グランプリ賞決定!難民の子どもたちに「アイデアの寄付」をする難民支援コンペ

(2019.06.21)


決勝大会進出を決めた8チーム/個人、審査員、司会、協賛企業のみなさま


難民問題・難民支援に関心を寄せる若者140名が集結!

2018年から開催している「未来ドラフト~わたしと難民がつながるアイデア・コンペティション~」。グランプリ賞を決める決勝大会を、「世界難民の日」を間近に控えた2019年6月16日(日)、東京・表参道にて開催しました。当日は、難民問題・難民支援に関心を寄せる若者約140名が全国から集まりました。

全国から寄せられたアイデアは、昨年を上回る223件。一次審査を勝ち抜いたベスト8のアイデアからグランプリを決めるこの日、各アイデアの発案者たちは、審査員および来場者の前で熱いプレゼンテーションを行いました。その後、厳正なる審査を経て、グランプリ賞・準グランプリ賞・特別賞・オーディエンス賞が決まりました。

グランプリ賞を受賞したアイデアは、その発案者が自らウガンダにある難民居住地を訪問し、ワールド・ビジョン・ジャパンとともにそのアイデアを実現します(渡航時期:2020年1月上旬予定)。


未来ドラフト2019:グランプリ賞


アイデア名:見せてとびきりの笑顔~Let's share smiles~
チーム名:チェカチェカ(埼玉)
アイデア概要:
「平和とは、個人が健康な状態である」を中心コンセプトに口腔衛生に着目。フィリピンの貧困地域で出会った女性に歯が1本もなかったことを原体験として、いかに口腔衛生が大事かを難民の子どもたちに啓発する。歯ブラシは日本から寄付するのではなく、持続可能性を持たせるために現地でとれる「木」を使って歯ブラシをつくる。

受賞者コメント

「『難民』は『難しい人』ではない」という言葉を聞いたことがあります。

難民問題を難しくしてしまっているのは、私たちかもしれません。
これから、チェカチェカの活動が本格的に始まります。「平和」その定義は人によって違うでしょう。その中で私たちは、口腔環境を整えることの重要性を伝えることで、「平和」を実現していきたいと思います。

「すべての人々に "何もかも" はできなくとも、誰かに "何か" はきっとできる」そんなワールド・ビジョンの理念に乗せて、たくさんの人を巻き込んで、ビディビディの子どもたちに笑顔を届けます」


審査員コメント:葉田甲太さん(医師・NPO法人あおぞら代表)

『平和とは健康である』という言葉がすごく心に響きました。口腔ケアという着眼点が良かったですし、現地の木を使うという点で、持続性も良かったです。

ぼくもお医者さんなので、癌などで痛がっている人の苦しみを見て、やっぱり、それを取ってあげたいと思っています。<ぼくの平和があなたの平和>とは限らないし、平和にするってすごく難しいことだとは思うんですだけど、痛んでいる人の痛みを取ってあげるのは、それは、平和に近いかなと。さらに、何が素晴らしいかと言うと、彼ら(発案者)が歯医者さんではないところですね。自分たちにできないことは歯医者さんにお願いしに行っているその人間性も素晴らしいと思います。現地に行って、たくさんの人を笑顔にしてください」


未来ドラフト2019:準グランプリ賞


アイデア名:Peace Misanga Project
チーム名:あゆのおかず(北海道)
アイデア概要:
大切な人にミサンガを作って、渡し、身に着けてもらう。ミサンガを受け取った人もミサンガを作って大切な人に渡す。そのようにしてミサンガが広まっていくと、目の前の知らない人が誰であろうと、そのミサンガをしていたら「この人は誰かにとって大切な人」であることを思い出し、互いに優しくなるきっかけになるのではないか。平和構築とは、まずは目の前の人を大切にすること。

受賞者コメント

「この度は「未来ドラフト2019」準グランプリをいただき、誠にありがとうございます。Peace Misanga Projectは、<大切な人を大切にする>、という考え方を軸にしています。私たちの経験や思いをこのような機会で皆さんに伝えることができたこと、大変嬉しく思います。関わって下さったすべての人に感謝申し上げます。本当にありがとうございました」


審査員コメント:古田大輔さん(ジャーナリスト・BuzzFeed Japanシニアフェロー)

「実現性がものすごく高く、シンプルで継続性もあり、広がりもある。これは、#MeToo 運動や、最近ヨーロッパで広がりを見せている I am here 運動と似ています。それはどういう運動かというと、声をあげた人に対して、『あなたは1人ではないよ、仲間がいるよ』ということを伝えるムーブメントなんですよね。

同じミサンガをつけるというのは、同じ効果があると思います。もし違う民族に所属している人が同じミサンガをつけていたら、『あ、一緒なんだ』と思うことができるし、日本と難民居住地が画像を通して同じミサンガをしていることを知れたら『ここでも繋がっているんだ』と思えて、素敵なアイデアだと思いました。今後もがんばってください」


