(2019.02.06)
皆さんは"難民"と聞くと、どのような人々を思い浮かべるでしょうか。
私(池之谷)がウガンダの難民居住地で出会った人々は、南スーダンの農村に住み農業を営んでいた人、レストランを経営していた人、兄弟で商店を開いていた人、小学校の教員だった人など、南スーダンで生活していた場所も、生活レベルも様々でした。
「南スーダンにいた頃はスーツで仕事に行っていたけど、今はこんな生活さ」
と、破れたTシャツを着た男性が笑いながら話をしてくれた姿をみて、胸が痛みました。
長引く避難生活は、難民の人々を経済的にも精神的にも追い込んでいます。
自分のせいで今の生活を強いられているわけではないのにもかかわらず、人々は懸命に生きています。
しかし、収入を得るために働きたくても仕事がない。いつまでこの生活が続くのかわからない。
そのような先が見えない難民生活が、彼らを不安でいっぱいにすることは想像に難くありません。
このような状況を受けて、WVとUNDPのパートナーシップのもと、ウガンダ北部アルア県のインベピ難民居住地とユンベ県のビディビディ難民居住地にて、生計向上支援の事業を行っています。
この事業では、難民の人々に対して労働に必要なスキルの訓練や労働機会を提供しています。また、実際に働いた対価としての現金支給をとおした支援も行っています。
労働内容は、難民の人々自身によって決められ、病院や学校に繋がる道路の整備や植林、公共施設の清掃など、彼らが住む地域で必要とされるものです。
さらに、収入を有効活用できるよう、支出計画の立て方や、グループ投資による新規ビジネスの展開方法などについて学ぶ機会も提供され、雇用されるのではなく、雇用を生み出すことができるよう支援を行っています。
また、難民を受け入れている地域のウガンダの人々に対しても、同じように生計向上支援を行っています。
聞こえてくる喜びの声
事業の活動をとおして、難民の人々から多くの喜びの声が寄せられています。
"お金を貯めて牛を買って、牛乳を子どもに飲ませたい。できれば、あまった牛乳を売ったり、牛を増やして売ったりして、継続的に収入を得たい"
"南スーダンにいた頃は洋服の仕立て屋をしていたので、貯めたお金でミシンを買ってまた洋服の仕立て屋として働きたい"
"グループでお金を出し合って、メイズの製粉機を買い、製粉のビジネスを始めたい。そうすれば、村の人たちは遠くの製粉所まで重いメイズを持っていかなくてもすむし、自分も収入を得られるから"
など、文字通り目を輝かせながら今後の展望を熱く語ってくれました。
そのほか、
"久しぶりに家族で肉を食べることができて嬉しい"
"仕事があることで、家族を養うことができ、自信と希望が持てるようになった"
"毎日やることがなくて、何となく過ごしていたが、仕事があるおかげで生活の目的ができた"
といった声もありました。
仕事を得られたことは、単に収入を得られたことだけではなく、人々が自信と希望を取り戻すきっかけになったのだと実感しました。
*UNDP Uganda HP