(2021.07.08)
「南スーダンの10回目の独立記念日を祝うにあたり、性別に関わらずすべての子どもたちに、将来成功するための質の高い教育の機会が与えられることを願っています」と、南スーダンの少年、ナイボルさん(18歳)は語ります。
2021年7月9日、南スーダンは独立10周年を迎えます。南スーダンのように若い国で、10年にわたり毎年多くの多面的な課題に直面している国はほとんどありません。またそれらの国でも、南スーダンの人々のように、勇敢な姿勢を持ち驚くべき不屈の精神を掲げ、未来がより良く、はるかに明るくなると期待を抱くことができる人々も多くは存在しません。
「10年の節目を迎える今年の独立記念日は、南スーダン繁栄への希望と期待とともに訪れます。また、国民が夢を実現させるために、権力者、家族、地域社会の人々からの新たなコミットメントが求められています」と、ワールド・ビジョン・南スーダンの事務局長、ドクター・メスフィン・ロハは言います。
国連が公表している南スーダンの教育クラスター報告(The South Sudan Education Cluster report)によると、同国では3~17歳までの340万人の少年・少女が教育を必要としており、6万6,000人以上の教職員が不足していると推定されています。
しかしこうした状況でも、12歳の少年、アブラハムさんの希望は揺るぎません。「僕たちは木の下で授業を受けていますが、将来への希望に満ちています。僕たちは未来を担う大切な存在であり、もっと多くの学校と、安全に学べる環境を必要としています」
ユニセフ(国連児童基金)は、人道的状況報告(Humanitarian Situation Report)の中で、次のように警鐘を鳴らしています。「南スーダンは、ここ数年で最悪の人道危機の一つを経験しています。被害を受けた人々の半数以上が子どもたち(440万人)です」さらにユニセフは、同国のいくつかの地域では、急性栄養不良に陥る子どもの割合が緊急事態の閾値を超えていると述べました。
「子どもを死から守るための医療制度の改善と、少女を児童婚から守るための家計の改善が必要です」と、南スーダンの少女、アティエンさん(10歳)は訴えます。同報告書によると、2021年には合計で140万人の子どもが急性栄養不良に苦しむと懸念されており、そのうち30万人が最も深刻な栄養不良状態に陥ることが予測されています。
6月21日に発表された南スーダンに関する国連総会事務総長報告書には、154人の子ども(うち28人は少女)に対する165件の重大な違反が確認されており、2019年にも11件が確認されたと記されています。これらの違反行為には、武装集団への動員、殺害、生涯残る怪我を負わせる傷害、強姦、その他の性的暴力が含まれます。
14歳のアプクさんはまだ幼くても、彼女のような子どもたちに対する深刻な脅威を認識しており、子どもたちが武力紛争やその他の形態の暴力から解放される必要性を強調しました。「武装集団による子どもの徴兵は、子どもの夢を奪い取ります。これは止めなければならず、子どもたちは保護されなければなりません」