教育を受けることは、将来の可能性を広げることにつながります。例えば開発途上国には文字を読み書きできない子どもたちが多くいます。こうした子どもたちが文字を読み書きできるようになるだけでも、将来的な仕事の幅が広がり、より高い収入を目指せるのです。
質の高い教育を誰もが等しく受けることは、SDGsの目標にも組み込まれています(注1)。教育格差の解消は、世界的にも非常に重視されている問題です。各国の政府、国連、国際NGOやボランティア団体も、積極的に活動しています。
そこで本記事では開発途上国における教育の現状と、教育ボランティアの種類や活動内容について解説。ぜひ、自分にできる支援を考えてみてください。
教育ボランティアとは、教育を受けるこどもたちに対する支援です。直接子どもたちに勉強を教えたり講義をしたりするだけでなく、子どもたちが教育を受けられるような環境を整えることも活動の1つです。例えば机やいす、黒板といったハード面の支援や、学区内の安全パトロールなども教育ボランティアの一環といえます。
教育ボランティアの支援を受けた子どもたちには、このようなメリットがあります。
特に開発途上国では、教員不足や学校としての設備が整っていないといった問題に悩まされていることが多くあります。こうした現場に教育ボランティアが介入することで、子どもたちの学習が進むだけでなく、適切な教育システムが構築でき、教員も育つといったメリットがあるのです。
ユニセフの世界子供白書2017によれば、世界で教育を受けられない5歳から17歳の子どもたちは約3億300万人いるとされています(注2)。2021年の統計でも、特にアフリカのサハラ砂漠より南の地域では初等・中等教育の修了率が50%にも満たない国が存在しています(注3 p.76〜79)。
では、より詳しく開発途上国における教育の現状を見ていきましょう。
開発途上国の子どもたちが教育を受けられない理由の1つとして、教師が不足しているという現状があります。特に都市部から離れた場所では、教師不足が深刻です。そのため学校の施設があり生徒がいても、教師がいないために教育を受けられない場合があります。
また教師不足から、十分な知識のない人が教師として子どもを教えているケースも少なくありません。適切な知識を持たない人が教師になった場合、以下のリスクが考えられます。
なお、こうした教師不足の背景には、教師への待遇が悪いといった事情もあります。特にアフリカ諸国では、子どもひとりあたりに対する支出が世界最低レベルとされているのが現状です。小学校や中学校では平均で子どもひとりあたりにつき、アジア諸国と比較して5分の1程度のリソースしか費やしていません(注4 p.8)。
教師への投資は、すなわち子どもへの投資につながります。こうした教師を含む教育への投資の少なさが、多くのアフリカ諸国における教育成果の質の低さに対する理由の1つとなっている可能性があります。
経済的な理由から、学校に通えない子どもたちも多くいます。世界には、家が貧しく幼い頃から親を手伝って家計を支えている子どもたちが数多くいるのです。国際労働機関(ILO)の発表によれば、1億6,000万人の子どもたちが労働しているとの統計結果が出ています(注5)。
開発途上国であっても、基本的に軽労働以外で14歳未満の子どもが働くことはILOにより禁じられています。それでも、家計を支えるために親の手伝いをせざるを得ない子どもたちが多くいます。
また仕事をするだけではなく、水くみや育児を手伝うために学校に通えない子どもたちも多くいるのが現状です。
開発途上国の貧困家庭では学校に通うためのお金が捻出できず、進学を断念するケースもあります。また、一度学校へ通ったものの、経済的な理由や家庭の事情で退学する子どもも少なくありません。
そのほかの事情として、開発途上国では特に児童婚が問題となっています。経済的に困窮した家庭では自らの娘を嫁がせ、見返りに金品を受け取る貧困家庭があるのも現状です。世界では毎年1,200万人もの少女たちが、18歳の誕生日を迎える前に強制的に結婚させられています。
