サマースクール2022開催報告

(2022.08.10)

日本に住む子どもたちに世界の現状を知って欲しいと願い、小学生を対象に毎年開催しているワールド・ビジョン・サマースクール。今年は「SDGs(持続可能な開発目標)」をテーマに、4回オンラインにて開催し、計602名の皆さまに参加いただき、世界の子どもたちを取り巻く地球規模課題を学び、課題解決のために自分にできることを考えました。

1回目 SDGsゴール3保健「感染症と世界の子どもたち」

7月28日(木)午後に、塩野義製薬株式会社様・シオノギヘルスケア株式会社様との協働により、「感染症と世界の子どもたち」をテーマに、小学1~6年生の皆さまを対象に開催し、288 名の皆さまにご参加いただきました。塩野義製薬様による感染症についてのクイズと解説により、ワクチンのことや感染症予防のことを詳しく学びました。さらに、正しい手洗いのポイントについてレクチャーいただき、カメラの前に手を出して実際に手洗いの動きを学びました。また、ケニアの子どもたちの生活に目を向け、健やかな成長に欠かせない水について理解を深めました。そして、塩野義製薬様のご支援により、ワールド・ビジョン(WV)がケニアで進めている母子保健支援事業「Mother to Mother SHIONOGI Project」の事業地の子どもたちに、参加者の皆さんから事前に寄せられた質問にビデオレターで答えてもらいました。

また、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)でアフリカ地域を担当する支援事業部の望月スタッフが事業地を紹介し、皆さんからたくさん寄せられた質問にお答えしました。SDGsゴール3「誰もが健康で幸せな生活を送れるようにしよう」という目標を達成するために、正しい手洗いで自分や周りの人を守ることを実行していけるよう呼びかけ終了しました。

グローバル教育サポーターの東尾理子さんから「家族みんなで正しい手洗いに取り組んでいきたいです」とお話しいただきました。

参加された小学生の皆さんからは「今日学んだことを友だちに教えたいです(5年生)」「将来は絶対に苦しんでいる人やまずしい人を助けて、そんな人達を幸せにするんだ!と思っています。今日はありがとうございました(4年生)」「世界のいろいろなことがわかって楽しかったです(5年生)」などの感想が寄せられました。

ケニアの子どもがビデオレターで答えてくれました
ケニアの子どもがビデオレターで答えてくれました
塩野義製薬様による手洗いレクチャー
塩野義製薬様による手洗いレクチャー
アフリカ地域を担当する望月スタッフによる事業地の紹介
アフリカ地域を担当する望月スタッフによる事業地の紹介
グローバル教育サポーターの東尾理子さんが親子でご参加くださいました
グローバル教育サポーターの東尾理子さんが親子でご参加くださいました

2回目 SDGsゴール1貧困「世界の問題と子どもたち」

8月3日(水)午前に、小学1~3年生133名にご参加いただき、SDGsゴール1「貧困」をテーマに飢餓、水、教育の課題に目を向けました。参加者の皆さまと一緒に「生きるために必要なもの」を確認することから始め、生きるために精一杯の状態である「貧困」について理解を深めました。

また、WVが支援の中で出会った子どもたちの現状を写真や動画で紹介し、クイズ形式で楽しく参加してもらいました。きれいな水が手に入らないソマリアの男の子の動画には、「たいへんそう」などの素直な声が、オンライン会議システムZoomのチャットボックスに寄せられました。

クイズに楽しく参加


3回目 SDGsゴール1貧困「世界の問題と子どもたち」

同日午後に、小学4~6年生82名にご参加いただき、第2回目と同様にSDGsゴール1「貧困」をテーマに高学年向けのプログラムを実施しました。SDGsゴール1「貧困」とゴール2「飢餓」、ゴール4「教育」、ゴール6「安全な水」の課題の結び付きを紹介し、さらに児童労働や児童婚の問題にも触れました。

貧困のため、学校を辞めて児童労働に従事している子どもたちや持参金と引き換えに望まない結婚させられる子どもたちの現状に「世界の子どもたちはこんなに大変だったなんて」など、参加者の皆さんが驚いている様子でした。イベント終盤になるにつれ、チャットボックスには、「これからも世界のみんなのために頑張ろう!(5年生)」、「どんな国も豊かになれるために自分ができることをしたい(4年生)」、「世界1のグローバルキッズになれたらいいな!(4年生)」、「友達に今日のことを教えます(5年生)」など、前向きなコメントも寄せられました。

