【G7広島サミット】G7首脳は、子どもたちが健やかに成長できるよう、飢餓危機を食い止めるため具体的に行動を

(2023.05.16)

ワールド・ビジョンの支援で干ばつに対応した農業技術を学び、野菜の収穫を喜ぶケニアの女性


今週5月19日(金)から3日間の日程で、G7サミットが日本を議長国として広島で開催されます。G7広島サミットに向けて、世界の子どもを支援するワールド・ビジョンが期待することを、ワールド・ビジョン・インターナショナルの公共政策担当シニアディレクターを務めるクリス・ダークソン・ヒュバートがまとめました。クリスはワールド・ビジョンのグローバルな公共政策の策定に全体的な戦略的リーダーシップを提供し、G7、G20、国連の気候変動枠組み条約締約国会議(COP)プロセスへのワールド・ビジョンの国際的な働きかけを主導しています。

急速に悪化する食料危機。飢餓なき世界への足取りは遅れています

2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的大流行(パンデミック)宣言から数週間のうちに、パンデミック、紛争、気候変動の組み合わせが、世界で最もぜい弱な人々に壊滅的な影響を与えることは明らかでした。現在、WHO(世界保健機関)が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)緊急事態宣言を正式に撤回したにもかかわらず、実際の影響は私たちが懸念していたよりも深刻です。

飢餓に関して、最近発表された「食料危機に関する世界報告書外部リンク」は、急性の食料不安が4年連続で増加していることを確認しています。 報告書によると、2022年には58カ国以上で約2億5,800万人が急性の食料不安に直面しており、2021年の53カ国以上の1億9,300万人から増加しています。実際、この数字は報告書が発行された7年間の歴史の中で最も高いものです。中でも最も懸念されるのは、3,500万人以上の5歳未満の子どもたちが急性栄養失調に苦しんでいることです。

国際社会はこの苦しみに対処しなければならず、世界の最も強力な国々の指導者たちには、すぐに対処する機会が与えられています。5月19日から21日にかけて、世界で最も裕福な7カ国(フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国、カナダ)の首脳が、毎年開催されるG7サミットのために日本に集まります。G7広島サミットは、世界で最も弱い立場にある子どもと家族のための重要な瞬間に開催されることになります。

2015年、国連の持続可能な開発目標(SDGs)へのコミットメントの一環として、世界各国の政府は、2030年までに飢餓を終わらせることを約束しました。しかし、その2015年以降、世界の飢餓レベルは徐々に増加しました。しかし、その後、紛争、気候変動、COVID-19のパンデミックによって引き起こされた経済ショックにより、飢餓と栄養不良は急増したのです。ウクライナでの紛争はこれらの傾向に拍車をかけ、世界、地域、および国の食料供給の生産と貿易のための重要なサプライチェーンの混乱を引き起こしました。いつものように、このような危機に直面して最も影響を受けるのは子どもたちです。

チャイルド・スポンサーシップを通して支援を受けるウガンダの子どもたち。保護者に栄養ある食事の作り方の研修も実施しています

ワールド・ビジョンのG7首脳への提言

ワールド・ビジョンは広島サミットに集うG7首脳に以下を求めます。

1. 食料システムの回復力、持続可能性、公平性を担保し、より健康的な食事を支援するための取り組みを拡大すること。そのために:

  • サプライチェーンと市場の機能への投資を増やす
  • 栄養価の高い食品の確実な供給を確保する
  • 気候変動に対する小規模農家の回復力を構築するための支援を強化する


2. 最も弱い立場にある人々の緊急食料安全保障と栄養のニーズに対応するにあたり、子どもたちのニーズを最優先すること。具体的には:

  • 命を救うための持続的かつ拡充された資金を提供する
  • 子どもの栄養への投資の増加と、消耗症(急性栄養不良)の発見、紹介、治療のための実証された介入に焦点を当てる
  • 予防、準備、予測的行動への投資を拡大する
  • 栄養、健康、きれいな水、保護など、危機的状況にある子どもたちの複数の救命ニーズに対応できるよう、子どもに焦点を当てた介入を支援する


3. あらゆる形態の子どもの栄養不良の削減に貢献すること。そのために:

  • 食料システムの変革と子どもに配慮した国の社会的保護システムへのより大きな投資を通じて、栄養価の高い食料への通年でのアクセスを増加させる
  • 大規模な強化食品の提供を含む、子どもと女性の微量栄養素不足の削減を支援する取り組みを拡大する
  • 2024年フランスで開催される「成長のための栄養」会議 の機会を捉え、2021年の東京サミットで行われた栄養に関するG7のグローバル・リーダーシップ・コミットメントを示す


世界の食料安全保障は、G7にとって長年の優先事項であり続けました。2015年、G7首脳は「より広範な食料安全保障と栄養アプローチ」により、2030年までに5億人を飢餓と栄養不良から救うと約束しました。このアプローチには、食料システムの強化、小規模農家への支援の強化、栄養の改善、気候関連の災害や紛争の影響を受けた人々のための食料安全保障と栄養に関する取り組みの強化が含まれます。人道、開発、平和という繋がりある領域を網羅して取り組む努力を強化することで、G7は2017年、2021年、2022年にこれらのコミットメントを再確認しています。

G7サミットでの決定は、実際の行動でフォローアップされる時に、世界で最も弱い立場にある子どもたちやコミュニティに大きな影響を与える可能性があり、また与えてきました。しかし、2022年の独自の進捗報告書では、食料安全保障と栄養に関するコミットメントの達成が不合格とされ、拡大を続ける飢餓と栄養の危機が制御不能に陥る危険性があります。

ワールド・ビジョンは、G7首脳に対し、この危機が制御不能に陥るのを止めるために、今すぐ実際の行動で口頭での宣言を支持するよう求めます。

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