2009.07.13
G8ラクイラ・サミット最終日の7月10日、拡大会合に集った首脳たちは今後3年間で農業・食糧分野へ200億ドルの支援を行うことを約束しました。表明された資金は当初の予想を上回る規模でしたが、世界で10億人にのぼる飢えに苦しむ人々に本当に解決をもたらすものであるかどうかは、不明瞭なままです。
採択された「食糧安全保障に関する共同声明」は、飢餓を解決するための食糧援助と、小規模農家にフォーカスをあてた農業分野への投資という、短期的・長期的なニーズのバランスに配慮している点で、評価できるものです。一方、約束された資金についてG8は詳細を明らかにしておらず、果たしてこの資金が新規に約束されたものなのかどうかが不明です。
「G8はサミットの最終日に、マジシャンがショーの最後に行うように、帽子から大きなうさぎを登場させて喝采を浴びようとしたようです。しかし、どの程度が世界の飢餓に対する新しい取組みであり、どの程度がまやかしなのかが不明瞭です。」(WV英国 政策責任者 パトリック・ワット)
「表明されたコミットメントのどの程度が新規資金なのか。最も深刻な飢餓問題を抱える国に支援が届くのか。借款なのか無償資金によるものなのか。首脳たちはこの共同宣言の枠組みを具体的にどのように実施していくのかについて明らかにしていないのです。さらに、ドナー各国の資金表明額も発表されておらず、約束が果たされたのかどうかを確認することは不可能です。」(同上)
今、6秒に1人の子どもが、飢えが原因で命を落としています。栄養不良によって、子どもたちがマラリアや肺炎などの病気によって亡くなるリスクは倍増します。世界の飢餓問題に包括的に取り組もうという意思が、共同声明の文字通りに実施されるならば、ラクイラでG8首脳が合意した決断の中で、最良のものと表現できるような成果を導くことができるでしょう。
2010年までの対アフリカ援助倍増公約の不履行をほぼ決定づけたことにより失った信頼を回復するためにも、G8は数百万人の子どもたち、女性や男性の命を救うために、世界の食糧・農業問題への取組みにおいて国際的な指導力を発揮し、合意された施策を速やかに実施すべきです。