なぜ女性と少女は常に危機の矢面に立たされるのか ―アフガニスタンからの報告

(2021.11.26)


アフガニスタンの人々の声に耳を傾けるワールド・ビジョン・アフガニスタン事務局長アスンタ・チャールズ


------------
人道危機が続くアフガニスタンで活動するワールド・ビジョン・アフガニスタンの事務局長、アスンタ・チャールズから、最新の報告が届きました。
------------


2020年の年明けに、世界はジェンダー分野での素晴らしい勝利をお祝いしようとしていました。25年前と比較して、女の子が5歳の誕生日を迎えられる可能性は2倍になりました。学校における男女格差は目に見えて縮小しました。ここアフガニスタンでは、女子生徒の10人に4人が初等教育を受けていました(20年前にはその数はほぼゼロだったのです)。

しかし、最近アフガニスタンで起きている人道危機を世界が目の当たりにする中で、私は再び思い知らされたのです。振り返れば私の人道支援専門家としてのキャリアにおいて常にそうでしたが、危機が起きる時にはいつでも、それがどのような類のものであっても、矢面に立ちもっとも影響を受けるのは、女性・少女だということを。悲しいことに、危機が訪れるたびに、少女たちの未来を拓くことにつながるそれまでの進歩が、しばしばその歩みを阻まれるのです。

私たちは新型コロナウイルス感染症の蔓延という状況においても、この悲劇が繰り返されていることを目撃しました。世界中で膨大な数の女性が、介護や家事の負担を担うために、職を辞めざるをえませんでした。開発途上国では、感染拡大以前には学校に通うことができていた何百万人もの子どもたちが、学校が再開されても二度と戻ってくることはできないのです。統計によると、その大半は女の子たちで、およそ1,100万人にのぼる少女たちが再び教室に足を踏み入れるチャンスを失っていることが示されています。

危機的な飢餓が拡大する中でも、同様のシナリオが展開されています。何百万人もの人々が飢饉の瀬戸際に立たされている中、私たちは最大の犠牲者が女性と子どもであることを知っています。なぜなら、私たちの経験によれば、食料が不足した状況においては、女性と少女は最後になってほんのわずかな量を口にできるか、あるいは、まったく食べられないかのどちらかだからです。

危機が訪れると、苦しみは女性と少女を不均衡に襲います。それは、従前にあった不平等がより悪化し、また、同時に、彼女たちを保護する伝統的なシステムさえも崩壊してしまうからです。

では、私たちはどうすればいいのでしょうか?どこの国であろうと、何らかの形で危機に見舞われることは、避けようがありません。しかし、だからといって、弱い立場にある女性や少女たちの希望が失われて良いはずはないのです。

私はこの希望を個人の体験として知っています。慣習を重んじる伝統的な南アジア地域の家庭で育った私は、「結婚して家族を持つように」という友人や家族からの高まる圧力に耐えながら、夢のために戦わなければなりませんでした。私は慣習に挑み、家族の中で初めて海外旅行をし、自立して生活することを選びました。

そのような私の挑戦の旅路は、私をアフガニスタンへと導きました。そこで私はキャリアを積み重ね、非常に保守的な環境で活動する、最大級のNGOの一つである組織のリーダーとなりました。

私は一人ではありません。私は女の子が支援を受けたときに解き放たれる信じられないほどの可能性を知っています。

ヒルデスさんをご紹介しましょう。彼女は私の母国で学校の校長を務めています。しかし、チャイルド・スポンサーシップの支援がなければ、彼女は小学校さえも卒業できなかった可能性が高いのです。

彼女の村では5年生までしか学校教育を受けられず、女の子は14歳でみな結婚していました。大学に行くという彼女の願いは現実味のない夢物語だったのです。しかし、2002年、ヒルデスさんはチャイルド・スポンサーシップの支援を受けるようになり、彼女は近くの村の学校で勉強を続けられるようになったのです。チャイルド・スポンサーシップによる支援活動は、ヒルデスさん一人が壁を突き破るのを助けただけではなく、村全体に変化をもたらしました。ワールド・ビジョンは、住民を集め、児童婚の弊害と、女の子たちが学校に通うことの利点を考え、理解してもらう研修を実施しました。

このような活動は、チャイルド・スポンサーの皆さまのご支援があってはじめて可能になったのです。ヒルデスさんは、教員養成大学に出願したときは、両親に内緒にしていました。しかし、彼女が合格した時に、入学に賛同したのは両親だったのです。研修を通して、女性の役割に対する両親の考え方も大きく変わっていのです。その後、ヒルデスさんは心理学の修士号を取得し、現在は117人の子どもたちが在籍する学校を学校長として運営しています。

私が今いるアフガニスタンのようなよりぜい弱な国では、不安定さと紛争のため、10~15年の支援計画に基づき地域の変革を目指すチャイルド・スポンサーシップによる支援活動は行うことができません。しかし、だからといって、女の子たちが見過ごされても良いということでは決してありません。世界中の個人や団体の皆さまが継続的にご支援くださるおかげで、近年の教育へのアクセスの拡大は、女の子たちの能力の飛躍的な成長につながり、そのことは、今、医者や教師、その他の職業で活躍している女性の姿に、明らかに表れています。私たちは物事を後戻りさせてはいけないのです。

どこの国であろうと、世界のどこにいても、女の子たちは、ジェンダー格差を縮め、将来の持続可能な変化を推進するかけがえのない潜在的な力を持っています。彼女たちの保護、教育、健やかな成長に投資しないことは、大きな失敗です。

今日、寄付をしてくださるかチャイルド・スポンサーになってくださることが、これまでの進歩を維持し、子どもたちの未来を拓くことにつながります。

関連ページ


"何もかも"はできなくとも、
"何か"はきっとできる

厳しい生活を強いられている子どもたちは、
今日も世界の片隅で懸命に生きています。
一人で何もかもを支援することはできませんが、
一人ひとりができることを始めれば、
やがて世界は変わっていきます。
その変化を通じて、あなた自身にも
新しい世界が拓けてくるはず。

チャイルド・スポンサーシップを通じて、
みんなが見たい未来を、さぁ、一緒に。