未来ドラフト2019:特別賞


アイデア名:アフリカを変える紙飛行機プロジェクト
チーム名:県相紙飛行機研究会(神奈川)
アイデア概要:
小惑星探査機「はやぶさ」の帰還に感動し、航空宇宙に興味を持ってからはや10年。その一環で、紙飛行機を世界一遠くへ飛ばすための研究をしているが、この研究成果を社会に還元したいと思うようになった。難民の子どもたちと紙飛行機をつくり、遠くに飛ばす面白さと喜びを感じてもらいながら、データ分析、科学、物理等などの学習効果も狙う。飛ばす紙飛行機にへ平和への願いや想いを書き、難民居住地内に届ける。

受賞者コメント

「このような特別賞をいただけて、とても光栄です。審査員のみなさん、WVJのみなさん、そして全国から来てくださった皆さん、ありがとうございました。

私は、紙飛行機はアフリカを変える可能性を持っていると思います。国籍、人種、性別に関係なく誰でも飛ばす事の出来る唯一無二の遊び道具・学習道具でもあるため、アフリカのみならず、全世界の子どもたちを笑顔にできると確信しています。今後も、全世界で紙飛行機の普及活動は行っていきたいと考えています」


審査員コメント:税所篤快さん(国際教育支援NPO e-Education創設者)

「このアイデアは切り口がとても独創的で、世界中で、難民居住地と紙飛行機を結び付けたのは、たぶん彼が初めてなんじゃないかと思います。そういう誰も考えたことのないことはすごく価値があると思って、ぼくは痺れました。

あと、それが自分の好きなことから出ている、というのが、無理なく頑張れるし、さらに良いですよね。もしこのアイデアが実現していたら、難民の子どもたちと一緒に面白いことができるのが見えて、ワクワクしました」


未来ドラフト2019:オーディエンス賞


アイデア名:カカオ豆のその後~チョコで世界のおいしいを味わおう
チーム名:ひなあんどゆーな(三重)
アイデア概要:
カカオ豆生産量が世界第5位のウガンダで暮らしている難民の子どもたちのほとんどがチョコを食べたことがないことに着目し、「チョコ=平和の味」を中心コンセプトに現地で簡易チョコをつくるアイデア。試行錯誤した末に、40度近い環境でも溶けず、限られた砂糖や甘みで楽しくチョコを作る方法を編み出した。「チョコの作り方ブック」を現地に残し、1人でも多くの子どもにチョコの味を楽しんでもらいつつ、パティシエなどの職業にもつなげたい。

受賞者コメント

「私たちは今回、チョコレートをテーマに企画を考えましたが、他の皆さんのアイデアを聞いて、私たちが考えもしなかった世界が広がりました「未来ドラフト」という企画としては終了しましたが、今回吸収したことを今後に活かし、このご縁を大切にしていきます。ワールド・ビジョンの皆さん、審査員の皆さん、一緒に発表をした皆さん、応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました」


審査員コメント:小林さやかさん(映画『ビリギャル』本人)

自分たちの国でつくられているカカオが、どれだけの人を幸せにしているかを知らないというのは、確かにすごく不思議なことで、もったいないことだと、2人の発表を聞いて思いました。

ビリギャルも、『もともと頭良かったんでしょう』ってすごく多くの人に言われるんだけど、あの話って何かって言うと、自己肯定感の話なんです。自分にはちゃんと価値があることを知っているチカラのこと。これは「未来を描く力」になります。そういうことを難民の子どもたちに伝えられる素晴らしいアイデアだと思いました」


その他のベスト8アイデア

はな先生の世界一受けたい授業~ビディビディ産の石鹸を作ろう~

アイデア名:はな先生の世界一受けたい授業~ビディビディ産の石鹸を作ろう~
チーム名:チョコミント(東京)
アイデア概要:
難民居住地で不足している "石鹸" に着目。現地で調達できる灰と油を組み合わせ、決して完璧ではないかもしれないが石鹸としての機能を果たす最低限の石鹸を現地で生産する。衛生面の向上で命を救い、生活環境の改善で気持ちに余裕がうまれ、良好な人間関係、平和構築に繋がる。中心コンセプトは "Not perfect, but enough"。


未来の自分を探しに行こう~楽しく学べるボードゲーム

アイデア名:未来の自分を探しに行こう~楽しく学べるボードゲーム
チーム名:獨協大学米山ゼミ(埼玉)
アイデア概要:
ボードゲームを通して難民の子どもたちに様々な職業の紹介をし、教育を受ける重要性を楽しく学んでもらうことを目指す。教育を受け、良い職に就き、収入を向上し、貧困状態を抜け出す人が多ければ多いほど平和構築に繋がると考える。その第一段階として、子どもたちが「もっと勉強したい」という気持ちになれるように、問題を解きながらコマを進めるボードゲームを考案。解けた問題の数だけコインをもらえる仕組みを取り入れ、教育と収入のリンクをつくる。


