アフガニスタンを寄付で支援する | 経済情勢や難民の現状を解説

アフガニスタンは、これまでソ連軍の侵攻やアフガン戦争など度重なる戦争の舞台となってきました。そのため国内は不安定な状況が続いており、アフガン戦争が終結した今でも、多くの人々が貧しく不安の絶えない生活を余儀なくされています。

そこでこの記事では、アフガニスタンの現状や課題について詳しく紹介していきます。アフガニスタンが現在どういった問題を抱えているのか知り、今の私たちに何ができるかを考えてみましょう。

アフガニスタンの情勢 | 長引く紛争と経済危機

アフガニスタンの子ども

まずは、アフガニスタンの現状について見ていきましょう。

20年以上続いたアフガン戦争の惨禍

アフガニスタンは2001年から2021年の間、アメリカとの戦争が続いていました。これが「アフガン戦争」であり、アメリカ史上もっとも長く続いた戦争とされています。戦争のきっかけは2001年9月11日のアメリカで起こった同時多発テロでした。

テロの首謀者は、ウサマ・ビンラディンの率いるイスラーム過激派組織だと特定されました。そして当時、イスラム主義組織「タリバン」が支配していたアフガニスタンへの侵攻が始まったのです。

アフガン戦争は20年間で、兵士を含め約16万5,000人にものぼる死者を出しました(注1)。2021年になりアメリカのバイデン大統領が戦争の終結を宣言したものの、その惨禍は現在も色濃く残っています。

例えば戦争時に埋められた地雷が数多く残っており、誤って踏んだ人が亡くなるケースは後を絶ちません。戦争により家屋や学校などの多くが壊滅し、2021年半ば時点では約260万人もが国外に逃れて難民となり、苦しい生活を強いられています(注2)。さらに反タリバン派による国内での紛争もたびたび起こっており、国民にとって安心できる環境とはいえません。



経済危機により諸国からの人道支援が必須

アフガニスタンは経済危機に陥っており、諸国からの緊急人道支援を必須としている状態です。経済危機の発端はアフガン戦争後にタリバンがほぼ全土を掌握したことでアフガニスタン復興信託基金が凍結されたことが始まりです。

しかしこれを受けて世界銀行は、2021年10月に凍結されているアフガニスタン復興信託基金から、2億8,000万ドルを国連世界食糧計画(WFP)とUNICEFに移管する計画を承認しました(注3)。

同月、日本政府もUNICEFに対して計1,570万ドルの緊急無償資金協力を実施しています(注4)。

アフガニスタンで緊急人道支援を必要とする人は、1,840万人にのぼります。中でも1,000万人以上は立場の弱い子どもたちです(注5)。なお、これだけ支援を必要としているのはアフガン戦争の影響だけでなく、新型コロナウイルス感染症や干ばつ、地震、寒波といった自然災害なども関係しているといえます。



干ばつにより食糧危機が深刻化

アフガニスタンは2021年、未曽有の干ばつに見舞われました。戦争後の経済不安に追い打ちをかけるように発生した干ばつは、アフガニスタンの人々を食糧危機に陥れています。特に国内では小麦が不作となり、価格が高騰することで食べ物を買えない人が急増。WFPの配給といった、支援に頼って命をつないでいる人が多くいます(注6)。

元々農業や畜産業で生計を立てていた人たちも、大きな打撃を受けています。水不足で作物が育たないことはもちろん、飲み水が足りずに家畜が死んでしまうケースも少なくありません。

またアフガニスタンの冬は急激に気温が下がります。首都カブールはおよそマイナス10度になることもあるため、食糧不足に加えて十分な住まいも整っていない状態で乗り越えるのは、大変困難です(注7)。現に2021年から2022年にかけての冬も、多くの人が厳しい寒さと飢えの中で、命の危機に瀕しています。

アフガニスタンの人々が置かれた深刻な現状


アフガニスタンの人々が苦しんでいるのは、貧困や食料危機だけではありません。ほかにもさまざまな問題を抱えています。

約2,300万人もの人々が食糧不足に苦しんでいる

WFPによれば、2021年末時点で国民のおよそ半分にあたる約2,300万人もの人が、深刻な食糧不安に直面しているとしています。アフガニスタンでは98%もの世帯が十分な食事を摂れていない状況です。

その中でも870万人は早急な支援が必要な状態です。特に栄養失調の子どもは200万人にものぼり、増加傾向にあります(注8)。今や食糧不足は都市部にも広がり、アフガニスタンの国民ほぼ全員が平均的な食事を摂れていないといっても過言ではありません。食料を得るために持ちものを売り、なんとか食いつないでいる人も多くいます。


