【G8サミット・キャンペーン】首脳宣言に関するワールド・ビジョンの見解

2010.06.27

ブルンジの親子
ブルンジの親子

26日(土)発表されたG8ムスコカ・サミット首脳宣言について、国際NGOワールド・ビジョンは以下の見解を発表しました。

【1.母子保健】
開発課題・MDGs(ミレニアム開発目標)を優先課題として協議し、救えるはずの子どもと母親を守るという政治的意志をG8ムスコカ母子保健イニシアティブに具現化し、130万人の子どもを救うことにつながる新規の資金動員に合意したことを歓迎し、議長国カナダの指導力を評価します。
しかし、母子保健イニシアティブのために誓約された資金の総額は、G8に求められている水準には及びませんでした。

「イニシアティブが国際的な資金動員の触媒として力強く機能し、MDG4と5の達成のために必要とされている資金需要が満たされるためには、G8による更なるコミットメントが期待されます。今回日本が表明した500億円のコミットメントは、多くの子どもとお母さんを救うことにつながります。しかし、その期限年にもよりますが、MDGs達成に貢献する日本の意志を示すものとして、十分と言えるでしょうか?」
(ワールド・ビジョン・ジャパン アドボカシー担当 谷村美能里)

【事実】
全ての開発途上国で、保健関連MDGsの目標を達成するためには、保健分野への年間援助総額を2012年までに年間375億ドルに、2015年までに年間425億ドルに増額する必要があります。そのうち、母子保健分野に必要な援助は、2012年までに年間158億ドル、2015年までに年間167億ドルです。
→経済規模に応じた責任を果たすためには、G8は母子保健への援助を倍増する必要があります。

【2.アカウンタビリティ】
過去の公約に関する説明責任報告書を出版し、透明性の向上に努めていることを歓迎します。

「今回のサミットでなされた誓約は、説明責任報告書といういわば援助の通貨調整メカニズムがある中で表明されました。10億ドルの約束は、実際の10億ドルの援助拠出へ必ずつながるでしょう。そのようなメカニズムのない中で約束されたグレインイーグルス援助公約とは異なり、必ず実現されると私たちは信じています」
(ワールド・ビジョン・アフリカ アドボカシー・ディレクター スーザン・ムバヤ)

しかし、真にアカウンタブルであるためには、進捗報告にとどまらず、果たされていない約束を実現するための更なる努力が求められます。2005年のグレインイーグスルサミットで、他のドナー国とともに、2010年までにODAの試算で年間援助総額を500億ドル増額すること、また、アフリカ向け援助を250億ドル増額することを約束しました。しかし、その達成が難しいことは、6月20日に発表された「説明責任報告書」でG8自身が認めている通りです。そして、本日発表された首脳宣言でも、「既存の公約を確認する」という言及はあるものの、公約への言及はなく、果たされていない約束をどのように実現するのか、具体的な対策を示すことはできませんでした。
また、2010年までに約束されたHIV/エイズの予防、治療、ケア、サポートの普遍的アクセスへの達成も、全ての人に届けるという水準にははるかに及びません。

首脳宣言は、経済危機がMDGs達成への障害になっていると言及していますが、そのような状況下でこそ指導力を発揮し、既存の公約を果たし、新しい誓約を早期に達成することが期待されます。

現地へ派遣中のアドボカシー担当谷村スタッフが、ブログツイッターを通じても、最新情報をお届けしています。ぜひ、ご覧ください!

【G8サミット・キャンペーン 第1報】

【G8サミット・キャンペーン 第2報】

【G8サミット・キャンペーン 第3報】

【G8サミット・キャンペーン 第4報】

【G8サミット・キャンペーン 第5報】