統計や世界の子どもたちのストーリーを通して問題の大きさと深刻さを紹介

4回目 SDGsゴール16平和「子どもの権利と多様性」

8月5日(金)午前に、小学4~6年生を対象に開催した第4回には、小学生99名にご参加いただきました。

この回はSDGsゴール16「平和と公正をすべての人に」というテーマに目を向け、「平和で誰もが受け入れられ、すべての人が法や制度で守られる社会をつくろう」ということを参加者の皆さまと一緒に考えました。株式会社ポケモン様のご支援により作成した教材を活用し、子どもの権利と多様性の尊重について紹介しました。ウクライナ紛争やシリア危機から逃れた子どもたちの状況や気持ちに、ビデオやストーリーを通して、思いを馳せました。難民・避難民の子どもたちのぜい弱性に目を向けつつも、ただ「かわいそう」なだけではない、その子らしさを形作っているいろいろな要素に目を向けてみよう。多様性を受け入れ公正な社会を実現するために、自分の中にある「決めつけスイッチ」をオフにしてみよう、と語りかけました。チャットボックスには「『みんな違って、みんないい』だね」など、皆さんの感想や受け止めのコメントが寄せられました。
後半では、すべての子どもたちには普遍的に守られる権利があることを学び、WVが支援の中で出会った世界の子どもたちの現状に照らして、子どもの権利が守られているかを考えました。みんな「違う・多様性がある」けれど、みんな「同じ」権利をもっているということをまとめとし確認しました。難しいテーマでしたが、自由参加の質問コーナーにも多くの皆さんが参加され、平和というテーマに照らして、時事問題についても考える機会となりました。

「ひとりとして同じ人はいませんね」多様性について様々な角度から考えました

SDGsをテーマに開催した全4回、参加してくださった小学生の皆さんとともに地球規模課題の中でも特に「世界の子どもたち」に焦点を当て、国際NGOだからこそ提供できる子どもたちの現状をリアルにお伝えしました。また、小学生の皆さんがせっかくの夏休みに、感染症の影響により外出を控えたり、お友だちと直接のつながりを持つことが難しい中で、普段とは異なる経験をしていただけることを願ってプログラムをご用意しました。塩野義製薬様から感染症について専門的に学んだり、アフリカ地域事業を担当するスタッフに直接質問をしたり、「貧困」や「権利と多様性」など一人で学びを深めることが難しいテーマに向き合ってみたり、これらが参加された皆さんにとって、夏休みの特別な経験になるのではないかと思います。このサマースクールを通して、世界に目を向け、同じ「今」を生きる同世代に思いを馳せ、自分にできることを考える行動に移していってもらえたら嬉しいです。ご参加くださった皆さま、ありがとうございました!

皆さまから寄せられた感想の一部をご紹介します。

  • せかいではみずがきたなくて、わたしはきれいなみすがつかえている。できることはなんだろう(8月3日 低学年)
  • わたしたちは、でんきをつかえるけどあるぱんくん(注:ストーリーを紹介したバングラデシュの男の子)は、がんばってえらい(8月3日 低学年)
  • ぼきんのつかわれかたがわかった(8月3日 低学年)
  • 貧しく困っている子がとても多く、私の生活は普通じゃなく、特別なことだと思いました(8月3日 高学年)
  • 難しい問題もあるから募金活動していたら助け合いしたい(8月3日 高学年)
  • この機会で世界の人々の貧しい生活をしれたのでそのことを忘れないでいたいです(8月3日 高学年)
  • とても良い内容ですね。夏休みの自由研究に役立てたいと思います(8月3日 高学年保護者)
  • 嫌なことを嫌といえるような世界にしたい(8月5日 高学年)

当日の様子をYouTubeでご覧いただけます

こちらから当日の様子をご覧いただけます。参加できなかった方、復習したい方、ぜひ活用ください。

  • 1回目 7月28日(木)SDGsゴール3保健「感染症と世界の子どもたち」

  • 2回目 8月3日(水)低学年 SDGsゴール1貧困「世界の問題と子どもたち」

  • 3回目 8月3日(水)高学年 SDGs1ゴール貧困「世界の問題と子どもたち

  • 4回目 8月5日(金)高学年 SDGsゴール16平和「子どもの権利と多様性」

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