ワールド・ビジョン・ジャパンが1995年から活動している、バングラデシュのカルマカンダ地域開発プログラム(以下ADP)。 長年のご支援により、地域が変わり、そこに暮らす人々や子どもたちの生活に大きな変化がもたらされています。
2018年9月、ワールド・ビジョン・ジャパンの30周年記念イベントのために来日した、カルマカンダの元チャイルドのパンナさんは、チャイルド・スポンサーシップで人生が変わったと語る一人です。
1990年代は、バングラデシュで多くの団体が支援をしていましたが、カルマカンダは交通の便が悪く、支援が行き届いていませんでした。
家屋の多くは土の床や壁で作られ、大きな洪水がおきるたびに、流されてしまいました。洪水の後は、水がなかなかひかず、地域全体が不衛生な水に覆われました。
そのため汚染した水が原因で感染症に苦しむ子どもも多く、十分な食料がないことから栄養不良も問題でした。また教育への理解が乏しかったため、小学校の設備も教育の質もよくありませんでした。
ワールド・ビジョンは1995年にカルマカンダでの活動開始の初期に、衛生的な水を提供するために井戸を設置し、地域の人々が水管理委員会を結成して、井戸の維持管理を行いました。その結果、水に 起因する感染症の子どもが大きく減り、健康状態が改善されました。
現在は、子どもたちの栄養改善、生計向上、教育などを中心に以下のような支援をしています。
外国に応援している人がいる!と感じられること
チャイルドになったのは、生活が苦しくても、子どもにきちんと教育を受けさせたい!というご両親の強い願い。
パンナさん自身は、スポンサーがどういう存在なのか、当初はイマイチ分からなかったけれど、スポンサーからお手紙やカードが届くようになり、外国から私たちを応援してくれる人がいるんだ!と理解できるようになったそうです。
残念ながらスポンサーからのお手紙は、洪水でいつしか流されてしまいましたが、いい香りがするカードや、開くと中から飛び出すポップアップカードなど、いまでも鮮明に覚えていると懐かしそうに話してくれました。
チャイルド・スポンサーシップで実施されるプログラム「子どもクラブ」
ワールド・ビジョンの運営する「子どもクラブ」について、こんなエピソードを話してくれました。
13歳の時、同級生が結婚で退学すると聞いたパンナさん。「子どもクラブ」で、幼いうちに結婚することには大きな弊害があることを学んでいたパンナさんは、友だちと一緒に結婚をやめさせようと、退学する子のお母さんや、学校の校長先生、自治体の担当者にも働きかけ、ついに結婚を食い止めることができたそうです。
今、その同級生は保育園の先生として働いています。彼女が13歳で学校をやめて結婚していたら、自立することもできなかったでしょうね、と話してくれました。
チャイルド・スポンサーシップで学んだこと
今、パンナさんは公立高校で英語教師アシスタントとして働いています。家計の苦しい家庭の子どもたちには、自宅で無償の補習授業も提供しています。
なぜ子どもたちの教育にそんなに熱心なのか? と聞くと、こんな答えが返ってきました。
「私が1人に教えれば、その人の人生を変えていける。その人が別の人を助ければ、その人の人生も変わっていく。そうしてコミュニティに広がっていくことを、私はワールド・ビジョンから学びました。元気で生きている間はずっと続けたいです」
「私を支えてくれたスポンサーの国・日本に来るとは、考えたこともなかったし、今日本にいることが、まるで夢のようだ」、と話していたパンナさんのエピソードをご紹介します。
元スポンサーと対面?
元スポンサーに、あの小さかった私が、スポンサーの励ましでこれだけ大きく自立できているということを伝えたいと、ずっと話していたパンナさん。残念ながら元スポンサーは他界されているのですが、東京で、元スポンサーを知る方に会うことができ、語り合いの時間を持つことができました!
パンナさんの家族とワールド・ビジョン
カルマカンダADPの活動当初、パンナさんのお父さんは写真館での仕事もしていました。チャイルドの写真を撮影することもあったそうで、スポンサーの方のお手元にあるカルマカンダの古いチャイルドの写真は、パンナさんのお父さんが撮ったものかもしれません!