(2017.04.10)
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は、日本政府からの無償資金協力を受け、災害リスクの高いネパール連邦民主共和国(以下、ネパール)にて、学校やコミュニティの防災力向上を目的とした「ドティ郡学校・コミュニティ防災事業」を3年間、実施します。
ネパールは気候変動、地震、洪水、そして干ばつなどの自然災害が多発する国です。2015年4月には、ネパール中北部を震源域とするマグニチュード7.8の大地震が発生し、約9,000人の命が奪われました。震災後、ワールド・ビジョンは、復興、防災活動を実施し、特に行政機関による支援が届きにくい子どもたちと人々への支援に努めてきました。
このたび、新たに防災事業を開始することになったドティ郡は、ネパールの極西部に位置する、貧困地域の1つです。2009年より、同地域にてチャイルド・スポンサーシップの地域開発プログラム(ADP)を実施しており、地域には変化が見え始めています。
一方で、同地域は地滑り、地震などの災害リスクの高い地域であるにも関わらず、人々の防災の意識が極めて低く、災害対策が取られていないことが、調査により明らかになりました。学校の校舎の耐久性は低く、屋根や壁の状態が危険な状況にあることに加えて、防災計画や対応委員会もなく、防災訓練も受けたことのない人々がほとんどです。
このような状況を踏まえ、本事業は、特に防災対策が取られていない最も脆弱な地域を対象に、防災力向上のための活動を、3年間実施します。
本事業は、次の3つの活動を通して、防災力強化と、住民と地方政府が協働して防災などに取り組む仕組みづくりを行います。
① 安全な学校施設の整備(モデル校の整備)
学校校舎の耐震強化の補修工事を行います。また、学校の貯水タンクやトイレなど、水・衛生施設を整備することで、安全な学習環境を整えます。
②学校・コミュニティの防災システムの改善
学校改善の計画づくり、および学校防災計画を30校で策定します。また、防災や安全な教育環境についての啓発活動も行います。
③モデル校の取り組みの普及
モデル校の取り組みが、他の学校にも波及するための働きかけや、学校の安全性改善対策についての行政への働きかけをコミュニティが行う仕組みを醸成します。
「自然災害は、どのように備えていたかで、その被害を少なくできることが多くあります。でも、"自分や家族、そして住む地域がいつか被災するかもしれない"
と、リアルに想像することは、案外難しいように思います。
小さい頃から防災が身近な日本人に比べ、事業地の人々の防災の知識は圧倒的に少なく、知識を付けることから始めなければならないことは確かです。しかし、いくら知識が増しても、真剣に自分のこととして捉えなければ、意識は変わらないとも思います。
その想像力を培い、自らの意思で行動を起こせるようなきっかけ作りができればいいなと、夢は膨らんでいます」
・加藤スタッフのブログ ネパール:事業地までの道 (2017.02.09)
・ネパール大地震:発生から6カ月 緊急支援から復興支援へ (2015.10.23)