シリア北西部から緊急報告:氷点下の寒さの中にある子どもたち

(2020.02.28)

2011年3月15日にシリア内戦が始まって以来、何十万人もの人の命が奪われ、国が引き裂かれ、生活水準が数十年も低下しました。医療施設、学校、公共施設、水道システムが損傷または破壊され、歴史的ランドマークやかつて賑わっていた市場は瓦礫と化し、隣人と地域社会を結ぶ社会的・ビジネス的なつながりも破壊されました。

また、内戦により約560万人が難民620万人が国内避難民となっているほか、約1200万人が人道支援を必要としています。シリア難民危機の影響を受けている人の約半数は子どもたち。9年目を迎えるシリア難民危機は、現代最大の難民・避難民危機です。

寒さと危険な生活環境で命を落としている子どもたち

シリア北西部の避難民キャンプでは、気温が氷点下に下がり、少なくとも4人の子どもたちの死亡が報告されています。4人の中には、母親が気づいた時にはすでに胸が動かず、顔色が変わっていた生後8カ月の男の子もいました。その後、医師は男の子を凍死と断定しました。1歳半の女の子も同様の経緯で発見され、父親が2時間かけて彼女を病院へ運びましたが、病院に到着したときにはすでに死亡していました。

2019年12月初めからシリア北西部のイドリブとアレッポで紛争が激化し、約70万人が家を追われ、そのうちの約35万人は子どもです。援助機関は、避難を強いられている人々に必要な支援を届け、防げる死を防ぐために、緊急停戦を求めています。

人々は避難を求めて1日中移動していますが、住居に代わる場所はそう簡単に見つかりません。彼らは防水シートの下、車の中、窓のない工事中の建物の中などで寝ています。大多数の人は暖房器具や燃料を買う余裕がないうえに、毛布や冬服も十分に持っていません。

援助機関は緊急支援物資を提供するために24時間体制で働いていますが、毎日何万人もの人が避難所に到着するため、物資が不足し、対応しきれていません。

イドリブで活動しているワールド・ビジョンのプロテクション・アドバイザー、アーラム氏は次のように話します。「ここは摂氏マイナス7度で、家族や子どもたちは屋根のない場所で過ごし、凍えています。20人の子どもたちが、窓も換気もない地下でもう3日間過ごしていますが、毛布もマットレスもなく、病気になっている子どももいます」

6人の子どもと避難しているカレドさんは、地下で他の7家族と一緒に暮らしています。 壁一面にカビが生えていて、衛生設備がありません。家賃は月100米ドルですが、彼らにはそれを払うお金がありません。カレドさんは次のように話します。 「わたしとわたしの家族は、戦いが激化して家を逃れてから2日間、野原で過ごしました。子どもたちは毛布もマットレスもないし、病気の子もいます」カレドさんの妻も日々の厳しさを次のように話します。「ここにはトイレがありません。女性が簡易トイレを使う必要があるときに、男性は地下を出ます。状況は悲惨です」

この戦闘で子どもたちの命が奪われています。
国連の報告によると、2019年4月にイドリブとその周辺地域で戦闘が激化し始めて以来、戦闘による全犠牲者の30%が子どもたちです。主に、爆撃や避難キャンプでの寒さと危険な生活環境のために命を落としています。

この1週間だけでも、テントの火災で死亡した子どもたち間に合わせのヒーターで窒息した子どもたち、そして3人の子どもたちが食べ物や燃やせるものを探している最中に土砂崩れで死亡しました

シリア難民支援のために活動しているワールド・ビジョンのヘルス・アドバイザー、ダンカン・アモヨ氏は、次のように述べました。 「特に赤ちゃんと幼児にとって、雨の多い、凍えるような冬の天候の中、濡れた野原で寝て暮らすことは非常に困難です。多くの人が栄養不足で免疫機能が低下している中、緊密にくっついているため、肺炎の発生率が上昇しています。また、インフルエンザに似た病気や下痢も増えています」。

ワールド・ビジョンとシリアのパートナー団体は、毛布やマットレス、台所用品、衛生用品などを含んだ非常用キットを約400人に配布しています。すでに3,294個の越冬支援パッケージを配布し、貯水、給水トラック、トイレの建設を行っています。しかし、イドリブの状況は絶望的で不安定です。1日あたり少なくとも6,500人の子どもたちが家を追われ、爆撃や凍りつくテントの中で死のリスクに晒されています。

国際社会は、この深刻な危機に目をつぶってはなりません。

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