女性の死亡率が高い

アフガニスタンでは、子どもだけでなく女性の死亡率も高い傾向にあります。2017年の妊産婦死亡率は10万人中638名でした。この背景には、病気になったときや出産時、容易に医療施設へアクセスできないといったことが挙げられます。予防可能な妊娠合併症で妊婦が亡くなることもしばしばです。

しかし、アフガニスタンの女性は宗教上の理由で、男性同伴でなければ外を歩けないため、保健センターへ行くことも困難です。そのため、多くの女性は正しい知識を持たない助産師のもと、家で出産を行います。

衛生環境の悪い家での出産は、合併症のリスクが上昇します。適切な処置ができないケースも多いため、失血死で亡くなる女性も後を絶ちません。また、アフガニスタンの女性は平均7人もの子どもを生みます。そのため、より一層妊娠や出産の死亡リスクが高くなります。

もし無事に出産できたとしても、その後合併症の治療ができずに苦しむ可能性もあります。そもそもアフガニスタンでは十分な医療制度が整っておらず、保健師も少ないのが現状です。さらに、病院に行こうにも医療費を払えない女性がほとんどです。こうした現状の克服も、アフガニスタンの大きな課題といえます。



貧困に伴う児童婚の増加

アフガニスタンでは貧困に伴い、児童婚が増加しています。お金を得るために、自らの子どもを差し出さざるを得ない厳しい状況にさらされているのが現状です。

UNICEFは、15〜49歳のアフガニスタン女性のうち、28%が18歳未満で結婚していると述べています。中には、生後まもない我が子を差し出す人もいるようです。それほどにアフガニスタンの貧困は危機的状況ということです。

18歳未満で結婚した女性は、その後教育を受けられない可能性が高くなります。ほかにも虐待を受けたり妊娠合併症を発症するリスクが上昇したりと、児童婚は数多くの問題をはらんでいます(注9)。

また、児童婚だけでなく、アフガニスタンでは労働を強いられる子どもも珍しくありません。教育を受けられず、労働をしなければ生きていけない子どもを減らすためにも、より一層の支援が必要です。

アフガニスタンへの寄付にご協力をお願いします

私たちワールド・ビジョンは、アフガニスタンの人々が安心して暮らせるよう、教育や学校の支援活動を行っています。

アフガニスタンで求められている支援

アフガニスタンでは、人々を食糧危機から守ることが喫緊の課題です。同時に、生活水準を上げるために以下の対応策も必要です。

  • 家や病院・教育機関といった設備と機能の充実
  • 自然災害に対する防災対策
  • 子どもに対する教育の提供
  • 女性・子ども・障がい者の人権保護
  • 難民に対する支援
  • 地雷の除去 など

アフガニスタンの問題は山積みです。世界の中でも、もっともひっ迫した国の1つといえます。

2022年1月11日、国際NGOは、「人道対応計画(HRP:Humanitarian Response Plan)」を発表しました。アフガニスタン国内の2,200万人と近隣国に逃れたアフガニスタン難民約570万人への支援のため、国際社会から約44億ドルの支援が必要だとしています(注10)。



アフガニスタンに対するワールド・ビジョンの取り組み

ワールド・ビジョンは過去20年以上、アフガニスタンでさまざまな支援に取り組んでいます。例えばゴール州やバギス州などでは、WFPと協力のもと食糧支援を実施。食糧危機に苦しむ人々の命をつなぐ活動を行っています。

また、現地で移動式の医療チームを立ち上げ、人々の命を救う駆け込み寺として救護活動を実施。同時に、子どもや妊婦の健康を観察するといった活動も行っています。こうした医療・食料分野の活動は、すでに13万人以上の人々へ提供されました。

ワールド・ビジョンはアフガニスタンに対してさまざまな取り組みを実施していますが、それでもなお、支援に必要な資金は不足しているのが現状です。そのため、今後もワールド・ビジョンではアフガニスタンの現状について広く世界に発信し、より充実した支援を提供できるよう各方面への協力を呼びかけ続けています。



ワールド・ビジョンへの寄付でアフガニスタンの人々を支援する

ワールド・ビジョンは公式ホームページにて難民支援のための募金を募っています。寄付額は1,000円からです。寄付額や個人情報などを入力するだけで、簡単にお申し込みいただけます。

寄付金は現地で必要とされる支援に活用されます。寄付金が何に使われたのかは、毎年3月頃にお届けする年次報告書の中で実施した活動をご報告します。また支援金は寄付金控除対象ともなり、「税額控除」と「所得控除」から有利な方を選択いただけます。

アフガニスタンの人々が安全で豊かな生活を送れるよう、難民支援のための基金へご協力をお願いいたします。



※このコンテンツは、2022年2月の情報をもとに作成しています。

参考資料

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