教育を受ける権利を持っていないかのように思えますが、教育を受ける権利を持っているはずです

「働いて貯めたお金はテントの雨漏りを修理するために使いました」<br />テントの前に立つヤザンくん
「働いて貯めたお金はテントの雨漏りを修理するために使いました」
テントの前に立つヤザンくん

教育支援によって失われた時間と自信を取り戻す

イラクで暮らす11歳のアムナちゃんは、ワールド・ビジョンが実施するアラビア語の補習クラスに参加し、読み書きが上手になりました。

「アラビア語を勉強して、文字を覚えています。学校の授業の中で、アラビア語が一番好きです。大きくなったらお医者さんになりたいです」と自信を持って言えるようになりました。紛争のために、何年にもわたり教育を受けられなかった子どもたちが補習クラスに参加して、勉強の遅れを取り戻しています。教育支援はアムナちゃんのように子どもたちに笑顔と将来の夢をもたらしています。

補習クラスの様子
補習クラスの様子
将来の夢を語るアムナちゃん
将来の夢を語るアムナちゃん

【6/13(木)開催】
紛争下で子どもたちはどう学ぶか ~シリア避難民ルシャドさんを迎えて~

【6/13(木)開催】 紛争下で子どもたちはどう学ぶか


シリア危機による学びの中断を経験したルシャドさんを招き、2011年3月のシリア危機前後の生活、また現在に至るまでの経験についてお話をお伺いします。紛争の影響下でどのように学び続け、スキルを身につけて、今に至っているのか、ご本人の実体験を聞ける貴重な機会です。


日時:2024年6月13日(木) 19:00~20:00
内容:紛争下の避難生活、教育についてのインタビュー、およびワールド・ビジョンが実施する危機下の教育支援について。
※特別ゲストとの対談形式。皆さまからのQAタイムも予定しています。
場所:オンライン配信 / ワールド・ビジョンオフィス(先着20名)同時開催

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難民支援募金にご協力ください

難民・避難民の子どもたちが教育を受けられるように、学びの環境を整え、学校運営や教職員の採用を支援します。
例えば、5000円ではバッグ、ノート、筆記用具などの学用品セットを子ども5人に提供できます。

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