支援地域のことをもっと知りたい!バングラデシュの支援と暮らし

(2018.03.12)

ワールド・ビジョン・ジャパンがチャイルド・スポンサーシップを通して支援を届けている21カ国、45の地域の中から、今回はバングラデシュの3カ所の支援地域(カルマカンダ、フルバリア、ビルゴンジ、ビロル)をご紹介します。

バングラデシュの課題と支援~貧困と子どもの栄養状態

【課題】
国土の大部分がデルタ地帯で、サイクロンや洪水などの被害を受けやすいバングラデシュ。人口の約3割が貧困層と言われています。貧困地域では、食料不足による子どもの栄養不良も課題となっています。

【支援】
縫製、手工芸品作りなどの小規模ビジネスや家畜飼育により、各家庭が農業以外の収入源を得られるよう支援しています。家畜から取れるミルクや卵は、子どもたちの栄養状態の改善にも役立ちます。また、母親たちを対象に、家庭菜園での野菜栽培や栄養ある食事の作り方を指導しています。これらの活動の結果、ビロル地域では栄養不良の5 歳未満児の割合が2014 年の43%から2016 年には27.3%まで減少しました。

ミシンの提供を受け縫製の仕事を始めた女性
(カルマカンダ地域)
栄養改善プログラムに参加する親子(フルバリア地域)

バングラデシュの課題と支援~教育

【課題】
大人たちの教育への理解が乏しいために、小学校入学後の出席率が低く、進級できない子どもたちが少なくありません。また、教師の教え方が適切でなく、生徒の授業内容の理解が不十分なことも課題です。

【支援】
子どもと保護者に対する教育の重要性についての啓発活動や、小学校の校舎の建設を進めてきました。また、教育の質向上のため、教師に対する研修にも力を入れています。

就学前教育センターで学ぶ子どもたち
(ビルゴンジ地域)

バングラデシュの人と暮らし

ベンガル語~4人の学生が命をかけて守った言葉~

「バングラデシュ」という国名は、ベンガル語を話す人々が住む地=ベンガルの国を意味します。1947 年に、東側(現在のバングラデシュ)と西側(現在のパキスタン)に分かれた国土を持つ国「パキスタン」としてイギリスから独立。その後、西側の公用語であるウルドゥ語を強要されることを懸念し、東側の母語であるベンガル語を守ろうと4人の学生が立ち上がりました。

1952 年2 月21 日、その4 人が凶弾に倒れると独立の気運が高まり、1971 年にパキスタンから独立してできた国が、現在のバングラデシュです。なお、この4 人の学生が母語を守るために命を落とした2 月21 日は、その後ユネスコによって国際母語デーに制定されています。

ベンガル文字を学ぶバングラデシュの子ども

米文化~世界で3 番目の米の消費量~

バングラデシュは一人あたりの米の消費量が世界で3 番目に多い国です。日本人が1 日に食べる米はおにぎり3 個分(151g)ですが、ベンガル人は1 日におにぎり12 個分の米(599g)を食べている計算になるという統計データがあります。ただ、貧しい家庭では野菜や魚などの副菜が十分ではないため、栄養のバランスが問題になっています。

子どもたちが米だけでなく、成長に必要なたんぱく質や微量栄養素も摂取できるよう、WV でも様々な活動を行っています。

バングラデシュでは右手で食事をします。左手は「不浄」とされているので食事の時は使いません

担当スタッフから

2015 年から外国人襲撃事件が続いたバングラデシュ。
WV をはじめ、援助団体は以前にもまして高い安全意識をもって仕事を続けています。

バングラデシュは、頻発する自然災害に加え、隣国ミャンマーからの避難民の流入もあり、まだまだ支援ニーズが高い国です。貧困に苦しむ人々の割合を減らし、子どもたちが正しい知識とスキルを身に着けることによって、社会の中に平和を作り出すべく、これからも支援活動を続けていきます。

開発事業第2課 平本 実
(2017年3月までバングラデシュに駐在)

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