難民問題を「自分ゴト化する」難民ユースシンポジウムを開催

(2019.06.03)

「世界難民の日」を前にした2019年6月2日(日)、ワールド・ビジョン・ジャパンは「第3回難民ユースシンポジウム2019」を開催しました。

「アフリカ最大の難民居住地の現状とその未来~当事者、訪問者、支援者、受入れ者の視点で考える~」と題した本シンポジウムには、若者を中心に100人が参加。難民問題の背景を学びつつ、どのようにして各登壇者が難民問題を「自分ゴト化」してきたかというパーソナルな話を中心に、これから日本人として、学生として、どのように難民問題に取り組めるかについて考えました。

難民としての "LIFE"

7歳の時に南スーダンからウガンダに逃れた Seme Nelsonさんは、その後17歳まで難民として生きたことを話しました。

「ウガンダに逃れてから最初の3カ月は、コレラ等の感染症で命を落とす子どもが多かった中、とにかく生き延びるために必死でした。物資も不足し、様々な苦労は語り尽くせないですが、そんな苦しみの中でも多くの『やさしさ』に出会いました。木の下で受けていた授業は、今でも、美しい記憶として残っています。それは、人間の『やさしさ』は、能力によらず、無限であることを証しているからです。物質的・金銭的に与えられなくても、『やさしさ』は与えられます

元難民の Seme さんが発する言葉一つひとつには重みがあり、会場から多くの質問や励ましの言葉が寄せられました。

難民問題を「自分ゴト化する」とは?

ジャーナリストでBuzzFeed Japanシニアフェローの古田大輔さんがファシリテートしたパネル・ディスカッションでは、各登壇者がそれぞれの立場においてどのように難民問題を「自分ゴト化」し、実施できるアクションをとってきたかについて話されました。会場から終始デジタル上で質問を受け付け、寄せられた多くの質問を取り込みながらインタラクティブなディスカッションを行いました。

開成高校の "K-Diffusionors" は、ウガンダにあるビディビディ難民居住地を訪れ、そこで感じたことを「講演会」という形で発信はしたものの、身近な友だちと日常の中で「難民問題」について話す難しさに言及しつつ「それでも発信し続けるべき」と、強調しました。

<「生きる」から考える>と題し、難民の人々が置かれている状況やそれを取り巻く国際社会の現状などについて、分かりやすく話してくださった国際基督教大学の新垣修教授
数日前までウガンダの難民居住地へ出張していたWVJの池之谷スタッフ。ウガンダの難民受入れ状況や、難民居住地で目の当たりにした1人の難民の男の子について話しました
会場からの質問を取り入れながら活発の質疑応答が行われました

駐日ウガンダ大使が明かす、ウガンダの難民受入れ政策の背景

ベティ・グレース・アケチ・オクロ駐日ウガンダ大使がスペシャルゲストとして登壇し、なぜウガンダが優しい難民受入れ政策をとっているかについて話しました。

ウガンダは、1970年から1980年にかけて多くの難民を産み出した際にスーダン南部(現在の南スーダン)含む隣国に保護してもらった歴史があることに言及し、

過去に受けた『やさしさ』を返しているのです。南スーダン人とは文化や言語も似ているので受入れやすいし、アフリカの問題は、アフリカで解決するという思想もあります」

と話しました。

一方で、資金不足や環境破壊、ホストコミュニティへの支援が行き届かず国内で不満の声があがっていることなどの様々な課題を抱えていることを話し、それらの解消に向けての提案でスピーチを締めくくりました。

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