(2015.12.22)
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)と塩野義製薬株式会社(塩野義製薬)が、日本とケニアのお母さんの健康を応援するため、協働で実施する「Mother to Mother SHIONOGI Project(MtoM)」。12月11日(金)、本プロジェクトを広く知っていただくため、メディア関係者向け説明会が塩野義製薬主催で開催されました。
当日は、プロジェクトの紹介だけでなく、ケニアから招いた2名のゲストが現地の状況や母子保健のニーズ等を詳しく説明。新聞・テレビをはじめとする14社18名のメディア関係者が出席しました。
説明会の冒頭で、本プロジェクトのオーナーである塩野義製薬の竹安正顕執行役員・海外事業本部長は、同社の感染症薬開発の歩みを紹介し、「感染症の制圧を目指して、GHI Fund※にも加盟しました。このような活動は、先日国連で採択されたSDGsや安倍政権が進める保健外交戦略に沿っています。このプロジェクトを通して、WVJやメディアの力を借りながら途上国への支援を続けていきたい」と述べました。
※Global Health Innovative Technology Fund エイズや結核、マラリア、顧みられない熱帯病(NTDs)など、特に発展途上国でまん延する感染症の制圧を目指す活動。
続いて、M2Mの土田愛プロジェクトリーダーより、このプロジェクトへの思いが発表されました。
土田氏は塩野義製薬に入社後、休職して、青年海外協力隊員としてケニアのエイズ対策に2年間従事しました。「医療の届かない場所に薬を届けたいという思いはあったものの、圧倒的なケニアの現実を前に、限界を感じたこともありました。しかし、'自分にできることは何か'と考え続けました」諦めずに考え続けた結果、「'感染症の塩野義'と'感染症と戦う人'をつなげることをしようと思い、このプロジェクトを考え、会社に提案しました」とこのプロジェクトが始まることになった背景を披露。そして、MtoMを足がかりに社内の意識をアフリカに向け、アフリカマーケットへの参入も視野に入れて行きたいと、将来の展望を語りました。
MtoMの事業地があるケニア南西部ナロク県より来日した保健担当官のDr. エスター・チュラ氏が、事業地であるイララマタクの現状を説明しました。
約15,000人のマサイ族が暮らすイララマタクは、「最寄りの病院まで88km、最低限の処置ができる保健センターまで25kmも離れています。電気も電話線もないため、緊急時には大問題です」住民の平均寿命、乳幼児死亡率、医療制度なども、ケニアの平均と比較して悪い状態にあるといいます。「また、住民の大多数は貧しく、十分な教育も受けられず、女性の立場も弱いままです。窓のない家に暮らしているため調理の煙が家中に充満するなど、不健康な習慣も残っています」
このような状態にあるイララマタク地域ですが、チュラ氏はMtoMに期待を寄せています。「MtoMで臨床検査室や産婦人科病棟が導入されることにより、乳幼児死亡率や妊産婦死亡率の改善、予防接種の普及、きちんとした教育を受けた助産師の活用などが進むでしょう。こうした改善は、私たち行政と協働で進めていきます」と語りました。
次に、プロジェクトを実施するワールド・ビジョン・ケニアの保健担当アソシエイト・ディレクター、Dr. マーガレット・ジェンガが、MtoMの事業プランについて説明しました。
「プロジェクトの目標は、①妊産婦と子どもの死亡率低減②県や国などが掲げる保健分野の目標達成です。プロジェクトが終了する2018年には、妊産婦と子どもの健康管理を自立的かつ持続的に行えるコミュニティを実現したい」と、力強く語りました。
具体的には、「1年目は、診療所の建設や遠隔地に出向いて診療する'巡回診療'などを実施します。2年目は、村で保健活動をする'村落保健員'のトレーニングや診療所スタッフへの研修、そして必要な機材の調達など。3年目は、村落保健員が収入を得られるような仕組みの確立とプロジェクト全体の評価を実施する予定」といいます。この活動の持続可能性を担保するため、県や住民組織と密に協力して事業を進めることを強調しました。
また、WVJ常務理事、事務局長の片山信彦は、塩野義製薬の熱い思いとケニアのニーズをつなぐ架け橋として、イララマタクのコミュニティや保健関係者、行政組織と連携して事業を進めていく国際NGO、WVJが果たす役割を語りました。
締めくくりとして、保健担当官のチュラ氏が改めて登壇し、次のようにメッセージを送りました。「ケニアを代表して、日本と塩野義製薬とワールド・ビジョン・ジャパンに感謝をお伝えします。特に、日本のママたちに感謝しています。ポポンSで日本のママが健康になり、その売上げによる寄付でケニアのママが元気になることは、お互いにとって有益です。子どもを失う悲しみは、日本人もケニア人も同じです」
日本とケニアのお母さんを元気にするMtoMの進捗状況については、引き続きホームページなどでお知らせします。
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