こうした少女たちは嫁いだ先で妻としての役割を果たさなければならないため、学校に通いたくても通えません。
こうした教育問題を解消するために、さまざまな種類の教育ボランティアがあります。ここからは教育ボランティアの種類を詳しく見ていきましょう。
現場に行かなくてもできる教育ボランティアが、映像授業の提供です。映像授業とは教師や登壇者がその場にいなくても、パソコンさえあれば受けられる授業のことです。こうした遠隔で教育を届ける取り組みも、複数あります。例えば映像授業の登壇者募集や、耳の不自由な子どものために字幕をつけるボランティアの募集などがあります。
また、新型コロナウイルス感染症が拡大する中では、世界的に学校が閉鎖となり教育を受けられない子どもたちが増えました。そのような状況下で注目されるのが、オンラインでの授業です。
例えばケニアではユネスコやユニセフ、USAID、世銀などと協力し、「COVID-19での基礎教育継続のためのプロジェクト」を推進。ケニアカリキュラム開発院によるオンライン教育コンテンツの開発を進めました(注6 p.14)。
すべての人が教育を受けられるようになるためには、各方面からの支援が必要です。では私たちができることとは何か、改めて考えてみましょう。
国際機関やNPO団体と連携して、開発途上国の教育支援プロジェクトを進めている企業は複数あります。こうした企業のプロジェクトを応援することも、間接的ではありますが開発途上国への教育支援につながるのです。
また、対象となる企業の商品を買ったり、サービスを受けたりするだけで簡単に支援できる場合が多い傾向にあります。
国際機関やNPO法人に直接寄付するのも、教育支援の手段です。ワールド・ビジョンでは、「チャイルド・スポンサーシップ」という開発途上国の子どもたちを支援するプロジェクトを行っています。
チャイルド・スポンサーシップでは皆さまからご支援いただいた寄付金を活用し、各地で必要とされる物的・人的支援を実施。具体的には教育施設の整備や教師の研修などを行います。
また、支援を受けた子どもからの手紙や支援報告書が定期的に送られてくるため、支援している実感や喜びも感じていただけるプロジェクトです。
開発途上国への教育支援は複数ありますが、子どもたちをより良い未来へ導くには、お金やモノ以外の支援も必要です。それは貧困の根本原因を解決し、子どもたちの家庭や地域全体を変えていくことにほかなりません。
ワールド・ビジョンにはこうした「本当に子どもたちに必要な支援」を考えるスタッフがいます。そのため皆さまからのご支援を募りながら、子どもたちを差別や暴力、価値観といったさまざまな側面から守り、何の心配もなく教育を受けられる環境づくりを進めています。
事実、こうした支援の成果もあり2000年から2018年の間で、全世界における小学校に通えない子どもの割合は41%も減少しました。このように皆さま一人ひとりの支援が、世界に大きな変化をもたらします。
ぜひ私たちと一緒に、子どもたちの未来を紡ぐ活動を行っていきましょう。チャイルド・スポンサーシップへのご協力をお願いいたします。
そんな私たちの活動を支えるのは、
「チャイルド・スポンサーシップ」というプログラムです。
チャイルド・スポンサーシップは、
月々4,500円、1日あたり150円の皆さまからの継続支援です。
貧困、紛争、災害。世界の問題に苦しむ子どもとともに歩み、
子どもたちの未来を取り戻す活動に、
あなたも参加しませんか。
今あなたにできること、
一日あたり150円で子どもたちに希望を。
注1 ユニセフ:4.質の高い教育をみんなに
注2 ユニセフ:世界の就学状況報告書発表 学校に通っていない子ども3億300万人
注3 ユニセフ:世界子供白書2021
注4 AFRICAN DEVELOPMENT BANK GROUP:アフリカ 経済 見通し
注5 国際労働機関(ILO):最新報告書『児童労働:2020年の世界推計、動向、前途 』5つのポイント
注6 JICA:COVID-19の途上国への影響と新たなニーズ
注7 JICA:シゴトを知る【一般案件】
※このコンテンツは、2022年9月の情報をもとに作成しています。