2013.04.05
世界では、ミレニアム開発目標(以下MDGs)の達成期限である、2015年より先の開発課題であるポストMDGsについて議論がなされています。ワールド・ビジョン(以下WV)では、世界で最も弱い立場にある子どもたちの必要が、ポストMDGsの目標に反映されるように提言活動を行っています。
先進国政府の開発援助への資金が伸び悩む中、あらゆる関係者の協力や資金を用いることが必要になっています。貧困の連鎖を断ち切るために、民間企業の役割はより重要なものになります。今回、WVではポストMDGsの開発アジェンダに大きな貢献が期待される民間企業について提言をまとめました。
その中で訴えていることは、ポストMDGsに民間企業も巻き込んだ目標づくりがなされることです。天然資源が豊かであるにも関わらず、その富は貧困の連鎖を断ち切るために使われていない国があります。こうした国で活動する民間企業や政府の透明性や説明責任を促し、ポストMDGsの開発目標に必要な資金を確保することを検討することが必要となります。また、貧しい国では、多国籍企業など民間企業による税金逃れにより、巨額の税収が失われていると言われています。途上国内での税収を増やすことで、途上国自身の資金を貧しい人々の生活を守るために使うことが必要となります。更に、政府・民間企業・市民社会によるイニシアティブを可能とする環境の整備によって、国レベルで話し合い、協力の可能性を探ることも可能です。
2013年3月18日外務省において、ポストMDGsに関する香川剛廣 地球規模課題審議官とNGOの意見交換会が行われました。WVでは民間企業についての提言書を提出しました。また意見交換の中で、政府・市民社会だけでなく民間企業も含めた協力を可能にする枠組みをポストMDGsの中で作ることについて、特に天然資源のある国の富が貧困削減に使われるように検討する可能性について提言を行いました。
これに対して、外務省の香川審議官は、「3月末にインドネシアで行われるハイレベルパネル第4回会合において、民間資金を含む多角的資金の流れについては主要な議題として予定されており、仕組み作りについて検討していきたい」と述べられました。また、資源国の富が貧困解消に結びついていない現実についても、問題の重要性についての理解を示され、取り組むべき課題であるとの見解を示されました。民間企業を含む、多数の関係者との連携についても、「これまでもいくつものパートナーシップがプロジェクトレベルでも組まれているため、ポストMDGsという、より大きな枠組みの中で、これらパートナーシップを整理しつつ、民間企業と連携した協力をプロジェクトレベルから地域レベル、政策レベルまでできるように仕組み作りをしていきたい」と述べられました。そして「人間の安全保障の考え方から、人間中心のアプローチを取り、今後ポストMDGsの中で分野別の目標を設定する際に反映させていきたい」と述べられました。WVでは今後も貧困の連鎖を断ち切り、子どもたちの命を救うために、政府や市民に呼びかけを継続していきます。