(2023.10.10)
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョンは、女児の教育機会保障とエンパワメントを目指し国連が定めた10月11日「国際ガールズ・デー」に先立ち、調査報告書「若くして結婚して(原題:Young and Married)」を発表しました。
当報告書は、ワールド・ビジョンが、2021年から2023年にかけて4カ国約9,500名を対象に実施した、結婚した少女や若い女性の体験の聞き取りやニーズ調査をまとめたものです。
調査の結果、少女たちが地域の伝統的な慣習や、不十分な教育システム、身体的暴力によって児童婚に追い込まれ、その後、自由に意思決定できない人生を送っている実態が浮き彫りとなりました。
また、児童婚が、少女の教育への願いと少女の心身の健康(ウェルビーイング)におよぼす深刻な影響が明らかになりました。
ワールド・ビジョンは、少女があらゆる暴力から守られるよう強く訴えます。
「若くして結婚して(原題:Young and Married)」
2023年10月3日発表
報告書全文はこちら(英文)
調査プロジェクト「子ども花嫁の声を聴く」(原題:Listening to Child Brides)
【目的】結婚した少女や若い女性の経験やニーズ、また、少女や女性の多様で複雑な、結婚内外のことに関する自己決定権や裁量について理解を深め、少女や若い女性をよりよい支援につなげる
【調査時期】2021年~2023年
【実施国・地域】タンザニア、モーリタニア、ネパール、バングラデシュの4カ国。調査は、ワールド・ビジョンが活動する地域で実施され、各国の代表的な地理的特徴を持った地区を選定。
【調査手法】複合セクターの混合研究法。量的データは12歳から14歳の既婚・未婚の少女や若い女性たち9,469人から収集。質的データは16歳から18歳の既婚・未婚の少女や若い女性たちからグループディスカッションを通して収集。
「毎年、約1,200万人の少女が18歳未満で結婚を強いられ、非常に高い確率で、学校の中退、性的暴力、家庭内暴力、うつ病のリスクにさらされています。選択肢が限られた厳しい生活の中、少女や若い女性の早期結婚はあたかも合理的な最善策のように見なされることもありますが、決してそうであってはなりません。児童婚が当たり前となっている地域では、慣習や周囲の期待が少女たちの思想を形成してしまい、少女が自己決定する機会がほとんどないのです」
「誰ひとりとして、結婚を強要されるべきではありません。世界のどこで生まれても、すべての女の子に教育を受ける権利があり、進路を選択する自由があるべきです。言うまでもなく、性的暴力に怯えて暮らすべきではありません。しかし残念ながら、何百万人もの少女たちの今は、そうなっていません。『国際ガールズ・デー』を目前にひかえた今、地域の有害な慣習を変えることで少女たちがより大切にされ、あらゆる暴力から守られ、豊かな人生を楽しめるようになる重要性を強く訴えます」
「幼い時はたくさん勉強して成功することを夢見ていました。でも、わたしの夢が叶うことはありません。私は自分の子どもには18歳までは結婚させません。子どもにはよい教育を受けさせ、よい市民になって欲しいと願っています」
チャダニさん(18歳)ネパール。14歳で結婚を強いられた
「私は女の子・女性のエンパワメントを信じています。すべてのお父さん・お母さんに次のように言いたい。女の子はあなたの家族の重荷ではありません。女の子が家族にとって強さになるように育ててください。女の子を子どものうちに結婚させないでください」
シーラさん、バングラデシュ。14歳で強制的に結婚させられ、暴力と虐待を受けたが、勇気をもって行動し、復学した
キリスト教精神に基づき、貧困、紛争、災害等により困難な状況で生きる子どもたちのために活動する国際NGO。国連経済社会理事会に公認・登録され、約100カ国で活動しています。
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特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン
広報担当:德永美能里 【電話】090-6567-9711 【Email】minori_tokunaga@worldvision.or.jp