国際NGOワールド・ビジョン声明:ガザの子どもたち餓死の報告は 「重大な懸念」。人道支援拡大と平和を祈ります

(2024.03.12)

世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、2024年3月8日に声明を発表し、総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Classification:IPC)*が2023年12月に発表した報告書で、ガザ地区で飢きんの危険性が高まっていると警告した後も、同地区で子どもが餓死する報告が増えていることに深い憂慮を示しました。

*IPC:国際的に認められた科学的基準に従って、食料危機の深刻度と規模を判断するためにデータを分析するマルチステークホルダー・プラットフォーム

紛争は子どもたちに、不釣り合いなほど影響を与えます
    • ガザ住民の100%が、2023年12月から2024年2月の間に、IPCフェーズ3「急性食料不安」以上の危機的なレベルの食料不安に直面していた
    • ガザ地区では、少女、少年、女性、男性の4人に3人が、IPCフェーズ4「人道的危機」以上の状態にあり、飢餓による死亡のリスクが急激に高まっている
    • 4世帯に1世帯 (50万人以上) がIPCフェーズ「飢きん」の状態にあり、 壊滅的な飢餓に直面している

2017年に南スーダンで宣言されて以降、世界のどこにも「飢きん」は宣言されていません。南スーダンでは、宣言が出される前に100万人以上の子どもたちがすでに急性栄養失調にありました。命を落とした子どもたちの半数は、正式な宣言が出される前に死亡しました。だからこそ、正式な飢きんの宣言が無くても、ガザ地区の子どもたちの命を救おうとするならば、これらの警告を真剣に受け止めなければなりません。飢餓と栄養不良による壊滅的な直接的・長期的影響に対して、子どもほど脆弱な集団はいません。しかし、子どもたちは成長し繁栄することはおろか、今日を生きるために必要な最低限の栄養さえも得られていないのです。

3月初旬の報道によるとガザの病院で少なくとも15人の子どもたちが餓死したと報告されていますが、実際の数ははるかに多いと推計されています。ワールド・ビジョンは、未曾有の大惨事を回避するために、国際社会の即時の行動を呼びかけます。

ワールド・ビジョンの中東および東欧地域の責任者エレノア・モンビオは次のように述べます。
「他の多くの紛争と同様に、適切な人道支援が時間通りに届けられれば、飢餓や子どもの死は防ぐことが可能です。これらの報告は、時間が残り少なくなっており、食料や命をつなぐためのその他の人道援助を直ちに届けることが、危機に巻き込まれた子どもたちの生死に関わる問題となっていることを示しているのです」

ワールド・ビジョンの総裁/最高責任者であるアンドリュー・モーリーは次のように述べます。
「子どもたちは、紛争によって受け入れがたいレベルの食料不安、栄養不良、飢えに追い込まれており、ガザ地区ほどこの事が顕著な場所は世界のどこにもありません。影響を受けた子どもたちの数の多さは、胸が張り裂けそうであり、破滅的なものです。すべての数字の背後には、子どもとその家族のそれぞれの物語があり、そして、生き抜くための戦いがあるのです」

人道支援が拡充され停戦が持続的なものとなれば、地域全体が恩恵を受けることになります。子どもたちは不釣り合いなほどに影響を受けており、命を脅かす健康への直接的な影響だけでなく、長引く飢餓や栄養不良による長期的な発達への影響を受けるリスクにも晒されています。この世代の子どもたちはすでに深刻な心身の傷を負っています。暴力と飢饉は、子どもたちが今日そして将来直面する課題をより深刻なものにするのです。

ワールド・ビジョンの総裁/最高責任者であるアンドリュー・モーリーは続けて次のように述べます。
「私たちは、数カ月にわたる想像を絶する痛みと苦しみによって人生が打ち砕かれた数えきれない子どもたちのために、平和が広がることを望み祈ります。すべての子どもの命は尊く、神聖なものであり、子どもの保護は国際法でもうたわれています。いかなる子どもも、このような恐ろしいレベルの飢餓を経験すべきではありません。これほどの規模の食料不安に子どもたちが苦しむことは悲劇であり、多くの子どもたちとその家族がこのような困難を強いられていることは、受け入れ難いことです」

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ワールド・ビジョン・ジャパンとは

キリスト教精神に基づき、貧困や紛争、自然災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録された、約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所です。
※詳細はこちら:www.worldvision.jp

ワールド・ビジョンの飢餓への対応

ワールド・ビジョンは、活動国の中で特に深刻な飢餓のリスクの高い28カ国において、急性的な飢餓を経験している弱い立場にある少女、少年、家族の喫緊のニーズに対応しています。また、飢餓、栄養不良、食料不安の要因と、子どもたちへの影響に注目し、各国政府や国際機関に対して、大規模な餓死を防ぐため対応を拡充するよう提言しています。

パレスチナ自治区におけるワールド・ビジョンの活動

ワールド・ビジョンは1975年にエルサレム、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区で活動を開始しました。それ以来、ヨルダン川西岸地区で活動する組織の中で最も広範なコミュニティに根差した支援活動を発展させ、80人の専任スタッフを擁しています。2023年には、ヨルダン川西岸地区の約150カ村に住む、およそ9万5,000人の子どもたちを含む13万6,000人以上の人々とともに活動を進めました。ワールド・ビジョンはまた、レバノン、ヨルダン、シリアを含む地域の多くの国で活動しています。ワールド・ビジョンはガザ地区では、2016年以降、現在も、活動していません。

本件に関する報道関係者からのお問合せ先

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン 広報担当:德永美能里
【電話】090-6567-9711  【Eメール】minori_tokunaga@worldvision.or.jp

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