東日本大震災 第90報~92報

2013.02.11

第92報:テーマは東日本大震災緊急復興支援

南三陸町の子どもたちとWVJスタッフ
南三陸町の子どもたちとWVJスタッフ

3月1日(金)、東京でワールド・ビジョン・カフェを開催します。テーマは、間もなく発生から2年を迎える東日本大震災緊急復興支援です。

ワールド・ビジョン・ジャパン(以下WVJ)は震災発生2日後にスタッフを被災地に派遣して以降、被災された方々の生命を守り、震災によって多くを失った子どもたちが将来への希望を抱いて健やかに成長できる地域力の再生を目指して、緊急復興支援を実施。宮城県南三陸町、気仙沼市、岩手県宮古市を中心に、約30万人を対象に多岐にわたる支援をお届けしました(2012年12月末時点)。

南三陸町立戸倉小学校の麻生川校長先生(当時)をお迎えします

麻生川前校長先生
麻生川前校長先生

カフェ当日は、特別スピーカーとして南三陸町立戸倉小学校の麻生川前校長先生(現、多賀城市教育委員会学校教育課課長)をお迎えします。戸倉小学校は、津波で校舎が流失してしまいました。WVJは2011年3月31日、戸倉小学校の子どもたちが身を寄せていた避難所でチャイルド・フレンドリー・スペース(以下CFS)を開設。同年5月に新学期が再開してからも、校舎内でCFSを運営し、先生方と連携しながら子どもたちの心の変化を見守り続けました。

「(CFSに)日常生活の中で聞いてほしいことや、頑張ったことを受け止めてくれる人たちがいたことで、戸倉小学校の子どもたちは震災後不安定になった心の波を乗り越えることができた」と語る麻生川前校長先生。3月11日に、子どもたちを連れて高台へ避難した体験や、支援を受け取った側から見たWVJの活動、子どもたちとの関わりについてお話しいただきます。

戸倉小学校でのCFS
戸倉小学校でのCFS

そしてCFS設置から始まり、学校再開支援、南三陸町ジュニアリーダーとの「まちづくりプロジェクト」などに続いたWVJの支援活動について、現場で活動してきたスタッフがご報告します。

■日時:2013年3月1日(金)19:00~20:30(18:30開場)
■会場:WVJ事務所(東京都中野区本町1-32-2ハーモニータワー3F)
     JR丸ノ内線、都営大江戸線「中野坂上駅」より徒歩1分
     会場地図(車でのご来場はできません)
■参加費:無料
■主催:特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン

定員に達したため、受付を終了いたしました。たくさんのお申込み、ありがとうございました!


第91報:サケ定置網漁が再開!~岩手県大槌町から~(2012.12.17)

碇川町長(右)とWVJ事務局長片山(左)
碇川町長(右)とWVJ事務局長片山(左)

東日本大震災によって500人以上が行方不明、800人以上が犠牲となるなど、甚大な被害を受けた岩手県大槌町。震災前、サケ定置網漁は旧大槌漁協の収入の約5割を占めていましたが、4カ所にあったサケ定置網は津波ですべて流失してしまい、震災前から、漁獲量の減少など多くの課題を抱えていた町の水産業にとって、大きな打撃となりました。

ワールド・ビジョン・ジャパンは、11月末、新おおつち漁業協同組合に対するサケ定置網1セットの支援を完了しました。支援の成果もあり、今年はサケ定置網漁が再開し、水揚げが行われています。

ワールド・ビジョン・ジャパンが支援した定置網
ワールド・ビジョン・ジャパンが支援した定置網

「大槌町は、(震災で受けた被害によって)車で言えばバッテリーを切らしている状態でした。ワールド・ビジョン・ジャパンの支援によって、いわばそのバッテリーを交換してもらったことなりました。波に乗って行くためのスタートアップ支援に感謝しています」と、碇川(いかりがわ)町長は、11月28日、大槌町を訪問したワールド・ビジョン・スタッフに対し、語ってくださいました。

支援で提供した定置網は、今後新おおつち漁協によって随時サケ漁に使用され、また維持・管理される予定です。




第90報:宮古市での防災支援が完了(2012.12.11)

セレモニーの様子
セレモニーの様子

東日本大震災発生以降、ワールド・ビジョン・ジャパンは岩手県宮古市において、将来の災害から子どもたちや人々の命を守るため、震災発生後に宮古市が新たに策定し、推進してきた備蓄計画を支援してきました。そして2012年11月、下記の支援が完了しました。

・小・中学校を中心とした避難所30カ所への物資備蓄(防災備蓄倉庫、食糧、毛布、簡易組立トイレなど)の支援
・ソーラーフロンティア株式会社と協働で、市内の小・中学校6校に太陽光発電システムを設置
・津波浸水図(30,000部)の作成支援
・簡易津波避難標識の制作支援

刈屋小学校に設置された太陽光発電システム
刈屋小学校に設置された太陽光発電システム

11月27日、防災備蓄倉庫と太陽光発電システムが設置された宮古市立刈屋小学校で、防災支援の完了に際するセレモニーが開催されました。

同小学校の子どもたちと一緒に出席した宮古市の山本市長は、「防災資機材の整備は、元々4年かけて完了する予定でしたが、ワールド・ビジョン・ジャパンの支援によって1年で完了することができました。また太陽光発電システムは、市内の子どもたちが防災意識を高める機会になります。"命"に直結する支援だけでなく、子どもたちが環境や防災について学ぶことができる支援だと思います」とご挨拶くださいました。

「前より安心して暮らせる」

学校内に設置された、発電量を示すパネル
学校内に設置された、発電量を示すパネル

刈屋小学校の千葉校長先生は、「学校は災害発生時の避難所に指定されているため、(今回支援された)備蓄物資や太陽光発電システムは非常時に活用することができ、とてもありがたいと思っていますし、地域の方々にも"何かの時には、学校に行けば安心"だということを伝えていきたいと思います。また、理科の授業でエネルギーについて学習することもあるのですが、校内に設置された発電量を示すモニターに日常的に接することで、子どもたちも太陽の光がエネルギーとなっていることを実感し、環境学習にも活用できると思います」と、話してくださいました。

また、同小学校に通う佐々木君(5年生)は、「学校にソーラーパネルがついて、停電しても電気がつくから、前より安心して暮らせると思う」と話してくれました。

ワールド・ビジョン・ジャパンの宮古市への防災支援は11月末をもってすべて終了し、これらの施設は今後宮古市によって維持・管理・運営されます。