2013.06.26
6月17日から18日まで、G8サミットがイギリス北アイルランドのロック・アーンで行われました。
ワールド・ビジョン(以下WV)では、グローバルな課題である5歳未満の乳幼児死亡率削減のため、世界のリーダーが議論を行う場であるG8サミットに向けて、栄養改善への支援強化とこれまで行われてきた約束の進捗が明らかにされることを求め、各国で提言活動を行ってきました。医学的にも、5歳未満の子どもが亡くなる間接的な要因の45%は栄養不良であると指摘されています(医学誌ランセットより)。
これらの提言活動の結果、G8サミットに先駆けて開催された「成長のための栄養サミット」では、多くの政府、国際機関、市民社会などが、栄養に関する取り組みのため2020年までに230億ドル強の支援を行うことを表明しました。WVも、この場で12億ドルの支援を表明しています。
WVは、多くの関係者が集う場で行われた、世界の子どもたちのために表明されたこれらの約束を高く評価しています。しかしながら、事前に行われた栄養に関するこれらの約束が、世界で最も力を有する主要8カ国のリーダーが議論する場であるG8サミットの場で確認されなかったことについては残念に思っています。
説明責任報告書
G8サミットでは毎回、過去になされてきた約束の進捗状況について記載したG8説明責任報告書が公表されます。今回のロック・アーン報告書によると、2009年のラクイラ・サミットで宣言された「ラクイラ食料安全保障イニシアティブ」での表明額222億ドルは全て約束(コミット)されましたが、達成期限の2012年末を過ぎているにもかかわらず、支出そのものは72%に留まり、大きな遅れがあります。
栄養に関する説明責任の観点からは、今後のG8説明責任報告書において、「ラクイラ食料安全保障イニシアティブ」、「食料安全保障及び栄養のためのニュー・アライアンス(2012年キャンプ・デービッド・サミットで表明)」、「成長のための栄養(今回のロック・アーン・サミットで表明)」の3つの約束を見ていく必要があります。
企業の透明性
今回のG8サミットの主要テーマの一つであった透明性について、多くの話し合いがなされましたが、子どもたちの利益の観点からは、話し合いで合意された事項が実際に実施される必要があります。WVコンゴ民主共和国のアドバイザーであるアイミ・マニマニは、「採掘された鉱物による富がその国の子どもたちに裨益するためには、企業の透明性に関して合意された約束が現実のものになる必要がある」と述べています。
シリア情勢への対応
G8サミットの中でシリア情勢について多くの話し合いがなされました。G8諸国はシリア紛争によって影響を受けている人たちに150億ドルの支援を約束しました。また、G8の場では具体的解決策には至らなかったものの、今後ジュネーブにて平和会議を開き、政治的解決策を話し合うことが決まりました。WVはシリアの子どもたちにとって良い知らせだと評価しています。
WVでは、これからも子どもたちの命を救うために、支援および提言活動を継続していきます。
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