(2016.07.13)
4月に発生した熊本地震から、7月14日で3カ月を迎えます。ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、前震発生後3日目に現地入りし、支援活動を開始しました。
避難生活を送る方々のニーズに沿うこと、行政では手が回らないニーズに対応すること、子どもたちの心に寄り添うことを目指して、①物資支援、②子ども支援、③教会を通じた活動、の3本を柱として、約10,000人に支援を届けました。
4月17日、最も被害が大きかった地域の一つである益城町に入ったWVJは、総合体育館に避難していた約1,200人に、飲料や衛生用品、紙皿、割り箸等を届けました。
これを皮切りに、続々と寄せられるニーズに応えるべく、毛布、バスタオル、高齢者用長ズボン等を、熊本市や益城町の避難所を中心に配布。物流が混乱していた時期でしたが、日頃からWVJを支援してくださっている企業のご協力により、迅速な対応が可能となりました。5月11日までに、熊本市と益城町の2,736人に支援を届けました。
(1) 心のケアと遊び場運営(4月21日~5月31日)
子ども支援の団体としてWVJが最優先する活動の一つに、子どもたちが安心して遊べる場所を作るということがあります。世界の災害・紛争地で同様の活動を行ってきた経験を生かし、益城町総合体育館の避難所を運営する熊本YMCAと協働で、避難所内に「プレイルーム」、屋外に「プレイパーク」を開設し、運営しました。
「子どもが元気に遊んでいる姿を見て、安心しました」
「生まれたばかりの子がいるので、上の子だけでも預かってもらえると本当に助かります」
「預かってもらっている間、崩れた家の片付けができるので有難いです」
ご両親や親戚の方から、多くの感謝の言葉をいただきました。
5月31日をもってWVJは「プレイルーム」「プレイパーク」の運営を終了しましたが、活動は6月1日から地元の子育て支援団体に引き継がれています。
また、保育所や学校等でのケアが必要と思われる子どもたちについては、個人ごとの「ケースファイル」を作成。担任の先生や行政担当者に報告し、元の生活を取り戻す中で子どもたちが取り残されることのないよう配慮しています。
さらに、災害等により心理的ストレスを抱えた子どもへの対応の仕方(心理的応急処置:Psychological First Aid:PFA)について、WVJの専門スタッフが講師となり研修を実施。知見を地元の関係者に継承しています。
(2) 学校再開支援(5月16日~)
子どもたちが日常を取り戻す大きな一歩は、保育所や学校の再開です。WVJは、学校が抱えるニーズを独自に調査し、学校再開に必要な支援を届けました。校舎が被災し利用できなくなった中学校が体育館で授業を行う際のパーティション、保育所への防災備品、音楽活動が盛んな学校への楽器等、学校現場のニーズに対してきめ細やかに対応しました。
また、給食センターが被災した益城町の公立小中学校に対しては、簡易給食・弁等給食の支援を実施。給食再開後初めての簡易給食を食べた女の子(小6)は、「久し振りにみんなで給食を食べられて嬉しい。今、みんなと食べる時間が貴重だと思いました」と話してくれました。
これらの学校再開支援では、熊本市、益城町、西原村で、7,246人に支援を届けています。
キリスト教精神に基づいて活動するWVJは、教会と連携した支援活動も展開しました。
被災地域と教会を支援するために設立された九州キリスト災害支援センターの協力団体として、活動拠点である熊本ハーベストチャーチに東日本大震災の復興支援経験をもつスタッフを派遣。熊本市立泉ヶ丘小学校や益城病院での炊き出しや、5月5日に御船町で開催したこどもの日イベントの運営等をサポートしました。
今回の熊本地震の支援活動の指揮をとった支援事業部部長 今西浩明は、3カ月を振り返ってこう語ります。
「災害発生直後はいつもそうですが、被災された方々が混乱している中で、WVJのような外部の人間にやらせてもらえることは何かを探ることはとても大変です。
しかし、東日本大震災の経験を生かして今回WVJが行った支援は、本当に必要な人や場所に届けられたと思っています。また、今回の支援活動を通じて新たな学びもありましたので、その教訓を今後に活かしていきます。
熊本や大分はまだ大変な状況ですが、引き続き状況を見守っていきます」
【熊本地震 第7報】発生から2カ月、引き継がれる支援と子どもの笑顔(2016.06.14)
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