(2024.01.25)
このたびの能登半島地震の影響により被災された皆さまに、お見舞い申し上げます。皆さまの安全と一日も早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)では、石川県へスタッフを派遣し、行政や他団体と連携しながら、必要な支援を届けています。
避難生活が長引き、余震も続く中、子どもたちはストレスを抱えています。WVJは、子どもたちに思いっきり遊び、のびのびと身体を動かしてもらおうと、「子どもコンサルタント」として活躍されている原坂一郎さんの協力を得て、1月20、21、22日の3日間にわたり、七尾市ならびに輪島市の学校や避難所など4カ所で、子ども向けイベント「わくわくデー」を関係者と連携し開催しました。
1月20日(土)は、七尾市健康福祉部子育て支援課との協力により、七尾市内の2か所の避難所で、避難所や近隣で自宅避難を続ける子どもたちを対象に「わくわくデー」を開催しました。田鶴浜体育館(武道館)で開催した午前の部には、2歳から中学生まで「浜っこ」17名と保護者の皆さまが、矢田郷コミュニティセンターで開催した午後の部には11名の子どもたちが参加し、原坂一郎さんによる身体を使った遊び、工作遊び、マジックショーやライブ紙芝居などのパフォーマンスを楽しみました。「傘袋のロケットが楽しかった」「先生の絵がすごかった」「お母さんと遊べたのが嬉しかった」子どもたちの笑顔に、参加された保護者の方からも笑顔がこぼれました。
1月21日(日)は七尾市山王小学校で、午後いっぱい開催された「山王小!わくわくデー」に協力し、原坂一郎さんとWVJでは「おもしろおじさんのわくわくショー」を行いました。山王小学校の児童318名のうち、確認できただけで140名の子どもたちが参加、加えて、兄弟姉妹、近隣の子どもたち、卒業生など200名以上の子どもたち、そして、保護者の皆さまで会場の体育館はいっぱいになり、久しぶりに再会した友だちと一緒に遊ぶ子どもたちの歓声が響きました。20日、21日のイベントは複数社のメディアにご取材いただき、テレビの全国ニュース、新聞全国紙、オンラインニュースサイトなどでも紹介されました。
キャラバン最終日1月22日(月)には、避難所となっている輪島市立門前中学校を訪問。イベント前には、コロナ感染予防のため隔離中のお子さんを、医療スタッフに同行いただき教室(居住空間)まで訪ね、おもちゃや文房具を届けました。
お孫さんの様子を少し離れてご覧になっていた祖母さまは「孫がね、あんなに小さいのに、『おばあちゃん、おうち残念だったね。残念だったね』と言うの」(お孫さんと同居されていた家は全壊)「今日はとても嬉しそう。有難うございます」と話してくださいました。
イベントには、8名の子どもたちと4名の保護者の皆さまが参加。避難所にいるご友人から情報を聞いて急いで来てくださったというお母さんは「お家はなんとかもってくれました。避難所の方が物資や情報が手に入るので、避難所と自宅を行き来しています」と話してくださいました。
はじめは少し表情の硬かった子どもたちでしたが、小さいお子さんの笑顔が中学生・高校生のお兄さんお姉さんに広がりました。
「子どもたちの表情筋と身体をゆるめるようなことをしてあげたい」
すべては山王小学校の長谷部校長先生のこの想いから始まりました。
1月9日、WVJスタッフが校長先生にお会いしニーズをうかがっている際に、先生がこう仰ったのです。1日も早くこのイベントを実現したい。突然のお願いで、イベントに来てくれる子どもたちの年齢層も人数も事前にはわからないという条件で、長いものは2時間、楽しませることをお引き受けいただける方を。ご依頼した原坂一郎先生は即断で快諾してくださいました。
「保育士をしていた頃に阪神淡路大震災に遭い、全国の皆さまに助けていただきました。七尾市の救急車も来てくれました。喜んでお手伝いさせてください」と、原坂先生。
企画案を固めつつ、お話をうかがっていた七尾市子育て支援課、輪島市門前中学校にもイベントを提案。「ぜひやりましょう」と今回のキャラバンが実現したのです。
1月9日に、児童の安否と居場所確認、避難所運営のサポート、学校再開に向けた準備に多忙を極めていた長谷部先生に、WVJスタッフがお話をうかがえた背景には、金沢在住のチャイルド・スポンサー若松典子さまが七尾市の茶谷義隆市長、山王小学校で避難所運営に奔走されていた木下美也子市議会議員をご紹介くださり、木下議員が山王小学校にご案内くださったというご協力がありました。
さらに、21日の山王小学校でのイベントでは、スタッフの1人に、七尾市在住のチャイルド・スポンサーの方がお声をかけてくださるということもありました。WVJの活動は、ご支援者の皆さま、多くのパートナーの皆さまの想いとお力に支えられているということを、スタッフ一同熱い想いをもって実感しています。
「今日は子どもたちが、友達と会って遊び、心と体の強張りをほぐせたように思います。山王の子どもたちは将来、別の場所で、こうして皆さんに支えていただいたことを返していってくれると思います」と長谷部校長先生は語ってくださいました。
能登半島地震の被災地の状況は厳しく、ニーズは刻々と変化しています。WVJは、子どもたちが日常を取り戻すための基本的なニーズの充足、心のケア、学びや遊びの機会の保障を支えられるよう、これからも、パートナーの皆さまと協力し活動を続けてまいります。
皆さまのご支援に心から感謝申し上げます。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願いいたします。