2014.04.14
本日(2014年4月14日)、子どもの権利条約第3選択議定書が発効しました。これにより、権利を侵害された子どもたちが、直接国連に救済を求めることができるようになりました。このような歴史的な日を迎えることができたのは、大変喜ばしいことです。ワールド・ビジョンは、すべての国の子どもの権利が守られ、国際的な司法にアクセスできるように、さらに多くの国が同議定書を批准するように、呼びかけてきました。
子どもの権利条約第3選択議定書は、子どもの権利侵害に対する国際的な通報制度を規定しています。この議定書を批准した国では、権利侵害にあった子どもが直接国連子どもの権利委員会に対して申し立てをすることができるようになります。申し立てに対しては、国連が調査をした上で、当該政府に対して救済措置を行うように求めることができます。
これまで、子どもの権利条約は上記の通報制度を備えていませんでした。そして、通報制度を備えていなかったのは、9つある人権条約の中で、子どもの権利条約だけでした。
「子どもの最も基本的な権利が破られるのを、毎日見てきました。子どもたちは、差別、コミュニティ・学校・家庭での暴力にさらされ、基本的なサービスへのアクセスもなく、ただただ日々を生きるのに精いっぱいでした」
と、ワールド・ビジョンの子どもの権利の専門家であるサラ・オースティン氏は述べました。本日、ニューヨークの国連にて同議定書の発効を記念する特別会合に、同氏は出席します。
これまで、10カ国が同議定書を批准しています。そしてさらに署名済の45カ国が、批准の意思を示しています。
「私たちは、すでに10カ国が批准をしていることを歓迎し、またその良い前例に他国が習うように求めます。すべての国家がこの議定書を批准して、子どもの権利の促進・保護への真摯な取り組みをすることを示さなければなりません」
とサラ・オースティン氏は言います。
このような世界的な活動にあわせ、ワールド・ビジョン・ジャパンも、同議定書の批准を求めるNGOのネットワークを通じ、同議定書の実現、また日本政府による議定書の批准に向けて働きかけてきました。日本政府は、まだ署名・批准をしておりません。議定書の発効に先立ち、4月4日には、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、チャイルド・ファンド・ジャパンと共同で、柴田スタッフ、中村スタッフが外務省を訪問し、議定書の批准について意見交換を行いました。
外務省総合外交政策局、人権人道課 兼 人権条約履行室の図師(ずし)首席事務官は、
「個人通報制度については、日本の司法制度や立法政策との関連や実施体制といった検討課題があると認識しており、他国の対応などを見ながら、調査・検討している」
とコメントをしてくださいました。
ワールド・ビジョンは、より多くの子どもの権利の実現のために、より多くの国家が同議定書を批准するように引き続き活動していきます。
★通報制度の実現に向けた過去の活動はこちら
「子どもの権利条約」第3選択議定書案が発効します!(2014.01.24)
20カ国の政府が新議定書に署名しました!(2012.03.02)
「子どもの権利条約」第3選択議定書案が採択されました!(2011.02.25)
「通報制度」を設けるための新議定書案が、国連総会で採択されました(2011.12.28)
11月20日は世界子どもの日:院内セミナー開催報告(2009.11.20)