じゃんけんで笑うけん!~びでぃびでぃで創る世界一のゆめみかん~

アイデア名:じゃんけんで笑うけん!~びでぃびでぃで創る世界一のゆめみかん~
チーム名:夢みかん(福岡)
アイデア概要:
日本では当たり前のように遊ばれている「じゃんけん」は、難民居住地には存在しない。言語や年齢、性別を乗り越え、一瞬で笑顔になれる「じゃんけん」を難民の子どもたちに伝えられたら、水汲みの順番や遊具を使う順番などの小さな争いを楽しく解決できる。それは、子ども時代に始められる平和構築の第一歩だと信じる。


ビディビディ2020 Undoukai

アイデア名:ビディビディ2020 Undoukai
チーム名:LJKレボリューション(福島)
アイデア概要:
カンボジアの貧しい地域の子どもたちと楽しく運動会をしたあとの別れ際、子どもたちに「お金ちょうだい」と言われたショック体験をもとに、難民の子どもたちや現地文化を尊重した運動会を考案。日本から持ち込むものを最小限にし、現地にあるものを活用した様々な競技を行い、民族・国籍間の対立や軋轢を少しずつ乗り越えることを目指す。平和な国をつくるのは彼ら自身、先進国の私たちではないからこそ、運動会が「ただの楽しかった日」で終わらせず、子どもたちの中で平和を目指す心をはぐくみたい。


審査員・総合司会から若者たちへの激励コメント

リモート審査員:小島慶子さん(タレント・エッセイスト)

「ファイナリストのみなさんのプレゼンテーション、とても楽しかったです。どれも素晴らしかったし、気持ちが伝わってきました。グランプリを決めるのに本当に苦心しました。みなさん、ありがとうございました。おめでとうございます」(オーストラリアよりリモートで審査にご参加くださいました)


総評:古田大輔さん(ジャーナリスト・BuzzFeed Japanシニアフェロー)

「かなり接戦で、みんなで色々議論しました。どれだけ広く、包括性をもって貢献できるのか、独創性、実現性等を総合的に考えて選ばせていただきました。運動会やじゃんけん、ボードゲームも石鹸のアイデアもどれも素晴らしいアイデアだったと思います。

ぼくが難民や貧困や飢餓に関心を持ち始めたのは20歳の頃でした。みなさんとちょうど同じ年ぐらいですね。今ぼくは41歳ですが今も関心が続いていて、このような場で話したり、自分にできることはないかをその後20年ずっと考えています。時には、ぼくの場合は<報道>という立場から、できたこともあったのではないかと思っています。

ぼくが20歳の頃に比べたら、みんなのほうがずっとレベルが高いです。当時はyoutube もなく、現地の状況が全く分からず、自分で行ってみるしかありませんでしたし、NPOの支援活動もこんなに広がっていませんでした。その中で、みなさんは情報を得ることができるし、こういう場に来ることができるし、プレゼン能力もすごく高い。皆さんみたいな人たちがいるから、世の中は少しずつ良くなっていくんだろうなと勇気づけられました。

未来ドラフトの「ドラフト」は、ドラフト会議のほうのドラフトではなくて「草案」のほうです。つまり、「まだ提出されていない文章、今から完成に持っていく文章」という意味が込められているので、今日で終わりではなく、これからもさらにがんばってほしいと思います。ぼくもがんばります」


総合司会:塩田真弓さん(テレビ東京「ゆうがたサテライト」キャスター)

2020年東京オリンピック・パラリンピックで来日する難民五輪選手団を通して、私たちは難民をより近い存在に感じることになると思います。実は、私も最近そのことを調べていたのですが、日本の約300の自治体が各国の選手団の受入れを表明している中で、難民五輪選手団の受入れを表明している自治体がまだなかったのです。そういうところにおいても、これから手をあげる自治体がたくさん出てきたらいいなと思いました。

今日のみなさんのプレゼンテーションは、一人ひとりの現地の難民の人たちの立場に立って考えたからこそ、具体的で実現性の高いアイデアになっていたと強く感じました。そういう寄り添う気持ち、その立場になって考えてみるということが、みなさんのお友達、ご家族、たくさんの人たちに引き継がれていき、また新たなアイデアが生まれることを楽しみにしています」


懇親会:アイデアエントリー者同士が交流

難民問題を中心に同世代で交流!

アイデアをエントリーした人のみを特別招待した「未来ドラフト2019懇親会」を決勝大会後に開催し、岐阜、三重、石川などの地方から参加してくれた大学生も含めて約50名の若者が交流しました。

受賞者含めベスト8のチーム/個人の準備段階の裏話や、難民問題に関心を持ったきっかけ、アイデアを応募しようと決めた理由などを分かち合い、熱気あふれる温かい時間となりました。





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