(2015.7.27)
「人身取引(人身売買)*」は「現代の奴隷制」とも言われ、世界中に蔓延する深刻な人権侵害であり、非人道的行為です。人の命を「モノ」のように取引し、弱い立場にある子どもたちや人々が搾取の目的で暴力や誘拐、欺瞞等の手段によって支配下に置かれています。その被害者数は約2,090万人と推定されていますが、これは氷山の一角に過ぎません。そして、「人身取引」は麻薬密輸、違法武器取引に次ぐ地球上の犯罪トップ3となっています(データ出典:ILO 2012)
「人身売買は暗がりに蔓延り、この犯罪には地球上のすべての国がかかわっている」これは米国務省長官を務めたヒラリー・クリントン氏の言葉です。事実、毎年発表される「人身売買報告書*」の2014年版は世界188カ国・地域を対象にしており、性的搾取や強制労働の実態を述べています。
私たちが生きている世界には、人身取引という犯罪が広がっているのです。判明した人身取引の被害者の約半数は女性です。また、被害者全体の約30%は18歳未満の子どもであると言われています(データ出典:UNODC 2014)
*ワールド・ビジョン・ジャパンは、人身売買は人身取引の形態の一つであるという言葉の定義を採用しています。「人身売買報告書」(原題:Trafficking in Persons Report)については、米国政府が「人身売買」という訳語を採用しており、これが広く知られているため、あえて、「人身取引報告書」とは訳さずに「人身売買報告書」として紹介しています。
ワールド・ビジョンは、End Trafficking in Personsメコン拡大地域(英語サイト)における人身取引対策プログラムを実施しており、メコン河流域一帯で、20 近くの人身取引対策事業を行っています。その中には、国境を越え複数国にまたがって行う2つの事業のほか、カンボジア・中国・ラオス・ミャンマー・タイ・ベトナムをプロジェクトの対象としています。
これらの活動は、「人身取引」の犠牲者となる危険性を減らし、政府に働きかけ、メコン河流域一帯で「人身取引」の被害にあった生存者を支援することを目的にしています。ワールド・ビジョンは、特に、子どもの保護、安全な移住、そして政策の改善に重点をおいています。