6月12日:児童労働反対世界デー

2011.06.10 (2020.6.11更新)

児童労働反対世界デーとは

石を売るため、過酷な環境下で児童労働として働く11歳のアロンくん(コンゴ民主共和国)

2002年、国際労働機関(ILO)は世界の目を児童労働に向け、児童労働を撲滅する必要性を世界に訴えるために、6月12日を児童労働反対世界デーと定めました。 児童労働とは、子どもによる教育を受ける機会を奪う労働や子どもの健康や発達を妨げる全ての労働のことを指します。その中には、賃金が支払われない奴隷のような労働、売春、戦争下での兵士という危険な労働も存在します。

現在、世界では2億人以上の子どもたちが児童労働に従事し、少なくとも1億5,200万人(*)の子どもたちが最悪な労働環境で働いています。(* ILO 2017年発表推計)

児童労働による貧困の連鎖


児童労働は全ての子どもが持つ「子どもの権利」を明らかに侵害するものです。しかし、貧困にいる子どもたちの多くは、自らの権利を知らなかったり、あるいは、知っていても労働の強制に抵抗する力がないため、児童労働に携わるようになります。

悲惨な環境での労働は、子どもたちの身体的また精神的な成長を著しく阻害します。
児童労働者として働かなければならない子どもたちは、教育を受けることが困難なため、読み書きができません。そのため、生涯にわたって希望する職業に就くことが難しく、貧困から抜け出すことができません。
また、子どもが過酷な環境で安い賃金で働かされることで、大人の賃金水準や労働環境も悪化し、家族の収入を支えるために、子どもたちが働き続けなくてはいけないという悪循環が生まれています。

ワールド・ビジョンの児童労働に関する取り組み

フィリピンに住むクリストレイくんは、小学生の頃から家族の収入を支えるために漁師として働いてきました。
「いつも朝3時にお母さんに起こされ、お父さんと一緒に小さな船で漁に出ていました。とても眠く、行きたくありませんでした」

フィリピンのクリストレイくん

クリストレイくんは児童労働者として働いていた子ども時代を振り返り、児童労働の悲惨さを説明してくれました。
「漁は子どもが行うものではありません。僕はナイロンの網で手をよく切っていました。網を投げ込むときに、網のおもりで手が切れ、手にはいつも傷がありました。他の子どもたちは1日中遊ぶなど好きなことをしていましたが、僕は1日中漁に出ていました。
学校に行くことができない日が多く、勉強についていくのが難しかったです」

クリストレイくんが一生懸命働いていたにもかかわらず、クリストレイくんのお父さんは給料をお酒の購入に充ててしまい、生活必需品や学校に通うためのお金は不足していました。
「お父さんは魚がたくさん捕れたときは、友人やお母さんと家でお酒を飲んでいました。
酔っ払い、殴り合いのけんかになることも多く、僕と妹はいつも怖がっていました」と話します。

ワールド・ビジョンの支援を受け、希望を持つことができたクリストレイくんと両親

しかし、クリストレイくんは幸運にもワールド・ビジョンの児童労働を撲滅するための活動により教育を受けられるようになりました。「ワールド・ビジョンのスタッフが僕の手の傷を見たとき、それ以上質問されませんでした。僕が児童労働に携わっていたことを察したワールド・ビジョンのスタッフにより、プログラムに参加することが認められ、学校で必要な備品や費用を支援してもらい、学校に通うことができました」

クリストレイくんがワールド・ビジョンの活動に参加したことにより、彼の家族にも大きな変化がもたらされました。ワールド・ビジョンによる「子どもの権利」についての研修を受けたお母さんのジョセリンさんは、クリストレイくんを働かせることをやめ、また、お酒を飲むこともなくなりました。

「ワールド・ビジョンの支援にとても感謝しています。以前は「子どもの権利」について何も知りませんでした。私自身が子どもに仕事を強いていました。」とジョセリンさんは話します。
クリストレイくんの妹もワールド・ビジョンのチャイルド・スポンサーシップによる支援を受け始め、お父さんも「子どもの権利」について学ぶようになりました。ワールド・ビジョンの支援により、クリストレイくんは教育を受けたのち、自動車製造・整備の職業訓練学校を卒業することができ、実習生として働き始めることになりました。

「子どもの権利」を保護し、子どもたちが健やかに成長できるための支援を行っています。

クリストレイくんのように、「子どもの権利」である「教育を受ける権利」(第29条)、「経済的搾取から保護される権利」(第32条)、「性的搾取・虐待から保護される権利」(第34条)などが保護されることにより、子どもたちは希望を持ち、貧困から抜け出すための方法を見つけることができます。
ワールド・ビジョンは、チャイルド・スポンサーシップを通じて、「子どもの権利」を保護し、子どもたちが健やかに成長できるための支援を行っています。



メコン拡大地域の労働者取引について私たちが知るべき10の真実

英語版表紙

ワールド・ビジョンは、「メコン拡大地域の労働者取引について私たちが知るべき10の真実」という冊子を作成しました。メコン拡大地域で実際にあったストーリーがまとめられた、児童労働も含む労働者取引の理解を深めるため冊子です。

日本語(要旨)表紙

<要約より>
1. 男性は漁船で働くために取引され、囚人のように扱われています
2. 「合法的」な斡旋業者も人身取引の共犯になることがあります
3. 人身取引は隠れた犯罪であり、被害者を見分けることは困難です
4. メコン拡大地域において「3D]の仕事が、労働者の取引で搾取されています
5. 社会的に弱い立場にある家庭内労働者は、個人の家庭で搾取されています
6. 労働者の意志に反して無休で強制労働される工場もあります

今あなたにできること、一日あたり150円で子どもたちに希望を。

世界の問題と子どもたち

関連ページ

「6月12日:児童労働反対世界デー」トップへ戻る

世界の子どもたちについて、もっと知りたい皆さまには資料をお送りします。
ご登録のメールアドレスにメールマガジンをお届けすることもできます。