ほんの少しの良いことが世界を変える 
 ―Chosen[チョーズン]に参加したスタッフからの報告

(2022.07.11)

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ワールド・ビジョン・インターナショナルで、マーケティングと広報のリーダーを務めるマーカス・フロストから報告が届きました。
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ワールド・ビジョンがロヒンギャの人々の支援を行っているバングラデシュの居住区で、ボロボロのシェルターで暮らす家族を訪ねた時のことを、今も思い出します。彼らに会いに行くため、私たちは暑い中、かなり長い距離を歩きました。彼らが、喪失感と悲しみに満ちた胸が張り裂けそうな話を共有してくれていた時、ふいにシェルターの外から子どもたちの笑い声が聞こえ始め、やがてそれは歌声になりました。

外に出ると、子どもたちに囲まれた同僚が「幸せなら手をたたこう」を歌っていました。その日、私は子どもたちの笑い声に包まれながら一日を過ごすことができました。

しかし、夕方になると気持ちに変化が起きました。「私はいったい何者なのだろう?私はこの子どもたちのように"ぜい弱な環境に置かれる"という経験がない。どうやって彼らを理解できるだろう?」私は、自分が取るに足りない、無力な人間だと感じました。そして、「私は子どもたちにとって、どんな存在になれるのだろうか。どうか解き明かすことができるように」と祈らずにはいられませんでした。

マーカス・フロスト
その後私は、清潔な水と衛生設備がある地域を訪れました(それらはワールド・ビジョンの支援によるものでした)。少年たちが、楽しそうにバドミントンをしていました。何の気なしに見ていると、少年たちは私に気づき、バドミントンに誘ってくれました。少し照れ臭かったのですが、私は余っていたラケットを手に取って参加しました。子どもたちと一緒にバドミントンを楽しむこと、それがなんと素晴らしい時間だったことか!「どんな存在になれるか」と悩んだ私にヒントが与えられたようで、私の必死の祈りが通じたように感じました。

最近、ウクライナで起きていることによって、私は再び必死に祈りを捧げるようになりました。ウクライナ危機の影響を受けた子どもたちをどうやって助けることができるだろうかと考えました。難民・避難民は増え続けています。ウクライナに限らず、冒頭でお話ししたロヒンギャの人々も、避難生活がもう5年以上も続いています。

そうした悲痛な現実に思いを巡らせていた時、その思いに解決の鍵を与えてくれるようなメッセージを受け取りました。ウガンダに住む小さな男の子が、私をスポンサーに選んでくれたというのです!バングラデシュで少年たちがバドミントンを一緒にやろうと誘ってくれた時のように、私は大喜びしました。このウガンダの男の子が私と妻の写真を手にしている写真を見たとき、私たちのつながりが本物であることが視覚的にも証明されました。

ケニアで行われたChosenイベント(チャイルドがスポンサーを選ぶ催し)
Chosenは世界中のワールド・ビジョンで実施されています。この写真は、ケニアで実施されたChosenイベント(チャイルドがスポンサーを選ぶ催し)の様子

Chosen[チョーズン]は、チャイルド・スポンサーシップの新しい始め方です。子どもたちが自分の意思でスポンサーを選ぶというこの仕組みは、子どもたちに実に大きな力を与えるものです。Chosen[チョーズン]は、私たちが、他人の人生に小さな、しかし意味のある変化をもたらすことができる方法です。そして、チャイルド・スポンサーシップはチャイルド以外の子どもたちにも支援を届けることができるため、より多くの子どもたちに変化をもたらすことができます。

私たちはみな、それぞれが異なるスキルを持ち、その時々でスキルを発揮できるようにデザインされた存在なのだと思います。バングラデシュでは、子どもたちが私を彼らの世界に招き入れ、私はバドミントンや歌を通じて子どもたちとのつながりを築くことができました。そして今、Chosen[チョーズン]を通じて、ウガンダの子どもたちと新たなつながりを持つ機会を得ています。

真剣な表情でスポンサーを選ぶチャイルド(エルサルバドル)
真剣な表情でスポンサーを選ぶチャイルド(エルサルバドル)
子どもたちが、いま住んでいる世界よりも、より良い未来を生きることができるように、世界をより良い場所にするために、私たちみんなが何か良いことをする必要があります。南アフリカの人権活動家、故デズモンド・ツツはこう言いました。「あなたのいる場所で、あなたにできるわずかでも良いことをやってください。その小さな善の積み重ねが、世界を変えるのです」


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