【さまざまな支援のカタチ】出生証明書が守る子どものいのち

(2021.09.28)

すべての子どもには法的身分を持つ権利があります。しかし世界では、生まれた子どもの4分の1が法的に登録されておらず、「正式には」存在しない、見えない存在として生きているという現実があります。これらの子どもたちは、最初の法的身分証明となる出生証明書を所有していません。その原因は、両親が出生登録にかかる費用を支払う余裕がないこと、両親が出生登録等のシステムにアクセスできない環境にいること、出生登録方法に関する知識を得たり、それにアクセスしたりするにあたり何らかの障壁に直面していること等が挙げられます。
ワールド・ビジョンが活動する国の一つ、アフリカのザンビアでも同様の問題があり、2018年の同国の人口統計と健康調査によると、出生登録済みの5歳未満の子どもはわずか14.2%で、出生証明書を所有する子どもの数は6.6%です。
出生証明書を見せてくれた子どもたち


出生証明書がなければ、政府は子どもたちの存在を認識することができません。それは、そうした子どもたちが、最も基本的な権利を確保するための児童保護、医療、教育等の必要不可欠なプログラムから除外されることを意味します。出生証明書を持たない子どもは年齢を証明することができないため、暴力、虐待、搾取に対してよりぜい弱になり、児童婚や児童労働を強いられやすくなります。また、彼らが司法制度に関わってしまった場合には、大人として起訴され、さらに多くの暴力にさらされる危険性があります。

ワールド・ビジョンは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの期間、ぜい弱な家庭の子どもたちが保護され続けることを確実にするため、ザンビアの旅券・国家登録省と連携して、北部州の出生証明書の登録と発行を増加させることを目指して市民登録システムの強化を行いました。

マングウィ地区では合計4,800人の子どもたちが登録され、4,330人の子どもたちへの証明書が発行されました。出生証明書は正式な法的身元証明となり、子どもたちを暴力、虐待、ネグレクト、搾取から守るのに役立つと考えられています。出生証明書がなければ、子どもたちは自分の年齢を証明することができず、児童婚に追い込まれるリスクがはるかに高くなります。

「私たちの地域コミュニティの子どもたちが自らの年齢を証明できるようにしてくれた、政府とワールド・ビジョンに感謝しています。私の子どもたちとその友人たちが出生証明書を受け取ることができたことを非常にうれしく思います」と、3人の子どもを持つ母親、ブリジットさん(40歳)は言います。

ザンビアの子どもたち
ザンビアの子どもたち
「ワールド・ビジョンと協力して、地域コミュニティ内で子どもたちを登録できるモバイル登録サービスポイントを増やしたり、地域レベルでの出生登録を促す地方条例を制定したりしています。そうしたプロセスの中で、児童婚廃絶キャンペーンのメッセージを地域に浸透させることに取り組んでいます」と、北部州のケネディ・マククラ登録官は言います。「ワールド・ビジョンは、州および国全体の児童保護システムの強化を目的とした開発プロジェクトを常に実施してくれました。ワールド・ビジョンは、出生証明書発行センターの建設を支援し、同センターは2019年12月に政府に引き渡されました」

ワールド・ビジョンのムワンバ・クラスター地域におけるプログラム・マネージャー、チャールズ・フィリは、出生証明書は年齢を証明するため、また子どもを児童婚から守るために役立つと述べます。「出生登録は子どもに法的身分と存在の証明を提供します。特に虐待の問題が発生した場合、犠牲者が子どもかどうかを定義しなければならない際、出生登録は子どもの出生地、親子関係、年齢を証明してくれます。すべての子どもに出生登録を受ける権利があります」


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