(2018.3.15)
世界の子どもを支援する国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン(東京都中野区/以下、WVJ)は、2030年までに子どもに対する暴力を撤廃することが持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)で採択され、暴力撤廃に向けた動きが世界的に強まっている中、シリア難民危機発生から7年を迎える本日、「教育」を通じて難民・移民の子どもに対する暴力撤廃を目指すキャンペーン、「Take Back Future ~難民の子どもの明日を取り戻そう~」 を2018年から4年間の計画で実施することを発表します。
この発表は、「激動する世界の中で、もっとも弱い立場に置かれている子どもたちのために挑戦し続けていこう」という設立30周年を迎えたWVJの決意表明でもあります。
現在、世界の難民・移民の子どもの数は5,000万人で、そのうち紛争のために避難を強いられている子どもは2,800万人にのぼります。子どもたちは移動する過程で人身取引や性的搾取、児童労働、子ども兵士としての徴用など、多くの暴力の危険にさらされています。また、移動を余儀なくされる子どもたちの多くが教育を受けられていません。十分な教育を受けられずに育った子どもは、人身取引などの暴力に遭うリスクが高いという調査結果も報告されています(UNICEF2017)。
世界で難民として認定を受けている、学齢期(5―17歳)の子ども約640万人のうち、半数以上の約350万人が様々な理由で教育をあきらめざるを得ず、学校に通っていません(UNHCR2017)。
WVJは、難民発生国トップ3であるシリア、アフガニスタン、南スーダン(多い順)のすべてで支援活動を行っており、なかでも、シリア、南スーダンの難民発生に対応した子どもたちへの教育支援に力を入れてきました。この経験を
活かし、WVJは本キャンペーンを通じて、「教育」の力を通じて、まず、①難民の子どもが暴力から守られること ②難民の子どもが健やかに成長し、暴力が繰り返されない未来を築いていけるようになることを目指します。
◆難民・避難民の子どもに対する暴力への日本社会での関心喚起と行動促進
◆子どもに対する暴力撤廃および難民・避難民の子どもへの教育支援に関する政策変容
◆移動により高まる暴力のリスクから子どもを守り、暴力が繰り返されない未来を築く教育支援の拡充*
* 現在実施中、またはこれから実施予定の事業例
・シリア難民およびヨルダン人の子どもたちへの教育支援事業(ヨルダン)
・南スーダン難民の子どもたちへの教育環境整備事業(エチオピア、ウガンダ)
・イラク国内避難民の子どもたちへの教育支援事業(イラク)
ヨルダン国内でシリア難民を多く抱える地域の公立学校の多くは、急増する難民の受け入れに対応するために二部制を導入しています。午前はヨルダン人、午後はシリア人が学習していますが、半日授業では十分な学習とは言えず、取り残され中退する子どもが増えています。WVJは、ヨルダン北部でシリア難民を多く受け入れている地域の小学校の子どもたち(6~13歳)が継続して学習できる環境を整えるため、次の二つを軸にして活動しています。
1) 補習授業の支援
2) 子どもの保護を強化する活動
また、長期休みには、普段は別々のクラスで学習しているシリア人とヨルダン人の子どもたちが一緒にレクリエーション活動に参加し、互いの民族に対する差別意識を解消できるよう配慮しています。
<補習授業に参加しているシリア難民の子どもの声>
「補習授業を受ける前はあんまり成績が良くなかったけど、今はクラスで2番か3番なの。ヨルダン人のお友達もできたわ」と話すシリア難民のエメットちゃん。
・4月:南スーダン難民の子どもたちへの教育支援事業開始(ウガンダ)
・5月:イラク国内避難民の子どもたちへの教育支援事業開始(イラク)
・6月上旬:「世界難民の日」ユース・シンポジウム開催 (共催:アジア福祉教育財団 難民事業本部)
・6月中旬:「Take Back Future」キャンペーン特別企画(仮称)スタート
・8月上旬:小学生対象「サマースクール2018 難民の子どもたちについて知ろう」(仮称)
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