(2022.05.02)
アフガニスタン北西部のファリヤブ州には、不毛で埃っぽい丘が地平線まで広がっています。この数年、干ばつと地下水の枯渇により、作物の収穫量はゼロになりました。この惨事に拍車をかけているのは、安全な飲み水を得るのに苦労している人々が、水を媒介とする病気や死に悩まされていることです。
しかし、シャールシャール村は例外です。ワールド・ビジョンが開発した太陽光発電式の浄水システムは、深い井戸から塩分を含んだ地下水をくみあげ、それをろ過して飲料水にすることで、この地域の最も基本的かつ緊急のニーズを解決しました。村の周辺は緑の農地に変わり、村人たちは新しい水を怖がることなく飲み、より健康的な生活を送っていることが報告されています。干ばつの中のオアシスです。
近隣の村を含めた数百人の人々が、この新しい信頼できる水源を利用しています。その効果はすぐに現れました。
シャールシャール村で育った57歳の父親、ナスルラさんは、未処理の水がいかに危険かということを身をもって体験しています。何年もの間、「多くの村人が水に関係する伝染病で死んでいった」と言います。また、病気になり慢性的な胃腸の病気に悩まされる人もいました。「ワールド・ビジョンが来る前は、塩分を多く含む汚れた水があるか、まったく水がないかのどちらかでした。私たちに選択肢はなかったのです」この村では、人々の生業である農業にも支障が出ていました。
しかし、新しく設置されたシステムの水によって、すべてが変わりました。「病気が消えたのです。新しいシステムを導入して本当に良かった」とナスルラさんは言います。
ワールド・ビジョン・アフガニスタンのスタッフは、隣国トルクメニスタンとの国境にあるヘラート州の農村地帯で、アブドゥル君という17歳の若者に会いました。シャールシャール村と同様、きれいな水を手に入れることは、地域の最大の関心事となっています。近くを流れる小川が唯一の水源ですが、その水は動物との共用です。
村のほとんどの子どもたちと同じように、アブドゥル君も家族を助けるために働かなくてはなりません。その責任は重大で、他に選択肢はほとんどありません。「家族のために水をくむのは僕の義務なんだ」と彼は言います。一日に何度も水源に行き、家族が飲むため、生活するため、そしていくつかの小さな畑の野菜を育てるために十分な水を確保します。「僕はいつも働いていたので、学校には行っていません」とアブドゥル君は言います。もう勉強するには手遅れなのではと心配しています。
長年にわたり、彼は腎臓に病気を抱えており、医師はその病気が汚染された水のせいだと考えています。毎日痛みに苦しみ、病院に行ってもその苦しみから解放されることはありません。
紛争と資源不足のため、アブドゥル君の住む村の人たちは、安全な水を手に入れるための設備に投資することができていません。水道の修復には約8,000米ドルかかりますが、シャールシャール村のような新しい浄化システムは約60,000米ドルで、約4,500人に恩恵をもたらすことができます。ほとんどの人が1日1米ドルしか稼ぐことができない中、市場の価格は上昇を続けており、十分な食料も買えないことが多いこの地域には、大きな支援が必要です。
ワールド・ビジョンは、これらのコミュニティと緊密に連携しています。子どもたちが安全で健康的な環境で育ち、豊かないのちを謳歌できるよう、皆さまのご支援に感謝して、これからも活動を進めます。
※人物名はすべて仮名です