(2017.11.10)
ファイザルくん、7歳。お母さんは、3人目の子どもを妊娠中に命を落とし、お父さんは、ミャンマー西部のラカイン州で戦闘が勃発した時に、逮捕され、連行されてしまいました。今は、叔母(ファイザルくんの父親の妹)と一緒に暮らしています。
叔母は涙を流しながら、次のように話しました。「あちこちで家が燃やされるようになった時、村長が、1家族から1人、必ず彼を訪問するように呼びかけたのです。しかし、ファイザルの父親は、抵抗し、訪問しませんでした。すると、男たちが彼を捕えにやって来て、強制連行して行きました。それから、彼の行方は分かりません」
ファイザルくんは、抵抗する父親が、暴力的に、強制的に引きずられていくのを目の当たりにし、心に深い傷を負いました。次のように、当時のことを話してくれました。
「ぼくは、泣いて叫んでお願いしたんだ。『お父さんを連れて行かないで!』って。でも彼らは聞いてくれなかった。お父さんを助けられなかった。」
家族は、お父さんが戻ってくることを信じて12日間待ちましたが、暴力が激化し、銃声が近づいたため、やむを得ず逃れることを決意しました。
「ファイザルは、とても元気で明るい子でした。今は、ふさぎ込んで、毎日泣いています。食欲も失くし、日に日にやせ細っています。夜になると、震え出し、眠りの中で『お父さん、お父さん』と泣きながら叫んでいます。しかし、私にはどうしたら良いか分かりません。誰か、ファイザルを助けてください・・・」
ファラちゃん、12歳。彼女は、次のように話してくれました。
「私は、学校に行くのが好きでした。特にアラビア語とビルマ語の授業が好きで、友だちのファティマちゃんやメナラちゃんと良く遊んでいました。ゲームしたり、縄跳びしたり、毎日がとても楽しくて、幸せでした。編み物をするのも好きで、家で時間ある時は色々なものを編んでいました。
そのすべてが、一瞬で奪われました。村から逃げざるを得なかったからです。その日、私は、見たことのないものをたくさん見ました。
家が燃えていて、死体が池や用水路、道端などあちこちにありました。怖くて全身が震えました。ここにたどり着くまでの間に、親戚とは離れ離れになってしまって、今は、別々の難民キャンプで暮らしています。
友だちに会いたいです。どの難民キャンプにいるのか、生きているのか、分かりません。前みたいに一緒に話したり遊びたいです。勉強したいけれど、もう学校には行っていません。ここには学校がないですから」
・8月25日以降、60万5,000人の難民が、バングラデシュのコックスバザールに辿り着いている
・毎日、1,200~1,800人の子どもたちが国境を越えている
・難民の60%が子ども。うち、30%は5歳未満、7%は1歳未満
・難民の4.9%は妊娠中、9.2%は授乳中の女性
・難民世帯のうち、1.4%が子ども世帯
・15万人の女性と子どもたちが栄養失調の危機に晒されている
・120万人が、緊急に水衛生の支援を必要としている
・新たに辿り着いている27万人以上の子どもたちに教育の機会がない
・約94万人が、住居や緊急物資支援を必要としている
・32万人の子どもたちが、劣悪な住居環境や水による感染症のリスクに晒されている
・報告されているジェンダーに基づく暴力(GBV)の4つのうち2つが、性的暴力
(出典:部門間調整グループ(ISCG)報告書、2017年10月15日時点)
これまでに支援を届けた人の数:10万5250人
活動場所
1. Jamtoli/Thaingkhali
2. Tajnimarkhola/Thaingkhali
3. Balukhali Makeshift Settlement
4. Kutupalong
5. Kutupalong Makeshift Settlement
6. Ghumdhum